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定年退職とは?定年年齢のルールと会社側の手続き・必要書類を解説

定年退職とは?定年年齢のルールと会社側の手続き・必要書類を解説

定年退職とは、就業規則などで定めた年齢に達したことを理由に雇用契約が終了することです。ただし、定年を設ける場合は原則60歳以上とし、65歳未満の定年を定める企業には、65歳までの雇用確保措置が義務付けられています。70歳までの就業確保措置は努力義務です。

会社側の手続きは、従業員が完全に退職する場合と、定年後に再雇用する場合で異なります。対象者の確認から本人への意思確認、社会保険・雇用保険、税務上の手続きまで、期限から逆算して準備することが重要です。

本記事では、定年年齢に関する法的なルールと、定年退職時に会社側が行う手続き・必要書類を解説します。

定年退職とは、定められた年齢によって雇用契約が終了すること

定年退職とは、企業が就業規則や雇用契約で定めた年齢に従業員が達したことにより、雇用契約が終了することです。

従業員本人の申し出によって退職する「自己都合退職」とは異なり、あらかじめ定められた定年制度に基づいて退職する点が特徴です。

実際の退職日は、企業の就業規則によって異なります。たとえば、次のような定め方があります。

  • 一定の年齢に達した日
  • 一定の年齢に達した日の属する月の末日
  • 一定の年齢に達した後、最初に到来する賃金締切日
  • 一定の年齢に達した年度の末日

人事・労務担当者は、従業員の生年月日だけで退職日を判断せず、就業規則や個別の雇用契約を確認する必要があります。

また、定年によって雇用契約が終了するのであれば、退職届は法律上当然に必要となる書類ではありません。ただし、企業が本人の意思や退職後の連絡先などを確認する目的で、社内規程に基づいて届出書の提出を求める場合があります。

定年退職と再雇用・勤務延長・再就職の違い

定年後も働く方法には、再雇用、勤務延長、再就職などがあります。

区分概要雇用契約の扱い
定年退職定年年齢に達したことにより退職する雇用契約が終了する
再雇用定年退職後、同じ企業などで改めて雇用される一度契約を終了し、新たな契約を締結する
勤務延長定年後も退職させずに勤務を継続させる原則として雇用関係を継続する
再就職退職後、別の企業に就職する新しい企業と雇用契約を締結する

「定年後も同じ会社で働く」という点では再雇用と勤務延長は似ていますが、雇用契約をいったん終了させるかどうかが異なります。この違いは、社会保険の手続きや退職金の支給時期、人事情報の管理方法にも影響します。

定年年齢は原則60歳以上、65歳までの雇用確保は義務

高年齢者雇用安定法では、企業が定年を設ける場合、その年齢を原則60歳以上とする必要があります。

ただし、「定年を60歳以上にすれば、それ以降は雇用しなくてよい」という意味ではありません。定年年齢を65歳未満に設定している事業主は、65歳までの安定した雇用を確保するための措置を講じなければなりません。

年齢ごとの基本的な位置付けは、次のとおりです。

年齢企業に求められる対応義務の区分
60歳未満原則として定年に設定できない法的義務
65歳まで定年引上げ、継続雇用制度、定年廃止のいずれかを実施する法的義務
65歳から70歳まで就業機会を確保するための措置を講じるよう努める努力義務

65歳までの雇用確保措置は3つから選ぶ

定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、次のいずれかの高年齢者雇用確保措置を実施する必要があります。

  1. 65歳まで定年年齢を引き上げる
  2. 65歳までの継続雇用制度を導入する
  3. 定年制を廃止する

継続雇用制度には、定年後に新たな契約を締結する再雇用制度や、雇用契約を終了させずに勤務を続けてもらう勤務延長制度などがあります。

2025年3月31日には、労使協定で定めた基準により継続雇用の対象者を限定できる経過措置が終了しました。現在は、継続雇用制度を採用する場合、原則として希望者全員を65歳までの対象とする必要があります。

ただし、希望者全員を定年前と同じ職種・役職・賃金で雇用することまで一律に求める制度ではありません。再雇用後の労働条件は、関係法令に反しない範囲で設定し、本人へ明示する必要があります。

70歳までの就業確保措置は努力義務

2021年4月1日から、一定の事業主には、65歳から70歳までの就業機会を確保する措置を講じる努力義務が課されています。

対象となるのは、定年年齢を65歳以上70歳未満に設定している事業主や、70歳未満までの継続雇用制度を導入している事業主などです。

就業確保措置には、次の5つがあります。

  1. 70歳まで定年年齢を引き上げる
  2. 70歳までの継続雇用制度を導入する
  3. 定年制を廃止する
  4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度を導入する
  5. 70歳まで継続的に社会貢献事業へ従事できる制度を導入する

