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人事システムの導入失敗はなぜ起こる?7つの原因と導入前の確認事項

人事システムの導入失敗はなぜ起こる?7つの原因と導入前の確認事項

人事システムの導入失敗は、必要機能との不一致に加え、導入目的、業務フロー、データ、運用体制を十分に整えないまま進めることで起こります。予防には、契約前に自社の要件と役割分担を明確にし、本稼働前に移行データや実際の業務を検証することが重要です。

本記事では、失敗につながる7つの原因と対策を整理し、導入前のチェックリスト、導入後につまずいた場合の見直し方を解説します。

人事システムの導入失敗は「業務がどう変わったか」で判断する

人事システムは、予定どおり稼働しただけで導入成功とはいえません。判断の基準は、導入前に解決したかった業務上の課題が改善されているかどうかです。

たとえば、従業員情報の一元管理が目的なのに、部署ごとのExcelとシステムへの二重入力が続いていれば、運用を見直す必要があります。情報は集約できても、更新する担当者が決まっておらず内容が古いままなら、必要な場面で活用できません。

一方、導入直後の操作習得や問い合わせ対応には、一時的な負担が生じます。その負担だけで失敗と決めず、予定した移行期間内のものか、同じ問題が継続しているかを分けて確認しましょう。

導入前に「何を改善し、いつ、どの方法で確かめるか」を決めることが、失敗を見極める基準になります。

なお、本記事では従業員情報の管理を中心に扱います。給与計算や勤怠管理については、人事システムとの連携を確認する範囲で取り上げます。

人事システムの導入失敗につながる7つの原因と予防策

導入時の問題は、機能の有無だけでなく、準備や運用の条件からも生じます。以下の7つは確認すべき観点を整理したもので、失敗の発生頻度を示す順位ではありません。

起きる問題考えられる原因導入前の確認
導入効果を判断できない目的と達成基準が曖昧改善対象と測定方法を決める
必要な業務がシステムで完結しない業務フローと機能が合わない通常業務と例外処理を確認する
情報の重複・欠損が残るデータ定義や移行範囲が不明確項目を整理し、移行結果を照合する
二重入力がなくならない連携仕様の確認が不足更新元・対象項目・連携方法を確かめる
現場で使われない操作検証や教育が不足利用者ごとに実務操作を試す
情報が更新されない、不要な情報まで見える更新責任と権限が未整理担当者と閲覧・編集範囲を決める
予算や日程を超過する社内工数・支援範囲の見落とし総費用と役割分担を確認する

1.目的と達成基準が曖昧で、選定条件が定まらない

「人事DXを進めたい」「業務を効率化したい」という目的だけでは、必要な機能や優先順位を決めにくくなります。

まず、対象業務と困っている状態を具体化しましょう。たとえば「住所変更の申請を紙で受け取り、複数の台帳へ転記している」であれば、申請から承認、情報更新までの作業を整理できます。

達成基準には、対象業務の処理時間、転記回数、差戻し件数など、自社で確認できる指標を使います。導入前の状態を記録し、導入後も同じ条件で比べることが大切です。目標値は他社の成果を流用せず、自社の業務量と実現可能性から設定します。

IPAも、要求を整理・文書化し、関係者と合意することを要件定義の工程として説明しています。人事部門、利用部門、情報システム部門で、解決する課題を共有しましょう。出典:IPA「要件定義とは?」

2.業務フローを整理せず、機能と実務が合わない

「ワークフロー機能がある」と確認しても、自社の承認業務をそのまま実行できるとは限りません。承認者の不在、申請の差戻し、兼務者の扱いなど、例外的な処理まで確認する必要があります。

現状の業務を「誰が、何を受け取り、どう判断し、どこへ渡すか」で書き出してください。そのうえで、法令・契約・社内統制上必要な手続きと、慣習で続けている手続きを分けます。

すべての現行手順を再現しようとすると、設定や追加対応が複雑になる場合があります。必要な手順を残しつつ、業務側を変更できる余地も検討しましょう。

機能確認では、標準機能で対応できるのか、設定変更が必要なのか、追加費用を伴う対応なのかを分けて記録すると、契約後の認識違いを防ぎやすくなります。

3.データの定義と移行範囲が曖昧で、移行後に不整合が残る

部署ごとに異なる形式で管理していた情報は、集めるだけでは一元管理に適した状態になりません。同じ従業員が重複登録されたり、所属部署の表記が統一されていなかったりすると、検索や集計に支障が出ます。

移行前には、社員番号などの識別情報、項目の意味、入力形式、必須項目を整理します。「所属」が主所属を指すのか、兼務先を含むのかといった定義も必要です。IPAも、データ活用には項目の形式と意味を定義する必要があると説明しています。出典:IPA「データ整備のポイント」

