人事・労務で扱う「マイナンバーカード」と「マイナンバー」は、同じものではありません。マイナンバーカードは本人確認などに利用できるカードであり、マイナンバーは税や社会保障など、法令で定められた事務に利用する個人番号です。
人事担当者が従業員のマイナンバーを取得する際は、本人確認だけでなく、利用目的の明確化、アクセス権限の設定、安全な保管、不要になった情報の廃棄まで適切に管理する必要があります。
この記事では、人事・労務でマイナンバーカードを扱う際の基本、従業員から番号を取得するときの注意点、情報管理の方法を解説します。人事管理システムを利用する場合に確認したいポイントも紹介します。
この記事のポイント
- マイナンバーカードとマイナンバーの違い
- 従業員からマイナンバーを取得するときの本人確認
- カードのコピーや個人番号の保管に関する注意点
- 人事情報と特定個人情報を管理する際のポイント
- 人事管理システムと労務システムの役割分担
人事で扱う「マイナンバーカード」と「マイナンバー」は別物
人事・労務の実務では、マイナンバーカードとマイナンバーを区別して考えることが重要です。カードは本人確認などに使うものであり、マイナンバーは税や社会保障などの手続きに利用する個人番号です。
| 項目 | マイナンバー | マイナンバーカード |
|---|---|---|
| 概要 | 個人に指定される12桁の番号 | 個人番号などが記載された顔写真付きのカード |
| 主な用途 | 税・社会保障など法令で定められた事務 | 本人確認、電子証明書を利用した手続きなど |
| 人事業務での役割 | 源泉徴収票や社会保険関係の手続きなど | 個人番号の確認や身元確認など |
| 取扱いの注意点 | 利用目的や利用範囲が法令で制限される | 記載面や利用目的に応じて適切に取り扱う |
マイナンバーを含む個人情報は、番号法に基づく利用制限などの対象になります。本人の同意があれば自由に利用できるわけではありません。
制度の基本については、デジタル庁「マイナンバー制度」および個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」を確認してください。
マイナンバーカードは本人確認にも利用できる
マイナンバーカードは、本人の顔写真などによる身元確認に利用できます。また、個人番号を取得する際には、番号が正しいことを確認する必要があります。
マイナンバーカードを提示してもらう場合、カードの裏面に記載された個人番号によって番号確認を行い、表面の顔写真などによって身元確認を行うことができます。
ただし、本人確認書類としてカードを利用することと、カードに記載された個人番号を取得・保管することは別の行為です。人事担当者は、どの事務のために、どの情報を取得するのかを明確にする必要があります。
マイナンバーは利用できる事務が限定されている
事業者が従業員のマイナンバーを利用する場面には、源泉徴収票の作成や社会保険関係の届出などがあります。
一方、社員番号や顧客管理番号など、一般的な社内管理のためにマイナンバーを利用することは認められていません。従業員の管理を目的として、マイナンバーを社員番号として利用することもできません。
利用できる事務や例外については、個人情報保護委員会の事業者向けガイドラインで確認できます。
人事・労務でマイナンバーを扱う主な場面
人事・労務担当者がマイナンバーを扱う代表的な場面は、税務関係の書類作成や社会保険・雇用保険関係の手続きです。
| 業務 | 主な利用場面 | 確認する情報 |
|---|---|---|
| 給与・税務 | 源泉徴収票などの作成・提出 | 対象となる手続きと個人番号の記載要件 |
| 社会保険 | 健康保険・厚生年金保険関係の届出 | 届出ごとの記載事項や提出方法 |
| 雇用保険 | 資格取得・喪失などの手続き | 個人番号の記載が必要となる手続き |
| 退職時の手続き | 税・社会保険などの必要書類の作成 | 手続きごとの利用目的と保存要件 |
実際に個人番号が必要になるかどうかは、手続きの種類や対象者によって異なります。すべての人事業務でマイナンバーを取得・利用するわけではありません。
従業員の入社・退職や社会保険関係の手続きについては、厚生労働省や日本年金機構の最新情報を確認しましょう。
源泉徴収票など税務関係の手続き
企業は、対象となる税務書類を作成・提出する際に、従業員などの個人番号を取り扱います。取得した個人番号は、利用目的に沿って必要な範囲で使用しなければなりません。
給与計算や年末調整を外部サービスで行う場合も、個人番号の取得方法、データの受け渡し、委託先での取扱いなどを確認することが重要です。
