キャリア面談では、社員の現在の仕事に対する思いや強み、今後挑戦したいこと、キャリア上の悩みなどを質問し、本人の考えを整理することが大切です。ただし、何を聞けばよいか分からなかったり、質問が表面的になったりすると、具体的なキャリア支援につながりにくくなります。
この記事では、キャリア面談で使える質問例を目的別・状況別に紹介します。質問の意図や回答を深掘りする聞き方、面談の進め方、避けたい質問、面談後のフォローアップも解説するので、人事担当者や上司が面談を準備する際にお役立てください。
キャリア面談で使える質問例30選
キャリア面談では、現在の仕事、強み、今後の希望、キャリア上の悩み、会社に求める支援の順に質問すると、社員の考えを整理しやすくなります。すべての質問を一度に聞く必要はありません。面談の目的や時間、本人の状況に応じて必要な質問を選びましょう。
1. 現在の仕事や職場について聞く質問例
まずは、社員が現在の仕事をどのように捉えているかを確認します。日々の業務で感じていることを聞くと、本人が大切にしていることや、仕事上の課題を把握する手がかりになります。
- 現在、どのような仕事にやりがいを感じていますか?
- 最近、仕事で達成感を得られた出来事はありますか?
- 現在の業務で、難しいと感じていることはありますか?
- 自分の強みを発揮できていると感じるのは、どのような場面ですか?
- 今の仕事について、変えたいことや改善したいことはありますか?
回答が抽象的な場合は、「具体的にはどのような場面でしたか?」「そう感じたのはなぜですか?」と追加で尋ねます。本人の発言を否定したり、すぐに解決策を提示したりせず、まずは現状を理解することが重要です。
2. 強み・得意分野・成長について聞く質問例
社員の強みや成長を把握するには、本人の自己評価だけでなく、実際の経験や行動を振り返ってもらうことが有効です。
- これまでの仕事で、特にうまくできたと感じることは何ですか?
- 周囲から評価されたり、感謝されたりした経験はありますか?
- 仕事を進めるうえで、自分の得意なことは何だと思いますか?
- 最近、新しく身についた知識やスキルはありますか?
- 今後、さらに伸ばしたい能力は何ですか?
強みが思い浮かばない社員には、無理に回答を求めず、過去にうまくいった業務や周囲から頼られる場面を一緒に振り返ります。本人が気づいていない得意分野を整理することも、キャリア面談の役割です。
3. 今後のキャリア希望・目標について聞く質問例
将来の希望を尋ねる際は、昇進や管理職への就任だけをキャリアの選択肢にしないことが大切です。専門性を高めること、新しい仕事を経験すること、現在の役割を深めることなど、さまざまな方向性を話し合います。
- 今後、挑戦してみたい仕事はありますか?
- これから経験してみたい業務や役割はありますか?
- 将来的に、どのようなスキルや専門性を身につけたいですか?
- 今後1〜3年程度で実現したいことはありますか?
- 理想とする働き方や仕事との関わり方はありますか?
具体的な目標が決まっていない場合は、無理に将来像を決めてもらう必要はありません。「少し興味がある仕事はありますか?」「今後、経験してみたいことはありますか?」と尋ね、本人が考えるきっかけをつくりましょう。
4. キャリア上の悩みや不安について聞く質問例
キャリア面談では、本人の希望だけでなく、目標の実現を妨げている課題や不安も確認します。ただし、悩みを話すかどうかは本人の意思を尊重し、答えにくい質問を無理に続けないようにしましょう。
- 仕事やキャリアについて、現在悩んでいることはありますか?
- 今後のキャリアを考えるうえで、不安に感じていることはありますか?
- 今の仕事で、思うように力を発揮できていないと感じることはありますか?
- 目標に向けて行動する際、障壁になっていることはありますか?
- 今後の働き方について、相談しておきたいことはありますか?
悩みが出てきたときは、すぐに異動や配置転換などの解決策を提示するのではなく、何に困っているのか、どのような支援を望んでいるのかを確認します。本人の希望が必ず実現するとは限らないため、対応できることと難しいことを分けて伝える姿勢も必要です。
5. 会社や上司に求める支援を聞く質問例
本人の希望を聞くだけで終わらせず、会社や上司が支援できることを確認します。育成機会や業務経験、学習環境など、実際の行動につながる内容を話し合いましょう。
- 今後の成長に向けて、経験してみたい業務はありますか?
