ステイインタビューでは、従業員が働き続けたい理由や仕事への満足度、職場への要望などを質問します。重要なのは、質問を一通り聞くだけでなく、回答の背景を理解し、必要な改善につなげることです。
しかし、実際に面談を担当すると「何を聞けばよいのか」「どうすれば本音を引き出せるのか」と悩むこともあるでしょう。
本記事では、ステイインタビューで使える質問例20選を目的別に紹介します。質問の選び方、本音を引き出す聞き方、面談後の記録・フォロー方法まで解説するので、自社の面談に活用してください。
ステイインタビューの質問は目的別に選ぶ
ステイインタビューの質問は、仕事のやりがい、働き続けたい理由、職場環境、成長機会、離職につながる要因の5つに分けて考えると整理しやすくなります。
ステイインタビューとは、従業員が現在の職場で働き続けたい理由や、仕事上の不満、改善してほしいことなどを把握するための面談です。退職が決まった従業員から退職理由を聞く面談とは異なり、在職中の従業員との対話を通じて、働き続けやすい環境を整えることを目指します。
質問を考える際は、次の5つのテーマを参考にしてください。
- 仕事のやりがいや満足している点
- 現在の職場で働き続けたい理由
- 職場環境や上司・同僚との関係
- 成長機会や今後のキャリア
- 不満や離職を考えるきっかけ
すべての質問を毎回聞く必要はありません。面談時間や対象者の状況に合わせて質問を選び、回答に応じて深掘りすることが大切です。
【目的別】ステイインタビューの質問例20選
ここでは、実際の面談で使える質問例を5つのテーマに分けて紹介します。質問の意図も確認しながら、自社の状況に合うものを選びましょう。
1. 仕事のやりがい・満足度を知る質問例
仕事のどのような部分に満足しているのかを把握すると、従業員の意欲を支えている要素や、今後も活かしたい強みが見えてきます。
- 現在の仕事で、最もやりがいを感じるのはどのようなときですか?
目的:仕事への意欲につながる業務や場面を把握する。
深掘り例:「最近、特にやりがいを感じた出来事はありますか?」 - 最近、仕事で達成感を得られたことは何ですか?
目的:本人が成果を実感できる条件を把握する。
深掘り例:「その成果につながった要因は何だと思いますか?」 - 現在の仕事で、自分の強みを活かせていると感じますか?
目的:能力と担当業務の適合度を把握する。
深掘り例:「もっと活かしたいスキルや経験はありますか?」 - 今の仕事で、もっと取り組みたいことはありますか?
目的:本人の意欲や業務上の希望を把握する。
深掘り例:「取り組むためには、どのような支援が必要ですか?」
2. 働き続けたい理由を知る質問例
従業員が現在の職場に魅力を感じている理由を知ることで、組織として維持したい環境や、他の従業員にも広げられる取り組みを検討できます。
- この会社で働き続けたいと思う理由は何ですか?
目的:定着につながっている要素を把握する。
深掘り例:「その中で、特に大切だと感じることは何ですか?」 - 職場のどのようなところに魅力を感じていますか?
目的:会社や職場の強みを把握する。
深掘り例:「その魅力が特に感じられるのは、どのような場面ですか?」 - 一緒に働く人やチームについて、良いと感じている点はありますか?
目的:人間関係やチームの良い点を把握する。
深掘り例:「チームで仕事を進めるうえで、助かっていることは何ですか?」 - 今の職場で、これからも続けてほしい取り組みはありますか?
目的:維持すべき制度や職場の取り組みを把握する。
深掘り例:「その取り組みは、仕事にどのように役立っていますか?」
3. 職場環境や人間関係を知る質問例
業務量やコミュニケーション、上司からの支援などを確認し、仕事を進めるうえで障壁になっていることを把握します。回答を評価や反論の材料にせず、改善のための情報として受け止めましょう。
- 日々の業務で、負担が大きいと感じることはありますか?
目的:業務量や仕事の進め方に関する課題を把握する。
深掘り例:「特に負担を感じるのは、どのような業務ですか?」 - 仕事を進めるうえで、上司からどのような支援があると助かりますか?
目的:マネジメントや支援体制の改善点を把握する。
深掘り例:「相談しやすくするために、変えられることはありますか?」 - チーム内の情報共有や連携で、改善したいことはありますか?
目的:コミュニケーション上の課題を把握する。
深掘り例:「どのような情報が、いつ共有されると仕事が進めやすいですか?」 - 仕事とプライベートの両立について、困っていることはありますか?
目的:働き方や勤務環境に関する課題を把握する。
深掘り例:「業務の進め方や勤務時間について、調整できることはありますか?」
4. 成長機会・キャリアの希望を知る質問例
本人が希望する成長と、現在の業務や会社が提供できる機会にずれがないかを確認します。キャリアの希望を聞く際は、特定の役職や昇進だけを前提にしないことが大切です。
- 今後、身につけたいスキルや知識はありますか?
