キャリア面談の記録は、面談日時や本人の発言、今後のキャリア希望、合意した対応などを整理し、適切なルールで管理することが大切です。記録項目や保管場所が統一されていないと、過去の面談内容を確認しにくくなり、継続的な人材育成にも活用しづらくなります。
この記事では、キャリア面談の記録に必要な項目、書き方と記入例、保管・共有ルール、Excelや人事管理システムを使った管理方法を解説します。自社の面談記録の運用を見直す際にお役立てください。
キャリア面談の記録・管理では項目の統一と継続的な更新が重要
キャリア面談の記録を適切に管理するには、記録する項目を統一し、面談後の対応状況まで追跡できる仕組みを整えることが重要です。
面談の内容を記録するだけでは、本人の希望や育成上の課題を次の面談や具体的な支援につなげられない場合があります。記録を作成する段階で、何のために情報を残し、誰が確認し、どのように活用するのかを決めておきましょう。
キャリア面談の記録を管理する際は、次の3点を基本方針にします。
- 記録項目を統一する:面談日時、本人の発言、合意事項、次の対応などを共通の様式に記録する。
- 閲覧・共有ルールを定める:利用目的に応じて閲覧できる担当者を決め、必要な範囲で情報を共有する。
- 面談後の対応を追跡する:担当者や期限を設定し、次回面談で対応状況や本人の希望の変化を確認する。
厚生労働省では、労働者の職業生活設計や職業能力の開発・向上を支援する取り組みとして、キャリアコンサルティングに関する情報を公開しています。記録の目的を整理する際は、厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」も参考になります。
キャリア面談の記録に必要な項目7つ
キャリア面談の記録には、基本情報、本人の発言、確認事項、面談者の所見、合意事項、次のアクションなどを記載します。すべての企業に共通する法定の記録様式があるわけではないため、自社の面談目的に合わせて項目を設計しましょう。
| 記録項目 | 記録する内容 | 管理する目的 |
|---|---|---|
| 基本情報 | 面談日、対象者、面談者、面談方法 | 実施履歴を確認する |
| 面談目的 | キャリア希望の確認、育成課題の整理など | 面談の目的を明確にする |
| 本人の発言 | 今後の希望、仕事上の悩み、身につけたいスキルなど | 本人の意向を把握する |
| 確認した事実 | 現在の担当業務、経験、研修受講状況など | 具体的な検討材料を残す |
| 面談者の所見 | 確認した内容を踏まえた所見や支援上の課題 | 本人の発言と評価・解釈を区別する |
| 合意事項 | 本人と確認した目標、支援内容、今後の方向性 | 認識のずれを防ぐ |
| 次のアクション | 対応内容、担当者、期限、進捗状況 | 面談後の対応を追跡する |
本人の発言・確認した事実・面談者の所見を分ける
記録を作成するときは、本人が実際に話した内容、面談で確認できた事実、面談者が考えた所見を混同しないことが大切です。
例えば、本人が「将来は企画業務に携わりたい」と話した場合、その希望を本人の発言として記録します。一方、「企画業務への適性が高い」といった判断は、本人の発言そのものではありません。所見として記録する場合は、その判断の根拠となる経験や確認事項も整理しましょう。
また、本人が話した内容をすべて逐語的に記録する必要があるとは限りません。面談の目的に沿って要点をまとめ、後から読み返したときに内容と経緯が分かる記録を目指します。
次のアクションは担当者と期限まで記録する
面談後の対応を明確にするには、「何をするか」だけでなく、「誰が」「いつまでに」実施するかも記録します。
例えば、本人がデータ分析に関する業務を希望している場合は、関連研修の有無を確認する、必要なスキルを整理する、担当業務の機会を検討するなど、具体的な行動に落とし込みます。実施するかどうかが決まっていない事項は、決定事項と区別して記録しましょう。
キャリア面談の記録の書き方と記入例