- 必要な知識やスキルを身につけるために、どのような支援があるとよいですか?
- 参加してみたい研修や学習機会はありますか?
- 上司や周囲に協力してほしいことはありますか?
- キャリアの希望を実現するために、会社に期待することはありますか?
会社として対応できる支援がある場合は、担当者や実施時期を具体化します。すぐに対応できない場合も、理由や今後検討できることを説明し、本人の希望を放置しないことが大切です。
状況別に使い分けたいキャリア面談の質問例
キャリア面談で確認したい内容は、社員の経験や役割、置かれている状況によって異なります。以下の質問例を参考に、対象者に合わせて面談項目を調整しましょう。
若手社員には興味・強み・成長の方向性を聞く
若手社員との面談では、現在の仕事への適応状況や、今後経験してみたい業務、身につけたいスキルなどを確認します。将来の目標が明確でない場合も、具体的な経験を振り返りながら方向性を整理します。
- 入社してから、成長したと感じることは何ですか?
- これから経験してみたい仕事はありますか?
- 現在の業務で、もっと学びたいことはありますか?
中堅社員には専門性や今後の役割を聞く
中堅社員には、これまでの経験を振り返りながら、今後伸ばしたい専門性や新しい役割への関心を尋ねます。管理職を目指すことだけを前提とせず、専門職としての成長なども選択肢に含めます。
- これまでの経験を、今後どのように活かしたいですか?
- さらに専門性を高めたい分野はありますか?
- 今後、挑戦してみたい役割や仕事の範囲はありますか?
管理職にはマネジメントと今後のキャリアを聞く
管理職との面談では、組織運営や部下育成に関する課題と、本人自身のキャリア形成を切り分けて確認します。管理職であることだけを理由に、本人の成長やキャリア希望を後回しにしないようにしましょう。
- 現在のマネジメントで、課題に感じていることはありますか?
- 今後、強化したいマネジメントスキルは何ですか?
- 今後の役割やキャリアについて、どのように考えていますか?
異動・復職などの節目では必要な支援を確認する
異動や復職など、仕事を取り巻く環境が変わるタイミングでは、現在の状況や新しい役割への不安、必要な支援を確認します。家庭事情や健康に関する情報など、プライバシーに関わる内容は、面談の目的に照らして必要な範囲で取り扱います。
- 新しい業務や役割について、確認しておきたいことはありますか?
- 仕事を進めるうえで、事前に調整しておきたいことはありますか?
- 安心して業務に取り組むために、どのような支援が必要ですか?
対象者別のキャリア形成支援については、厚生労働省のキャリアコンサルティング技法も参考になります。
キャリア面談の進め方は5つのステップで整理する
質問例を用意するだけでなく、面談の目的から終了後の行動までを一連の流れとして設計すると、具体的なキャリア支援につなげやすくなります。
- 面談の目的を共有する:キャリア形成について話し合う場であることや、面談内容の取り扱いを説明します。
- 現在の仕事や経験を振り返る:担当業務、やりがい、得意分野、課題などを質問します。
- 今後の希望や目標を確認する:挑戦したい仕事、伸ばしたい能力、将来の方向性を話し合います。
- 必要な支援を整理する:研修、業務経験、上司の支援など、目標の実現に必要なことを検討します。
- 次の行動と確認時期を決める:本人が取り組むことと会社が支援することを整理し、次回の確認方法を決めます。
面談前に質問項目と記録方法を決める
面談前には、実施目的、所要時間、質問項目、記録方法を整理します。すべての質問を固定するのではなく、基本項目と個別に確認する項目を分けておくと、面談の質を保ちながら柔軟に対応できます。
厚生労働省のキャリアコンサルティング面談シートの例では、これまでの職歴、現在の職務、興味・関心、得意・不得意、今後取り組みたいこと、仕事を通じて達成したい目標などを整理しています。自社の面談シートを作る際の参考にできます。
回答を深掘りするときは具体例を尋ねる
社員の回答が「特にありません」「まだ分かりません」といった内容でも、すぐに結論を出す必要はありません。過去の経験を振り返る質問や、選択肢を広げる質問を使い、本人が考えを整理できるようにします。