業務委託や社会貢献事業を選択する場合には、過半数労働組合または過半数代表者の同意など、所定の手続きが必要です。

70歳定年そのものが、すべての企業に義務付けられているわけではありません。「65歳までの雇用確保は義務」「65歳から70歳までの就業確保は努力義務」と分けて理解しましょう。

定年退職の手続きは「完全退職」か「再雇用」かを先に確定する

定年退職の準備では、対象者が完全に退職するのか、定年後に再雇用されるのかを最初に確認します。

確認すべき主な項目は次のとおりです。

  • 就業規則上の定年年齢と退職日
  • 継続雇用制度・再雇用制度の内容
  • 従業員本人の継続雇用希望
  • 再雇用後の雇用形態
  • 契約期間と更新基準
  • 業務内容、役職、勤務場所
  • 労働時間、休日、賃金
  • 社会保険・雇用保険の加入要件
  • 退職金や企業年金の取扱い

この分岐が曖昧なままでは、資格喪失届を提出すべきか、新たな労働条件通知書が必要かなどを正しく判断できません。

本人への説明時期や希望確認の期限について、すべての企業に共通する法定期限があるわけではありません。自社の規程に基づき、検討や引き継ぎに必要な期間を確保して早めに案内することが重要です。

定年退職前に会社が行う6つの準備

定年退職の対象者が判明したら、次の順番で準備を進めます。

1.対象者と定年退職日を確認する

まずは、従業員情報と就業規則を照合し、定年予定者と退職日を特定します。

生年月日だけでなく、雇用区分、適用される就業規則、所属会社、出向・転籍の状況なども確認しましょう。正社員と契約社員、グループ会社間で異なる規程が適用されている場合もあります。

対象者一覧には、少なくとも次の情報を記録します。

  • 氏名・社員番号
  • 生年月日
  • 所属・雇用区分
  • 定年年齢
  • 定年退職予定日
  • 継続雇用の希望
  • 担当者
  • 各手続きの期限と進捗

2.再雇用などの希望を確認する

継続雇用制度を導入している場合は、制度の内容と労働条件を説明したうえで、本人の希望を確認します。

口頭で確認するだけでなく、説明日、回答期限、本人の回答を記録として残すと、後の認識違いを防ぎやすくなります。

本人が継続雇用を希望しない場合も、本人の意思による選択であることを確認できるようにしておきましょう。企業側から退職を強要したと受け取られるような説明は避けなければなりません。

3.再雇用する場合は新しい労働条件を明示する

定年退職後に再雇用する場合は、新たな雇用契約の条件を本人へ提示します。

主な確認項目は次のとおりです。

  • 契約期間
  • 契約更新の有無と判断基準
  • 就業場所
  • 業務内容
  • 始業・終業時刻
  • 休日・休暇
  • 賃金・手当・賞与
  • 退職に関する事項
  • 社会保険・雇用保険
  • 評価制度や役職の取扱い

定年前後で賃金や職務が変わる場合は、変更内容だけでなく、業務上の役割や責任がどのように変わるのかも具体的に説明します。

再雇用者が有期雇用労働者や短時間労働者となる場合には、短時間・有期雇用労働法なども踏まえ、不合理な待遇差とならないよう個別に確認が必要です。

4.引き継ぎ・有給休暇・最終給与を調整する

完全に退職する場合は、後任者と引き継ぎ期間を決めます。再雇用する場合も、職務や権限が変わるのであれば、担当業務や承認権限を整理し直す必要があります。

あわせて、次の項目を確認します。

  • 担当業務と進行中の案件
  • 社外関係者への連絡
  • 保存すべき文書・データ
  • 未取得の年次有給休暇
  • 最終給与の締日と支払日
  • 退職金の支給条件・支給日
  • 経費精算や立替金の有無

有給休暇の取得と引き継ぎを両立できるよう、退職直前ではなく早めに予定を調整することが大切です。

5.交付書類と回収物を一覧化する

会社から本人へ交付する書類と、本人から会社へ返却してもらう物を一覧にします。

会社から交付する可能性がある書類には、次のようなものがあります。

  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険被保険者離職票
  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 退職証明書
  • 健康保険資格喪失証明書
  • 退職金関係の書類
  • 再雇用後の労働条件通知書・雇用契約書

すべての書類が全員に必要とは限りません。退職金の有無、雇用保険への加入状況、再雇用の有無、本人からの請求などに応じて判断します。

会社へ返却してもらう物の例は次のとおりです。

  • 健康保険証・資格確認書など、加入先から回収を求められるもの
  • 社員証・入館証
  • パソコン・スマートフォン
  • 鍵・制服
  • 社用車・ETCカード
  • クレジットカード
  • 紙の資料・記録媒体
  • その他の貸与品