税務関係の具体的な取扱いについては、国税庁「社会保障・税番号制度」を参照してください。
社会保険・雇用保険関係の手続き
社会保険や雇用保険の一部の手続きでは、個人番号を利用します。人事担当者は、入社時などに必要な情報を取得し、各手続きの要件に沿って管理する必要があります。
電子申請や外部の労務システムを利用する場合は、どの情報をどのシステムで扱うのか、誰が操作できるのかを整理しておくと、不要な情報共有を避けやすくなります。
従業員からマイナンバーを取得するときの本人確認
人事担当者が従業員からマイナンバーを取得する際は、原則として「番号確認」と「身元確認」の両方が必要です。本人確認の方法は、提示される書類や取得方法などによって異なります。
マイナンバーカードを提示する場合
マイナンバーカードを利用する場合は、カード1枚で番号確認と身元確認を行えます。
- マイナンバーを利用する事務と利用目的を確認する
- 本人からマイナンバーカードの提示を受ける
- カードの記載内容などにより番号確認と身元確認を行う
- 必要な情報を適切な方法で取得・登録する
- 確認書類のコピーなどを保管する場合は、必要性と安全管理措置を確認する
本人確認書類のコピーを保管することは、法令上、一律に義務付けられているわけではありません。本人確認の記録を残す目的で保管する場合は、安全管理措置を講じ、不要になった段階で速やかに廃棄することが求められます。
詳しくは、個人情報保護委員会「本人確認書類のコピーを保管することはできますか」を確認してください。
マイナンバーカードがない場合
マイナンバーカードを持っていない従業員から個人番号を取得する場合は、番号確認書類と身元確認書類を組み合わせる方法などがあります。
利用できる書類は、取得方法や本人の状況などによって異なります。番号確認には個人番号が記載された住民票の写しなど、身元確認には運転免許証などが利用できる場合があります。
ただし、すべての書類があらゆるケースで利用できるわけではありません。書類の種類や提示方法など、具体的な要件を確認してから取得手続きを進めましょう。
本人確認の詳細は、国税庁のマイナンバー関連情報および個人情報保護委員会の事業者向けガイドラインを参照してください。
マイナンバーカードのコピーや画像は保管してよい?
マイナンバーカードのコピーを保管する場合は、本人確認の目的と個人番号の取扱いを区別することが重要です。カードの表面と裏面では、取り扱いに関する注意点が異なります。
カードの表面と裏面では取扱いが異なる
個人情報保護委員会によると、身分証明書の写しとしてマイナンバーカードの表面をコピーすることは問題ありません。一方、番号法で定められた場合以外に、個人番号が記載された裏面をコピーすることはできません。
マイナンバーを取得するために必要な手続きと、単に本人確認書類の写しを取得する手続きとでは、取り扱いが異なります。本人確認のためにカードを提示してもらったからといって、裏面を含むコピーを無条件に保管できるわけではありません。
詳しくは、個人情報保護委員会「身分証明書の写しとして、個人番号カードをコピーしてもよいですか」を確認してください。
コピーを保管する場合は安全管理措置が必要
本人確認書類のコピーを保管する場合は、保管の必要性を確認したうえで、閲覧できる担当者や保管場所などを適切に管理する必要があります。
例えば、次のような点を確認しましょう。
- コピーを保管する必要性があるか
- 保管する情報が必要最小限になっているか
- 閲覧・操作できる担当者が限定されているか
- 紙の書類や電子ファイルを安全に保管できるか
- 不要になった書類やデータを適切に廃棄できるか
特に、メールへの添付や共有フォルダへの保存など、通常の業務で使う方法が適切とは限りません。個人番号を含む情報については、社内ルールと安全管理措置に沿って取り扱いましょう。
マイナンバーを通常の人事情報と同じように管理しない
人事担当者は、従業員の氏名、所属、役職、評価情報など、さまざまな人事情報を管理しています。しかし、マイナンバーを含む特定個人情報は、通常の人事情報と同じ考え方で自由に利用できるわけではありません。
マイナンバーの取扱いでは、利用目的や利用範囲を明確にし、担当者やアクセス権限を限定するなど、法令に沿った管理が必要です。
利用目的を明確にする
マイナンバーを取得するときは、何の手続きに利用するのかを明確にし、本人への通知など必要な対応を行います。
例えば、税務関係の書類作成や社会保険関係の届出など、法令上認められた事務のために取得することが考えられます。取得した個人番号を、当初の目的と関係のない社員管理や独自の分析に利用することはできません。