キャリア面談の記録は、本人の発言を客観的にまとめ、次の対応につながる情報を具体的に残すことがポイントです。抽象的な評価や感想だけでは、後から読み返したときに何を確認し、どのような対応を取るべきか分かりにくくなります。
以下は、キャリア面談の記録を作成する際の記入例です。実際の運用では、社内の面談目的や記録ルールに合わせて項目を調整してください。
| 記録欄 | 記入例 |
|---|---|
| 面談目的 | 今後のキャリア希望と必要な能力開発を確認する |
| 本人の発言 | 今後はデータ分析に関する業務を増やし、分析スキルを身につけたい |
| 確認した事実 | 現在の担当業務と、社内研修の受講状況を確認した |
| 面談者の所見 | 分析業務への関心がある。必要なスキルと担当機会を確認する必要がある |
| 合意事項 | 関連研修の有無を確認し、次回面談までに情報を整理する |
| 次のアクション | 人事担当者が関連研修を確認し、11月6日までに本人へ案内する |
| 進捗状況 | 未対応 |
この例では、本人の希望、面談者が確認した事実、面談者の所見、今後の対応を分けています。記録する情報を整理することで、本人の意向を踏まえたフォローを検討しやすくなります。
記録を分かりやすくする3つのポイント
- 具体的な言葉で記録する
「成長意欲がある」だけではなく、「データ分析のスキルを身につけたいと話した」のように、確認できた発言や行動を記載します。 - 事実と解釈を区別する
本人の発言と面談者の所見を別の欄に記録し、解釈を事実のように扱わないようにします。 - 次の対応を明確にする
「引き続き検討する」だけで終わらせず、対応内容や担当者、期限を決められる範囲で記録します。
なお、本人の希望は面談のたびに変化する可能性があります。過去の記録をそのまま現在の意向として扱うのではなく、次回面談で本人に確認し、必要に応じて情報を更新しましょう。
キャリア面談の記録を管理する手順5ステップ
キャリア面談の記録を継続的に管理するには、記録様式を作るだけでなく、利用目的や保管場所、閲覧権限、更新方法まで決めておく必要があります。次の5ステップで運用ルールを整備しましょう。
ステップ1.記録の利用目的を明確にする
最初に、記録した情報を何に利用するのかを整理します。例えば、本人のキャリア形成支援、能力開発、研修計画、次回面談の準備などが考えられます。
利用目的が曖昧なまま記録項目を増やすと、必要性の低い情報まで収集したり、担当者によって記録内容がばらついたりする可能性があります。利用目的に照らして、必要な項目だけを設定しましょう。
個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」では、個人情報の利用目的の特定や、安全管理措置などについて説明されています。キャリア面談の記録を管理する際も、適用される法令やガイドラインを確認し、適切な取り扱いを検討することが重要です。
ステップ2.記録様式と記入ルールを統一する
面談担当者によって記録の項目や書き方が異なると、情報を比較したり、過去の記録を引き継いだりしにくくなります。共通の記録シートを用意し、最低限記載する項目を統一しましょう。
あわせて、次のルールも定めておくと運用しやすくなります。
- 記録する項目と記入例
- 面談終了後に記録を作成するタイミング
- 記録を更新する担当者
- 本人の発言と面談者の所見の書き分け方
- 未決事項や対応状況の記載方法
ステップ3.保管場所と閲覧・共有範囲を決める
記録を紙、個人のパソコン、共有フォルダなどに分散して保管すると、必要な情報を探しにくくなったり、引き継ぎが難しくなったりすることがあります。記録の保管場所を定め、担当者が変わっても必要な情報を確認できる状態を目指しましょう。
ただし、情報を一元化することと、すべての従業員が自由に閲覧できるようにすることは別です。本人のキャリア希望や面談内容には、慎重な取り扱いが必要な情報が含まれる場合があります。利用目的に応じて、閲覧・編集できる人を限定してください。