目的:育成や能力開発のニーズを把握する。
深掘り例:「そのスキルを身につけるために、どのような経験が必要だと思いますか?」 - これから挑戦してみたい業務や役割はありますか?
目的:本人の希望と今後の配置・業務機会を検討する。
深掘り例:「挑戦するために、今から準備できることはありますか?」 - 現在の仕事を通じて、成長できていると感じますか?
目的:成長実感や業務上の課題を把握する。
深掘り例:「もっと成長するために、どのような経験があるとよいですか?」 - 今後のキャリアについて、会社に期待する支援はありますか?
目的:キャリア形成に必要な支援を把握する。
深掘り例:「上司との面談、研修、業務経験など、どのような支援が役立ちそうですか?」
5. 不満や離職を考えるきっかけを知る質問例
離職につながる可能性のある課題を把握するための質問です。答えにくい内容も含まれるため、面談の目的を説明し、相手が話せる範囲で回答できるように配慮します。
- 最近、仕事で不満やストレスを感じたことはありますか?
目的:不満の原因や発生している場面を把握する。
深掘り例:「その状況を改善するために、何ができると思いますか?」 - 仕事を続けるうえで、不安に感じていることはありますか?
目的:将来への不安や職場に対する懸念を把握する。
深掘り例:「その不安を軽減するために、どのような情報や支援が必要ですか?」 - もし職場を変えたいと感じるとしたら、どのような理由が考えられますか?
目的:定着を妨げる可能性のある要因を把握する。
深掘り例:「そう感じる状況を減らすために、職場で変えられることはありますか?」 - 今の職場で、ひとつ改善できるとしたら何を変えたいですか?
目的:優先度の高い改善要望を把握する。
深掘り例:「改善された場合、仕事にどのような変化がありそうですか?」
これらの質問は、すべてを必ず聞くためのチェックリストではありません。面談の目的や時間に合わせて選び、回答をきっかけに対話を深めましょう。
ステイインタビューで本音を引き出す聞き方
質問内容だけでなく、質問の仕方や面談中の反応も重要です。従業員が安心して話せる環境を整え、回答の背景を理解することを意識してください。
オープンクエスチョンで具体的に聞く
「満足していますか」「問題はありませんか」といった質問だけでは、回答が「はい」「いいえ」に偏ることがあります。「どのような点に満足していますか」「困っていることがあれば教えてください」のように、自由に回答できる質問を取り入れましょう。
回答が抽象的な場合は、次のような追加質問が役立ちます。
- 「具体的には、どのような場面ですか?」
- 「最近、そのように感じた出来事はありますか?」
- 「その状況は、仕事にどのような影響を与えていますか?」
- 「どのように変わると、仕事を進めやすくなりそうですか?」
質問を重ねる際は、相手を追及するような聞き方にならないように注意してください。答えを急がせず、考える時間を確保することも大切です。
評価や反論をせず、まずは傾聴する
従業員から改善要望や不満が出た際に、すぐに否定したり、会社側の事情を説明したりすると、率直な意見を話しにくくなる可能性があります。
まずは話を最後まで聞き、「そのように感じているのですね」「具体的に教えていただき、ありがとうございます」と受け止めましょう。そのうえで、認識が合っているかを確認し、改善できることを一緒に考えます。
また、面談の目的や情報の共有範囲について、事前に説明することも重要です。すべての発言について完全な秘密を保証するのではなく、必要に応じて関係者と共有する可能性や、共有する目的を明確にしておきましょう。
ステイインタビューの実施手順と質問の選び方
ステイインタビューは、質問を用意して実施するだけでは十分ではありません。面談後に回答を整理し、改善策やフォローにつなげるところまでを一連の業務として設計しましょう。
1. 面談の目的と対象者を決める
まず、何を把握したいのかを明確にします。仕事への満足度を知りたいのか、キャリア上の希望を把握したいのか、職場環境の課題を見つけたいのかによって、適切な質問は異なります。
対象者も目的に合わせて決めます。特定の勤続年数や職種に限定する方法もありますが、対象を限定する場合は、その理由を明確にしてください。
2. 質問を選び、面談の流れを準備する
質問例20選から、面談の目的に合う質問を選びます。質問数を増やすことよりも、一つひとつの回答を丁寧に聞くことを優先しましょう。
面談前には、次の点を整理しておくとスムーズです。
- 面談の目的と所要時間
- 必ず確認したい質問と、状況に応じて聞く質問
- 面談内容の記録方法と共有範囲
- 要望や課題が出た場合の相談先
3. 面談を実施し、回答の背景を確認する
面談の冒頭で、評価や査定を目的とした場ではなく、働きやすさや今後の希望を把握するための対話であることを説明します。その後、答えやすい質問から始め、必要に応じて深掘りします。