利用目的の特定や通知の考え方は、個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」を確認してください。
取扱担当者とアクセス範囲を限定する
個人番号を扱う担当者や業務の範囲を明確にし、必要な人だけがアクセスできるようにすることも重要です。
人事部門の従業員であっても、全員がマイナンバーを閲覧する必要があるとは限りません。担当業務に応じてアクセス権限を設定し、権限の付与・変更・削除を適切に行いましょう。
また、委託先やクラウドサービスを利用する場合は、委託する事務の範囲、情報の受け渡し方法、委託先における安全管理措置なども確認する必要があります。
保存期間と廃棄方法を決める
マイナンバーを含む書類やデータは、必要がなくなった後も無期限に保管してよいわけではありません。
法令で保存が必要な書類などについては、必要な保存期間を確認し、保存期間を経過して個人番号を保管する必要がなくなった場合には、できるだけ速やかに廃棄・削除します。
紙の書類だけでなく、電子ファイルやシステム上のデータについても、廃棄・削除の方法を定めておくことが重要です。バックアップなどに個人番号が残る場合も含め、実際のシステム運用に合わせてルールを確認しましょう。
人事システムでマイナンバーを扱うときの確認ポイント
人事管理システムを導入・運用する際は、従業員情報を一元管理できるかどうかだけでなく、個人番号を含む情報の管理方法や、労務システムとの役割分担も確認しましょう。
通常の人事データと特定個人情報をどう分けるか
氏名、所属、役職、組織図、評価情報などの人事データと、法令に基づいて利用するマイナンバーでは、管理上の要件が異なります。
そのため、すべての情報を一つの人事マスタに集約することだけを目的にするのではなく、情報の利用目的や取扱いの要件に応じて、管理するシステムやデータの範囲を整理することが重要です。
権限設定とアクセス制御を確認する
システムを選定するときは、担当者ごとに利用できる機能や閲覧できる情報を制御できるか確認しましょう。
特に、個人番号を取り扱うシステムでは、アクセス権限、操作記録、認証方法、データの保管・削除、委託先の管理などを確認する必要があります。
なお、特定の機能があることだけで、法令上求められる安全管理措置をすべて満たせるとは限りません。自社の取扱規程や運用体制と合わせて評価することが大切です。
外部の労務システムとの連携範囲を確認する
人事管理システムと労務システムを併用する場合は、どの情報をどちらのシステムで管理するのかを明確にしましょう。
例えば、組織情報や従業員の基本情報は人事管理システムで管理し、マイナンバーを利用する税務・社会保険関係の手続きは、対応する労務システムで取り扱うといった役割分担が考えられます。
ただし、具体的な管理範囲や連携できる情報はサービスごとに異なります。連携対象、データの受け渡し方法、アクセス権限、契約条件などを各サービスの公式情報で確認してください。
サイレコで人事情報を一元管理するときの考え方
人事情報の管理方法を見直す場合は、通常の人事データと、マイナンバーなど法令上取扱いが限定される情報を区別したうえで、適切なシステムを組み合わせることが重要です。
クラウド型人事管理システムのサイレコは、組織人事の情報を蓄積し、経営情報としての活用を支援するサービスです。公式サイトでは、従業員情報の管理、組織図、人事異動シミュレーション、申請承認、情報の集計・可視化などの機能が紹介されています。
詳しくは、サイレコ公式・機能紹介をご覧ください。
サイレコは従業員情報や組織情報の管理に活用できる
従業員の基本情報や組織情報が複数のファイルやシステムに分散していると、更新漏れや情報確認の手間が発生することがあります。
サイレコでは、従業員情報の一元管理や組織図、履歴管理など、人事業務で扱う情報を整理・活用するための機能が提供されています。
ただし、マイナンバーを含む特定個人情報については、通常の人事情報と同じように扱えるとは限りません。サイレコ単体で対応できる範囲と、連携する労務システムで管理する範囲を区別して確認する必要があります。
マイナンバーは連携する労務システムとの役割分担を確認する
サイレコの公式サイトでは、HRコックピットのサービスとして、サイレコとオフィスステーションの連携が紹介されています。マイナンバーや年末調整などの労務情報を扱う場合は、連携するサービスの機能や管理範囲を確認し、適切な役割分担を検討しましょう。
システムを組み合わせる際は、次の項目を確認することが重要です。
- どのシステムで個人番号を取得・管理するのか