移行する範囲は、現在の情報だけか、異動などの履歴も含むかを決めましょう。保存が必要な情報については、移行しない場合の保管・参照方法も整理します。

本番前には一部のデータで移行を試し、件数だけでなく、項目の値や履歴の対応を照合してください。誤りの修正担当と再確認の方法まで決めておくことが重要です。

4.連携の仕様を確認せず、二重入力が残る

「給与システムと連携できる」という説明だけでは、必要な情報が希望するタイミングで受け渡されるかは判断できません。

連携では、少なくとも次の事項を確認します。

  • 対象となるシステム・契約プラン
  • 受け渡すデータ項目
  • どちらのシステムを更新元とするか
  • 片方向か双方向か
  • 更新頻度と反映までの時間
  • エラーの確認方法と修正担当
  • 設定・運用にかかる費用

CSVファイルを担当者が出力・取り込みする方法と、APIを使ってシステム間でデータを受け渡す方法では、必要な操作が異なります。API連携でも、すべての項目が自動で同期されるとは限りません。

住所や所属などの項目ごとに「どこで変更し、どこへ反映するか」を決め、連携されない情報の扱いまで確認しましょう。

5.現場検証と教育が不足し、利用が定着しない

選定担当者が操作できても、従業員や承認者が同じように使えるとは限りません。管理画面だけで判断せず、実際の利用者の立場で試すことが必要です。

たとえば住所変更なら、従業員による申請、上司や人事による承認、差戻し後の修正、情報の反映までを通して確認します。利用予定の端末やブラウザで、入力しにくい箇所がないかも見ておきましょう。

教育は、操作マニュアルの配布だけで終わらせず、「誰が、いつ、何をするか」を業務の流れと合わせて説明します。申請方法が分からない場合と、申請内容の判断に迷う場合とで、問い合わせ先を分けることも有効です。

稼働後は、申請の差戻しや問い合わせ内容を確認し、同じ箇所でつまずいていれば、画面設定・手順・説明資料を見直します。

6.更新責任と権限を決めず、情報の放置や過剰な閲覧が起きる

情報を集約しても、更新責任者が決まっていなければ、データは古くなります。項目ごとに、入力する人、承認する人、内容を確認する人を決めておきましょう。

権限は、業務上必要な範囲で設計します。人事担当者、部門管理者、従業員本人で閲覧・編集できる情報を分け、異動や退職時に誰が権限を変更・停止するかも明確にします。

個人情報取扱事業者が扱う個人データには、個人情報保護法第23条に基づく安全管理措置が必要です。個人データの取扱いを委託する場合は、同法第25条に基づく委託先の監督も確認事項になります。出典:個人情報保護委員会「通則編」

ただし、クラウド利用が一律に委託に当たるわけではありません。提供事業者が個人データを取り扱うかなどの条件で扱いが変わります。契約内容を踏まえて法務担当者等に確認し、自社の安全管理も行う必要があります。出典:個人情報保護委員会「Q&A」Q7-53・Q7-54

7.社内工数・支援範囲・総費用を見落とし、計画が崩れる

月額料金だけで予算を組むと、初期設定やデータ整備、教育、連携などの負担を見落とすおそれがあります。提供会社への支払いに加え、自社担当者の作業時間も見積もりましょう。

特に「導入支援あり」という説明は、具体的な作業範囲の確認が必要です。設定方法の説明なのか、設定作業の代行まで含むのか、移行元データの修正は誰が行うのかを明確にします。

見積もりでは、初期費用、利用料、オプション、連携、追加支援、契約更新や解約時の条件を確認します。比較する期間と利用人数を揃えることも大切です。

日程は、提供会社の設定作業だけでなく、社内のデータ確認、承認、現場検証まで含めて組みます。人事評価などの繁忙期と重なる場合は、担当者の確保や稼働時期を調整してください。

失敗予防は、業務整理から試行運用まで順に進める

確認事項を漏れなく並べるだけでは、準備は進みません。次の3段階に分け、各段階で決めることを明確にしましょう。

1.課題・対象業務・達成基準を社内で合意する

最初に、対象業務、現在の問題、改善したい状態、優先度、担当部門を一覧にします。

たとえば「住所変更後の転記が複数回発生する」という課題なら、対象業務を情報変更の申請・承認・反映とし、どの転記をなくしたいかまで書きます。この段階では、特定製品の機能名に合わせて課題を表現する必要はありません。

今回は対象外にする業務も決め、検討途中で要望が増えたときは、費用や日程への影響を確認して追加の可否を判断します。

2.自社の業務シナリオで候補製品を検証する

デモやトライアルでは、自社で行う作業を順番に試します。住所変更であれば、次の流れが検証例になります。

  1. 従業員が変更内容を入力する
  2. 承認者が確認し、不備があれば差し戻す
  3. 従業員が修正し、再申請する
  4. 承認後の情報を人事担当者が確認する
  5. 必要な情報を後続業務へ渡す