例えば、「今後の目標はありますか?」と聞いて答えが出ない場合は、「最近、面白いと感じた仕事はありましたか?」「今後、少し経験してみたい仕事はありますか?」と質問を変えてみましょう。回答を急がせず、本人の言葉を受け止めることが大切です。
面談後は行動計画とフォローアップにつなげる
面談の終了時には、本人の希望や課題を整理し、次に取り組むことを確認します。例えば、本人が学習に取り組む、上司が業務経験の機会を検討する、人事が研修情報を提供するなど、実施できる行動に落とし込みます。
行動計画には、可能な範囲で「何をするか」「誰が対応するか」「いつ確認するか」を設定します。面談で話した内容を一度記録して終わりにせず、次回の面談や定期的な対話で進捗を確認しましょう。
キャリア面談で避けたい質問と注意点
キャリア面談では、質問の内容だけでなく、聞き方にも注意が必要です。本人の考えを引き出すつもりでも、誘導的な質問や一方的な助言が続くと、率直な意見を話しにくくなる可能性があります。
答えを誘導する質問は本人の考えを聞く形に変える
| 避けたい聞き方 | 改善した質問例 | 改善のポイント |
|---|---|---|
| 管理職を目指したいですよね? | 今後、どのような役割に挑戦したいですか? | 管理職以外の選択肢も含めて聞く |
| なぜ目標がないのですか? | 今後の仕事について、まだ決まっていないことはありますか? | 答えにくさや迷いを受け止める |
| 異動すれば解決しますよね? | 現在の課題を解決するために、どのような方法が考えられますか? | 解決策を決めつけない |
| 会社の方針に合わせられますか? | 会社の方針とご自身の希望について、気になる点はありますか? | 本人の意見を話せる余地をつくる |
また、本人の希望を聞いたからといって、異動や昇進などの実現を約束してはいけません。会社の制度や配置方針を踏まえ、実現できることと検討が必要なことを分けて伝えます。
面談内容の記録・共有範囲を事前に説明する
キャリア面談では、将来の希望や職場での悩みなど、慎重に取り扱うべき情報が話題になることがあります。面談内容を記録する場合は、利用目的、閲覧できる人、共有する範囲、保管方法などを社内ルールに沿って整理し、必要な説明を行いましょう。
上司と人事で情報を共有する場合も、すべての発言を無条件に共有するのではなく、共有目的や必要性を踏まえて取り扱います。健康や家庭事情などのプライバシーに関わる情報は、特に慎重な対応が必要です。
キャリア面談と人事評価面談は、目的を分けて運用することも重要です。評価や処遇の判断が中心になると、社員がキャリア上の悩みや希望を率直に話しにくくなる可能性があります。面談の目的を事前に説明し、安心して話せる環境を整えましょう。
キャリア面談の質問例を活用して次の行動につなげよう
キャリア面談では、現在の仕事、強み、今後の希望、悩み、必要な支援を順番に質問すると、社員の考えを整理しやすくなります。質問例をそのまま使うだけでなく、本人の回答に応じて深掘りし、面談後の行動計画につなげることが重要です。
面談を継続的な人材育成に活かすには、面談内容を適切に記録し、必要な範囲で人事情報と関連づけて管理する仕組みも検討しましょう。面談の実施だけで終わらせず、本人の希望と会社が提供できる支援を整理し、定期的に振り返ることが大切です。
面談履歴や人事情報の管理にはサイレコも選択肢に
キャリア面談を継続的な人材育成に活かすには、面談で確認した情報を適切に管理し、必要な人事情報と関連づけて活用できる体制が重要です。紙や個別ファイルなどで情報が分散している場合は、管理方法や共有ルールを見直すことも検討しましょう。
HRオートメーションシステム「サイレコ」は、組織人事の情報を蓄積し、経営情報としての活用を支援するクラウド型人事管理システムです。公式サイトでは、社員情報や面談・研修の履歴などの管理、従業員情報の一元管理、管理項目のカスタマイズ、人事データの集計・活用などが紹介されています。
ただし、キャリア面談の質問を自動生成したり、面談内容から最適なキャリアを自動判定したりする機能を意味するものではありません。自社で面談履歴をどのように管理し、人材育成に活用したいかを整理したうえで、必要な機能や運用条件を確認しましょう。
サイレコの機能や提供条件については、機能紹介をご覧ください。