- 人事情報と労務情報の連携範囲はどこまでか
- 個人番号にアクセスできる担当者を制限できるか
- 委託先や連携先における安全管理措置を確認できるか
- データの保存・削除方法や契約条件が明確か
サービスの連携範囲や提供条件は変更される場合があります。導入を検討する際は、サイレコ公式・HRコックピットや料金プランで最新情報を確認してください。
人事担当者向けマイナンバー管理チェックリスト
マイナンバーを適切に管理するために、取得から廃棄までの運用を確認しましょう。以下の項目を、自社の取扱規程や実際の業務と照らし合わせて点検してください。
- マイナンバーを利用する業務と利用目的を明確にしている
- 本人への利用目的の通知など、必要な対応を行っている
- 本人確認の方法を定めている
- 取扱担当者と担当業務の範囲を明確にしている
- 個人番号にアクセスできる担当者を必要な範囲に限定している
- 通常の人事情報と特定個人情報の取扱いを区別している
- 紙の書類や電子ファイルの保管方法を定めている
- 委託先やクラウドサービスの管理方法を確認している
- 保存期間と廃棄・削除のルールを定めている
- 漏えいなどの事案が発生した場合の対応手順を確認している
- 担当者に必要な教育や周知を行っている
- 法令やガイドラインの改正に合わせて運用を見直している
チェックリストの内容は、個人情報保護委員会の事業者向けガイドラインを参考に、自社の業務内容に合わせて整備しましょう。
よくある質問
人事担当者は従業員のマイナンバーカードを必ずコピーする必要がありますか?
いいえ。本人確認書類のコピーを保管することは、法令上、一律に義務付けられているわけではありません。コピーを保管する場合は、必要性を確認したうえで安全管理措置を講じ、不要になった段階で速やかに廃棄しましょう。
マイナンバーカードの裏面を本人確認書類としてコピーできますか?
身分証明書の写しとしてカードをコピーする場合、表面と裏面では取扱いが異なります。個人情報保護委員会は、身分証明書として表面をコピーすることは問題ない一方、番号法で定められた場合以外に、裏面の個人番号をコピーすることはできないと説明しています。
マイナンバーを社員番号として利用できますか?
いいえ。マイナンバーは、番号法で定められた事務などに利用範囲が限定されています。一般的な社員管理のために、マイナンバーを社員番号として利用することはできません。
参考:個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」
人事管理システムにマイナンバーを登録すれば、管理上の対応は完了しますか?
いいえ。システムに登録するだけでは十分とは限りません。利用目的、取扱担当者、アクセス権限、委託先の管理、保存・廃棄など、必要な安全管理措置を含めて運用を設計する必要があります。
まとめ|マイナンバーカードとマイナンバーを区別して管理しよう
人事・労務でマイナンバーカードを扱う際は、カードと個人番号の違いを理解し、利用目的や本人確認の方法に応じて適切に取り扱うことが重要です。
特に、次の3点を押さえておきましょう。
- マイナンバーは、法令で定められた事務などに利用範囲が限定されている
- 本人確認書類のコピーや個人番号を含む情報は、必要性と安全管理措置を確認して取り扱う
- 人事管理システムと労務システムの役割を整理し、情報ごとに適切な管理方法を設計する
人事情報の管理を見直す際は、個人番号を通常の人事データと同じように扱うのではなく、情報の種類や利用目的に応じて管理範囲を整理することが大切です。
従業員情報の一元管理や組織情報の活用を検討している場合は、サイレコの機能紹介をご確認ください。マイナンバーを含む労務情報については、連携する労務システムの機能や管理範囲も合わせて確認しましょう。
参考資料
- デジタル庁:マイナンバー制度
- デジタル庁:民間事業者向けマイナンバー関連情報
- 個人情報保護委員会:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)
- 個人情報保護委員会:本人確認書類のコピーの保管
- 個人情報保護委員会:マイナンバーカードのコピー
- 国税庁:社会保障・税番号制度
- 厚生労働省
- 日本年金機構
- サイレコ公式:機能紹介
- サイレコ公式:HRコックピット
- サイレコ公式:料金プラン
※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとにした解説です。個別の手続きでは、対象となる事務や最新の法令・行政機関の案内を確認してください。