また、上司や関係部署に共有する情報は、共有する目的と範囲を明確にします。面談で話した内容をすべて共有するのではなく、育成や業務上の対応に必要な情報を整理することが重要です。本人への説明や同意の要否についても、共有内容や適用されるルールに応じて確認しましょう。
ステップ4.保存期間と更新・削除ルールを定める
キャリア面談の記録について、すべての企業に共通する一律の保存年数があると断定することはできません。利用目的、適用される法令、社内規程などを踏まえ、保存期間や削除の手順を決める必要があります。
具体的には、次の項目を整理しましょう。
- 記録を保存する期間と、その設定理由
- 記録を更新する担当者と更新タイミング
- 不要になった記録を削除する手順
- 誤記や情報の変更があった場合の訂正方法
- 担当者の異動・退職時の引き継ぎ方法
個人情報保護委員会のガイドラインでは、利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの正確性を確保することや、不要になった個人データを遅滞なく消去するよう努めることが示されています。自社の記録管理ルールを定める際は、現行のガイドラインを確認してください。
ステップ5.次回面談で対応状況を確認する
記録を作成した後は、次回面談や必要なフォローの場で、前回の合意事項や対応状況を確認します。
例えば、本人が希望した研修の受講状況、担当業務の変化、今後身につけたいスキルなどを確認し、必要に応じて記録を更新します。対応が完了していない場合は、理由や今後の進め方を整理しましょう。
ただし、過去の記録だけで本人の適性や配置を決めつけることは避けるべきです。記録は判断を補助する情報として活用し、現在の本人の意向や状況を改めて確認することが大切です。
キャリア面談の記録管理はExcelと人事管理システムをどう使い分ける?
キャリア面談の記録は、Excelや共有フォルダでも管理できます。一方、記録件数が増えたり、複数の担当者が情報を更新したりする場合は、人事管理システムを含めて管理方法を見直すことも選択肢になります。
どの方法が適しているかは、企業規模だけでなく、記録件数、担当者数、必要な検索性、閲覧権限、更新頻度などによって異なります。
| 比較項目 | 紙・個別ファイル | Excel・共有フォルダ | 人事管理システム |
|---|---|---|---|
| 管理の始めやすさ | 既存の様式を利用しやすい | 既存の表計算ソフトを活用できる | 初期設定や運用設計が必要 |
| 検索・履歴確認 | ファイルの整理方法に左右される | 台帳やフォルダの設計に左右される | 検索・履歴機能の仕様による |
| 複数担当者での運用 | 受け渡しや引き継ぎに工夫が必要 | 更新ルールやファイル管理が必要 | 利用できる共有・更新機能の確認が必要 |
| 閲覧権限の管理 | 保管場所や持ち出しルールが重要 | 保存先や共有設定の確認が必要 | 権限設定の仕様を確認する |
| 運用上の注意点 | 紛失や保管場所の分散 | 重複ファイル、更新漏れ、誤共有 | 費用、初期設定、運用体制の確認 |
Excelや共有フォルダが向いているケース
記録件数が比較的少なく、担当者も限られており、検索や更新に大きな負担がない場合は、Excelや共有フォルダでの管理を継続する方法もあります。
ただし、ファイル名や保存先を統一し、閲覧権限を設定するなど、情報の分散や誤共有を防ぐルールは必要です。複数のファイルに同じ情報を記載している場合は、どれが最新の記録なのか分かるように管理しましょう。
人事管理システムが向いているケース
面談記録が複数の場所に分散している、過去の履歴を探すのに時間がかかる、担当者の変更時に情報を引き継ぎにくいといった課題がある場合は、人事管理システムの活用を検討できます。
システムを選ぶ際は、面談・研修履歴を管理できるか、必要な項目を設定できるか、誰が情報を閲覧・編集できるか、既存データを移行できるかなどを確認しましょう。機能があることだけでなく、自社の運用ルールに合うかどうかも判断基準になります。