情報システム部門とも連携し、アカウントやアクセス権限の停止時期を決めておきましょう。

6.退職後の連絡先を確認する

離職票や源泉徴収票などを退職後に送付する場合に備え、住所と連絡先を確認します。

取得した連絡先は、退職後の事務連絡に必要な範囲で利用し、社内の個人情報管理ルールに従って保管します。再雇用する場合は、旧契約の退職処理と新契約の情報登録を混同しないよう注意が必要です。

完全に退職する場合は社会保険・雇用保険・税務の期限を管理する

従業員が完全に退職する場合は、社会保険・雇用保険・税務の手続きを進めます。

手続き主な期限提出・確認先
健康保険・厚生年金保険の資格喪失届原則、事実発生から5日以内日本年金機構または健康保険組合
雇用保険被保険者資格喪失届被保険者でなくなった日の翌日から10日以内ハローワーク
雇用保険被保険者離職証明書原則、資格喪失届とあわせて提出ハローワーク
給与所得の源泉徴収票の本人交付年の中途退職者は退職後1か月以内退職者本人
退職所得の源泉徴収票の本人交付退職後1か月以内退職者本人
退職証明書本人から請求された場合、遅滞なく交付退職者本人

対象者や例外、添付書類は手続きごとに異なります。実際に提出する際は、必ず各行政機関の最新情報を確認してください。

健康保険・厚生年金は原則として事実発生から5日以内

健康保険・厚生年金保険の被保険者が退職した場合、事業主は「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を原則として事実発生から5日以内に提出します。

通常、退職日の翌日が資格喪失日です。70歳以上の従業員については、厚生年金保険の「70歳以上被用者不該当届」が必要になる場合があります。

加入している健康保険が全国健康保険協会ではなく健康保険組合である場合は、組合独自の提出先や添付書類も確認しましょう。

雇用保険は資格喪失後の所定期限内に届け出る

雇用保険の被保険者が離職した場合は、雇用保険被保険者資格喪失届を、被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に事業所所在地を管轄するハローワークへ提出します。

離職票の交付が必要な場合は、原則として雇用保険被保険者離職証明書を添付します。本人が当初は離職票を希望しなかった場合でも、後から交付を求められたときは対応が必要です。

離職理由は給付の判断に影響するため、「定年」「契約期間満了」「自己都合」などを実態に即して正確に記載しなければなりません。

給与・退職所得の源泉徴収票を交付する

年の途中で退職した従業員には、給与所得の源泉徴収票を退職後1か月以内に交付します。

退職金を支給した場合は、給与所得の源泉徴収票とは別に「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を作成し、原則として退職後1か月以内に本人へ交付します。

2026年1月1日以後に支払うべき退職手当等については、退職所得の源泉徴収票等の税務署への提出範囲が、従来の役員分のみから、原則としてすべての受給者分へ拡大されています。一方、市区町村への特別徴収票の提出は当分の間省略できる取扱いがあります。

税務書類は改正や様式変更が行われることがあるため、支給時点の国税庁資料を確認してください。

請求があれば退職証明書を遅滞なく交付する

労働基準法第22条では、退職した労働者から次の事項について証明書を請求された場合、使用者は遅滞なく交付しなければならないと定めています。

  • 使用期間
  • 業務の種類
  • 事業における地位
  • 賃金
  • 退職の事由

証明書には、本人が請求していない事項を記載してはいけません。

また、退職者から未払い賃金や本人の権利に属する金品の返還を請求された場合は、労働基準法第23条に基づき、原則として請求から7日以内に支払いまたは返還を行う必要があります。争いがある場合でも、異議のない部分は期限内に対応します。

定年後に再雇用する場合は資格喪失手続きの要否を確認する

定年後に同じ会社で再雇用する場合でも、「退職手続きは一切不要」とは限りません。

60歳以上の厚生年金保険の被保険者が退職後、1日の空白もなく再雇用される場合、使用関係がいったん中断したものとして、健康保険・厚生年金保険の資格喪失届と資格取得届を同時に提出する取扱いが可能です。一般に「同日得喪」と呼ばれる手続きです。

この取扱いを利用する際は、就業規則や退職辞令、再雇用後の雇用契約書など、退職と再雇用を確認できる書類が必要になります。

一方、雇用保険については、再雇用後も被保険者要件を満たし、雇用関係が継続するときは、単に定年を迎えたことだけで資格喪失となるとは限りません。

社会保険と雇用保険では判断基準や手続きが異なります。再雇用後の契約期間、週所定労働時間、勤務日数、報酬などを確認し、年金事務所、健康保険組合、ハローワークへ個別に確認しましょう。

