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人事データのダッシュボードの作り方|指標設計から運用まで

人事データのダッシュボードの作り方|指標設計から運用まで

人事データのダッシュボードは、グラフを並べる前に「誰が、どの数値を見て、何を決めるか」を定めて作ります。次に、指標ごとの対象者・算式・基準日・データ元をそろえ、比較と変化が読み取れる画面にします。

この記事では、人員構成と定着状況を例に、設計から更新・見直しまでの手順を解説します。示す指標は設計例であり、すべての企業に共通する必須指標ではありません。

人事データのダッシュボードは「判断する内容」から設計する

人事データのダッシュボードは、複数の指標を一画面にまとめ、組織の状態や変化を確認するためのものです。ただし、数値が見えるだけでは、次の行動は決まりません。

例えば「毎月の人事会議で、部門ごとの人員の増減を確認し、採用計画の見直しが必要な部門を決める」という用途なら、表示すべき情報を絞れます。一方、「人事に関する情報をすべて見たい」では、指標が増えても何を判断すればよいか分かりにくくなります。

作成前に、次の一文を埋めてください。

【閲覧者】が【確認する場面】で【指標】を見て、【判断・対応】を決める。

この文が具体的になるほど、必要なデータ、表示の粒度、更新頻度を決めやすくなります。デジタル庁のダッシュボード設計資料も、分かりやすい可視化を関係者の共通認識と判断につなげることを目的にしています。

作成前に決める5つの手順

最初から全社の人事課題を一画面で扱おうとせず、一つの判断場面を選んで試します。次の順序なら、画面を作った後でデータや運用条件が足りないと気付く手戻りを減らせます。

1.閲覧者と判断場面を一つ決める

同じ「人員数」でも、経営者、人事責任者、部門管理者では知りたい内訳が異なります。まず、主な閲覧者を決め、その人が数値を確認する場面を書き出します。

例えば、人事責任者が月次会議で人員計画を確認するなら、全社の人員数だけでなく、部門別の増減と計画との差が必要かもしれません。部門管理者が日々の配置を調整する画面なら、別の項目や更新頻度が必要です。両方を一画面に詰める前に、用途を分けて考えましょう。

閲覧者とともに、「差が出たら誰が何を確認するか」も決めます。人員数が計画を下回ったとき、採用状況を確認するのか、異動予定を確認するのかで、必要な指標が変わります。

2.判断に必要な指標を絞り、定義を固定する

表示する指標は、判断に使うものから選びます。取得できるデータをすべて載せる必要はありません。

指標を選んだら、少なくとも次を定義します。

定義する項目確認すること
指標の目的この数値から何を判断するか
対象者正社員・有期雇用社員・出向者・休職者などをどう扱うか
算式分子・分母に何を含めるか
集計期間・基準日月末時点か、月内の累計か
集計単位全社、部門、職種など、どの単位で表示するか
例外の扱い兼務、組織変更、データ欠損をどう扱うか

例えば「部門別在籍者数」は、兼務者を両部門に数えるか、主所属だけに数えるかで値が変わります。過去との比較では、組織改編前後の部門をどう対応させるかも必要です。画面上で同じ名称の指標を使うなら、集計の条件も同じにしてください。

指標そのものの選び方やKGIとの関係を整理する場合は、KPIの設定方法も参考になります。

3.データ元・更新日・責任者を決める

指標ごとに、どの記録を正とするかを決めます。所属情報、発令記録、採用管理表などに異なる値がある場合、どれを使った数値か分からなければ、比較しても判断しづらくなります。

画面または説明欄には、集計の基準日と最終更新日を示しましょう。例えば、月末時点の在籍者数を翌月の会議で使うなら、「8月31日時点の情報を9月3日に更新」と区別して示します。基準日と更新日は同じ意味ではありません。

更新担当者と確認担当者も決めます。欠損や入力遅れが見つかったときは、推測で値を埋めず、確認先と対応期限を記録します。表示に使うデータの点検方法は、人事データの品質管理で確認できます。

人事情報を複数のファイルで管理し、更新や集計に手間がかかる場合は、管理方法も検討対象になります。サイレコの機能紹介では、従業員情報の管理、CSVによる一括登録、管理項目を用いた集計、経年変化の可視化が案内されています。どの表示や運用に対応できるかは、必要な指標を定めたうえで確認してください。

4.比較と変化が読み取れる画面にする

画面は、閲覧者が判断する順番に並べます。例えば月次の人員確認なら、次の流れが考えられます。

  1. 全体像: 基準日時点の人員数と、前回・計画との差を見る
  2. 変化: 数か月の推移を見る
  3. 内訳: 差が大きい部門や職種を確認する
  4. 注記: 組織改編や集計条件の変更を確認する