検証には架空の氏名などのテストデータを使用し、実データが必要な場合は利用条件と安全管理を確認します。「できた・できない」に加え、必要な設定、手作業、追加費用を記録してください。

3.移行・権限・操作を確認してから本稼働を判断する

本稼働の可否は、契約時に決めた日付だけで判断しないことが重要です。

移行結果の不一致が解消しているか、権限が想定どおりか、担当者が主要業務を実行できるかを確認します。未解決事項が残る場合は、業務への影響と代替手順を整理し、責任者が稼働の可否を判断します。

旧運用と並行して確認する場合は、期間、正式な記録とするシステム、終了条件を決めましょう。終了条件がないと、確認のために始めた二重管理が残り続ける可能性があります。

契約前・本稼働前のチェックリストで未決事項を残さない

次のチェックリストは、自社の準備状況を整理するための例です。「確認済み・未確認・対象外」に加え、担当者名と期限を記入して利用してください。

時点確認項目主な確認担当完了条件の例
契約前導入目的・対象業務選定担当・業務責任者改善したい状態と対象外業務が合意されている
契約前必須機能・例外処理人事・利用部門必須業務を試し、対応方法を確認している
契約前データ移行人事・提供会社対象項目・履歴・作業分担・費用が明確になっている
契約前システム連携情報システム・提供会社項目・方向・頻度・エラー対応が確認できている
契約前総費用・支援範囲選定担当・購買等見積もりと役割分担に必要な作業が含まれている
契約前安全管理・契約条件情報システム・法務等必要な管理条件と解約時のデータ出力・返却・削除条件を確認している
本稼働前移行結果人事・提供会社件数・主要項目・履歴を照合し、不一致に対応している
本稼働前閲覧・編集権限人事・情報システム役割別に、閲覧できる情報とできない情報を検証している
本稼働前操作・教育利用部門・運用責任者主要業務を試し、問い合わせ先を周知している
本稼働前稼働判断導入責任者未解決事項の影響と代替手順を確認し、稼働を承認している

完了条件には、「説明を聞いた」だけでなく、見積書、設定一覧、検証記録など、確認結果が分かる資料をひも付けます。担当者が交代しても、判断の経緯を追えるようにするためです。

チェックが付いた項目数だけで導入可否を決めてはいけません。 重要なデータの不整合や権限の誤りなど、影響の大きい問題が残っていれば、解消方法を確認してから進めましょう。

導入後につまずいたら、製品・設定・運用のどこに原因があるかを分ける

導入後に問題が見つかった場合は、影響を受けている業務と期限を確認し、必要な暫定対応を決めます。そのうえで、原因を次の3つに分けると対応を検討しやすくなります。

原因の所在問題の例最初に確認すること
製品の対応範囲必須の承認方法やデータ項目に対応できない代替機能、追加対応、要件変更の可否
設定・データ権限設定が異なる、取り込み時に項目がずれる設定内容、移行元データ、修正方法
運用更新されない、問い合わせが集中する担当者、更新期限、手順・教育の不足

設定や運用の見直しで対応できる場合は、改修と再検証を進めます。必須要件を満たせず、代替運用の負担も大きい場合は、継続利用と乗り換えの費用・工数を比較します。

乗り換えを検討するときも、最初に原因を整理することが必要です。更新責任やデータ定義が曖昧なままでは、別の製品でも同じ問題が残るおそれがあります。

サイレコを検討する際も、機能と導入支援の対応範囲を確認する

サイレコは、組織人事の情報を蓄積し、経営情報としての活用を支援するクラウド型人事管理システムです。従業員情報の管理、CSVによる一括登録、申請承認・ワークフローなどの機能を提供しています。サイレコの機能紹介

項目単位の表示・非表示や閲覧・編集権限も設定できるため、自社の情報管理ルールに合うかを確認できます。サイレコFAQ

また、導入プランに応じて、専任のサポートチームが項目設定・情報登録・運用設計などを支援します。自社で必要な準備と依頼できる作業を整理し、支援範囲や費用を確認しましょう。サイレコのサポート

まとめ|未決事項の担当者と完了条件を決めて導入を進める

人事システムの導入失敗を防ぐには、目的、業務フロー、データ、連携、現場の操作、運用責任、費用・支援範囲を確認することが重要です。

まずはチェックリストを使い、自社で決めることと提供会社へ確認することを整理してください。未決事項ごとに担当者・期限・完了条件を設けると、導入準備を具体的に進められます。

導入前の確認項目を整理できたら、サイレコの機能・導入支援と照らし合わせてみませんか。自社に必要な対応範囲を検討するために、サービス資料をご活用ください。

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