定年退職手続きで起こりやすい5つのミス

1.70歳までの雇用を法的義務だと誤解する

65歳までの雇用確保措置は法的義務ですが、65歳から70歳までの就業確保措置は努力義務です。社内規程や従業員への説明では、両者を混同しないようにします。

2.継続雇用の希望を十分に確認しない

制度の説明が不十分なまま退職扱いにすると、本人との認識違いにつながります。説明した内容と本人の回答を記録に残しましょう。

3.生年月日だけで退職日を決める

実際の退職日は、就業規則の定め方によって異なります。どの規程が適用される従業員かも含めて確認が必要です。

4.完全退職と再雇用で同じ手続きを行う

再雇用の有無や契約条件によって、社会保険・雇用保険の手続きは変わります。退職者一覧に再雇用の有無を明記し、処理を分けましょう。

5.期限と担当者が共有されていない

定年退職では、人事、労務、給与、経理、総務、情報システムなど複数部門が関係します。手続きごとに担当者・期限・完了日を記録し、進捗を共有することが重要です。

定年退職者を漏れなく管理するには対象者・期限・進捗を一元化する

定年退職の手続きを漏れなく進めるには、まず対象者を正確に把握し、本人への確認、社内承認、行政手続きの期限を一つの流れとして管理する必要があります。

Excelや紙の台帳が部門ごとに分かれていると、情報の更新漏れや担当者間の認識違いが起こりやすくなります。人事管理システムを利用する場合も、導入するだけでなく、次の運用ルールを決めておきましょう。

  • 定年予定者を確認する頻度
  • 管理する従業員情報
  • 本人への案内時期
  • 再雇用希望の回答期限
  • 手続きごとの担当部門
  • 完了を確認する方法
  • 退職後のデータ保存・アクセス権限

HRオートメーションシステム「サイレコ」では、従業員情報の一元管理、管理項目のカスタマイズ、各種アラート設定、申請承認のワークフローなどを利用できます。

定年予定者に関する情報や社内申請を複数の台帳で管理している場合は、対象者情報と手続きの流れを整理する選択肢になります。

ただし、サイレコを利用するだけで、社会保険・雇用保険・税務などの法令対応がすべて完了するわけではありません。行政手続きの要否や期限は、関係機関の最新情報と個別の雇用条件を確認してください。

定年退職に関するよくある質問

60歳で必ず定年退職させなければならないのですか?

いいえ。法律は、企業が定年を設ける場合の年齢を原則60歳以上としています。すべての企業に60歳定年を義務付けているわけではありません。

また、定年年齢が65歳未満の場合は、65歳までの定年引上げ、継続雇用制度または定年制廃止のいずれかを実施する必要があります。

70歳まで雇用することは義務ですか?

70歳までの雇用が一律に義務付けられているわけではありません。

一定の事業主には、70歳までの定年引上げや継続雇用制度、業務委託制度など、就業機会を確保する措置を講じる努力義務があります。

定年後に同じ会社で再雇用する場合も退職手続きは必要ですか?

契約や保険制度によって異なります。

再雇用では新しい労働条件の明示や雇用契約の締結が必要です。社会保険では資格喪失届と資格取得届を同時に提出できる取扱いがあり、雇用保険では再雇用後も加入要件を満たす場合に資格が継続することがあります。

個別の条件を確認し、年金事務所、健康保険組合、ハローワークへ確認してください。

まとめ|定年制度と再雇用の有無を確認し、期限から逆算して準備する

定年退職とは、就業規則などで定めた年齢に達したことによって雇用契約が終了することです。企業が定年を設ける場合は原則60歳以上とし、65歳未満の定年を定めている場合は、65歳までの雇用確保措置を実施しなければなりません。70歳までの就業確保措置は努力義務です。

会社側の実務では、最初に完全退職か再雇用かを確認します。そのうえで、本人への説明、労働条件の提示、引き継ぎ、社会保険・雇用保険、税務書類、貸与品回収などを期限から逆算して進めましょう。

定年予定者の情報や社内申請を複数の台帳で管理している場合は、従業員情報の一元管理やワークフローの活用も選択肢になります。サイレコの対応機能や提供条件については、最新の公式情報をご確認ください。

※本記事は2026年8月10日時点の法令・公的機関の公開情報をもとに作成しています。個別の雇用契約や手続きについては、労働局、労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、税務署、社会保険労務士または弁護士へご確認ください。

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