面談中は、従業員の発言を自分の解釈だけでまとめないように注意しましょう。重要な内容については、「つまり、こういう点に困っているという理解で合っていますか」と確認すると、認識のずれを防ぎやすくなります。
4. 面談後に課題と対応策を整理する
面談後は、聞いた内容を整理し、改善すべき課題と対応策を明確にします。すべての要望を実現できるとは限りませんが、対応可能なものは具体的な行動に落とし込みましょう。
| 整理項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 課題・要望 | 本人が困っていること、改善してほしいこと |
| 背景・影響 | 問題が発生する状況、業務や働き方への影響 |
| 対応策 | 会社や上司が実施できる具体的な改善内容 |
| 担当者・期限 | 誰が、いつまでに対応するか |
| フォロー方法 | 進捗確認の時期、本人への共有方法 |
面談で把握した課題は、個人の問題として処理するだけでなく、複数の従業員に共通するものがないかも確認します。ただし、個人が特定される情報を必要以上に共有しないように配慮してください。
5. 対応方針を伝え、継続的にフォローする
面談後は、従業員に対応方針を伝えます。要望を実現できる場合は実施時期を説明し、すぐに対応できない場合は理由や代替策、再確認する時期を共有しましょう。
要望を聞いたまま何も伝えない状態が続くと、意見を出しても意味がないと感じさせるおそれがあります。対応の可否だけでなく、検討の進捗も適切に伝えることが大切です。
ステイインタビューで避けたい質問と注意点
ステイインタビューでは、従業員が安心して話せることが重要です。質問の内容や面談中の対応によっては、率直な意見を聞き出せなくなる可能性があります。
誘導的な質問や答えを決めつける質問を避ける
例えば、「職場の人間関係には問題がありませんよね」と聞くと、従業員が否定的な意見を伝えにくくなる場合があります。
「職場の人間関係について、良いと感じる点や改善したい点はありますか」のように、肯定・否定のどちらにも偏らない聞き方に変えましょう。
面談で聞いた要望を安易に約束しない
従業員の要望に応えようとする姿勢は大切ですが、実現できるか分からない段階で「必ず改善します」と約束するのは避けてください。
まずは内容を確認し、対応可能な範囲や必要な調整を整理したうえで、回答時期や今後の進め方を伝えましょう。
面談記録の取り扱いに注意する
面談では、職場の人間関係やキャリアの希望など、慎重に扱うべき情報が共有される場合があります。記録する目的、閲覧できる担当者、共有する範囲、保存方法をあらかじめ定めておきましょう。
個人情報を取り扱う場合は、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」などを参考に、自社の取り扱いが適切か確認してください。
ステイインタビューの質問例に関するよくある質問
ステイインタビューでは何問くらい質問すればよいですか?
質問数に一律の正解はありません。面談の目的と時間に合わせて質問を選び、回答の背景を確認する時間を確保しましょう。質問を多く聞くことよりも、重要な回答を深掘りし、具体的な改善につなげることが大切です。
ステイインタビューはどのような従業員を対象にすればよいですか?
対象者は、会社が把握したい課題や面談の目的に応じて決めます。特定の勤続年数や職種に限定する方法もありますが、対象者を選ぶ理由を明確にし、必要に応じて幅広い従業員の意見を確認することが重要です。
ステイインタビューと人事評価面談の違いは何ですか?
人事評価面談は、目標の達成状況や業務上の成果、今後の課題などを確認することが中心です。一方、ステイインタビューは、従業員が働き続けたい理由や職場で感じている課題、今後の希望などを把握するために行います。目的を明確に分け、評価を気にして率直な意見を話せなくなる状況を避けましょう。
面談で得た情報はどのように管理すればよいですか?
面談の目的に必要な情報を整理し、閲覧権限や共有範囲、保存方法を定めて管理します。個人の発言を必要以上に共有せず、組織全体の傾向を分析する場合も、個人が特定されないように配慮してください。
まとめ
ステイインタビューの質問は、仕事のやりがい、働き続けたい理由、職場環境、成長機会、不満や離職のきっかけという5つのテーマに分けると整理しやすくなります。
面談では、質問を一通り聞くことだけを目的にせず、回答の背景を深掘りし、従業員が安心して話せる環境を整えましょう。そして、面談後は課題・対応策・担当者・期限を整理し、本人への共有と継続的なフォローにつなげることが大切です。
また、面談を継続的に実施する場合は、従業員情報や面談に関する記録を適切に管理する仕組みも重要になります。
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