例えば、クラウド型人事管理システムのサイレコは、従業員情報の管理や管理項目のカスタマイズなどに対応しています。公式FAQでは、社員情報として身上情報や面談・研修の履歴などを管理できることが案内されています。
詳細は、サイレコの機能紹介およびFAQで確認できます。自社で必要な項目や権限設定、運用方法に対応できるかを確認したうえで、導入の必要性を判断しましょう。
キャリア面談の記録を人材育成や次回面談に活用する
キャリア面談の記録は、保管すること自体が目的ではありません。本人の希望や能力開発の課題を整理し、次回面談や育成計画に活用することが重要です。
具体的には、次のような使い方が考えられます。
- 次回面談の準備:前回の希望や合意事項を確認し、継続して話し合うテーマを整理する。
- 能力開発の支援:本人が身につけたいスキルと、研修や実務経験などの支援策を検討する。
- 対応状況の確認:前回決めた対応が実施されたか、本人の状況に変化があったかを確認する。
- 本人の意向の変化を把握する:過去の記録と現在の希望を比較し、必要に応じて支援の方向性を見直す。
ただし、面談記録を人材配置や評価などに利用する場合は、あらかじめ利用目的や共有範囲を整理し、適切に取り扱う必要があります。記録に残された過去の発言だけで本人を評価したり、現在の希望を決めつけたりしないようにしましょう。
また、複数の従業員の記録を集計・分析する場合も、個人を特定できる情報の取り扱いや、分析結果を利用する目的に注意が必要です。記録の活用範囲を広げるときは、既存の利用目的や社内ルールとの整合性を確認してください。
キャリア面談の記録・管理でよくある質問
キャリア面談の記録は何年間保存すべきですか?
キャリア面談の記録について、すべての企業に共通する一律の保存年数があるとは限りません。利用目的や適用される法令、社内規程を確認し、保存期間と削除ルールを定めましょう。不要になった個人データの取り扱いについても、個人情報保護委員会のガイドラインを参考にしてください。
キャリア面談の記録は上司に共有してもよいですか?
共有の可否は、記録の内容、利用目的、共有範囲、適用されるルールなどを踏まえて判断します。面談内容をすべて共有するのではなく、育成や業務上の対応に必要な情報を整理し、本人への説明や同意の要否も確認しましょう。
なお、国家資格であるキャリアコンサルタントには、資格に関する法令上の守秘義務があります。一般の管理職や人事担当者による社内面談と同じものとして扱わず、担当者の立場や適用される規程に応じて確認することが重要です。詳しくは厚生労働省の公式情報を参照してください。
キャリア面談の記録には本人の発言をそのまま書くべきですか?
必ずしも発言の全文を記録する必要はありません。面談の目的に沿って要点をまとめ、本人の発言と面談者の所見を区別することが大切です。発言の意味が変わらないように注意し、必要な確認事項や次の対応も記録しましょう。
キャリア面談の記録はExcelで管理できますか?
Excelでも管理できます。ただし、記録件数や担当者が増え、検索・更新・権限管理が難しくなった場合は、人事管理システムなども含めて管理方法を比較しましょう。システムを導入する場合も、利用目的や管理項目、閲覧権限を事前に整理することが重要です。
まとめ:キャリア面談の記録は項目・権限・更新ルールを統一しよう
キャリア面談の記録を適切に管理するには、面談日時や本人の発言、確認事項、合意事項、次のアクションなどの項目を統一し、保管・共有・更新のルールを整えることが重要です。
まずは、現在使用している記録シートや保管場所を確認し、必要な項目がそろっているか、閲覧できる人が明確になっているか、面談後の対応状況を追跡できるかを見直しましょう。
Excelや共有フォルダでの管理に限界を感じる場合は、人事管理システムの活用も選択肢になります。面談・研修履歴の管理や従業員情報の一元化を検討する際は、サイレコの機能紹介を確認し、自社の運用に必要な機能が備わっているかを比較してみてください。