一時点の値は数値表示、推移は折れ線、部門間の比較は棒グラフなど、読み取りたい関係に合わせて形式を選びます。色だけで良し悪しを示さず、数値や項目名も表示してください。

前月との増減が見えても、その理由までは画面だけで確定できません。比較対象の期間、母数、組織変更の有無が分かるようにし、気になる変化は元データや現場の状況で確かめます。

5.閲覧権限を設定して試行する

人事データには、閲覧者を限定すべき情報が含まれます。画面を共有する前に、誰がどの粒度まで見られるかを決めてください。集計値でも、対象者の少ない部門や区分では個人を推測できる場合があります。

個人データの取扱いについては、個人情報保護委員会の個人情報保護法ガイドライン(通則編)を確認し、自社の利用目的と安全管理のルールに照らして閲覧範囲を設計します。

試行では、実際の会議や確認業務で次の点を確かめます。

  • 数値の意味について、閲覧者の解釈が一致したか
  • 必要な時点までに更新できたか
  • 気になる変化を見つけた後、確認先と対応を決められたか
  • 使わなかった指標、足りなかった情報は何か

試行後は、指標を増やす前に、使わなかった表示を減らせないか検討しましょう。

人員構成・定着状況を確認する画面の設計例

以下は、人事責任者が月次会議で人員計画と定着状況を確認する場合の記入例です。実在企業のデータや、共通の推奨指標を示すものではありません。自社で使う際は、判断目的に合わせて対象者と算式を決めてください。

判断したいこと指標の記入例定義・注意点の記入例データ元・更新
人員計画との差はどこにあるか部門別在籍者数月末時点の在籍者。兼務者は主所属で1人として計上。休職者を含めるか明記する従業員情報・発令記録。月次で人事担当者が確認
増減は一時的か、続いているか部門別在籍者数の月次推移各月末を同じ条件で集計。組織改編があった月には注記を付ける同上
退職の状況を確認する必要があるか月別退職者数退職日が対象月に入る人数。雇用区分と対象範囲を固定する退職記録。月次で人事担当者が確認
定着状況はどう変化しているか期間別の離職率分子・分母・期間を自社で固定する。 例として「対象期間中の退職者数÷同期間の平均在籍者数×100」とする場合、平均在籍者数の求め方も明記する退職記録・在籍者記録。定義変更時は過去値との比較に注記

画面には、まず全社の状況と更新日を置き、その下に月次推移、さらに部門別の内訳を置く構成が考えられます。部門別の人数が少ない場合は、表示する区分や閲覧者を見直します。

この例で大切なのは「どの指標を載せたか」より、数値を見た後に何を確認するかです。例えば在籍者数が計画を下回る部門があれば、採用の進捗、異動予定、業務量などを確認し、対応の要否を決めます。退職者数や離職率の変化だけを理由に、原因や個人の退職可能性を断定しません。

画面を共有する前には、次の点を確認してください。

  • 同じ対象者・算式・基準日で比較しているか
  • 更新日と未反映の情報が分かるか
  • 組織改編など、比較に影響する変更を注記したか
  • 閲覧者と表示粒度は適切か
  • 数値が変わったときの確認担当者を決めたか

数値が使われないときは、定義と判断方法を見直す

画面が見られていても、判断に使われていなければ、表示内容や運用を見直します。

指標が多すぎる場合は、会議で実際に確認した数値を残し、使わない表示を減らします。指標を増やすのは、現在の画面だけでは判断できない問いが明確になったときです。

部門や期間によって数値が合わない場合は、集計前に対象者、基準日、兼務者の扱い、組織改編の反映を確認します。グラフの見せ方を変えても、定義の不一致は解消しません。

更新が間に合わない場合は、更新頻度を実務に合わせるか、入力・確認の担当と期限を見直します。「リアルタイム」と表示できることより、利用者が数値の対象時点を正しく把握できることが重要です。

変化が見えても対応が決まらない場合は、「何を超えたら、誰が、どの情報を追加確認するか」を決めます。ダッシュボードは変化に気付く入口です。原因の検討や施策の効果検証まで含む流れは、人事データ分析の進め方を参照してください。

まとめ|一つの判断場面から試し、指標と運用を整える

人事データのダッシュボードは、閲覧者が何を決めるかから設計します。指標の対象・算式・基準日をそろえ、データ元と更新責任を明確にしてから、比較しやすい画面を作ります。その後、実際の判断場面で使い、不要な表示や足りない運用ルールを見直してください。

まずは一つの会議や確認業務を選び、指標定義表の下書きと試行日を決めましょう。従業員情報の継続的な管理・集計方法も検討する場合は、サイレコの機能紹介で対応範囲を確認できます。

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