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個人情報の取り扱いとは?企業が守るべきルール・注意点・漏えい時の対応をわかりやすく解説

企業活動では、顧客情報、従業員情報、応募者情報、取引先担当者の連絡先など、日常的に多くの個人情報を取り扱います。しかし、個人情報は業務に欠かせない一方で、取り扱いを誤ると漏えい、目的外利用、第三者提供のトラブルにつながり、企業の信用を大きく損なうおそれがあります。個人情報保護法では、個人情報の取得・利用・保管・管理・第三者提供・本人からの請求対応などについて、事業者が守るべきルールが定められています。特に、個人データの漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれがある場合には、個人情報保護委員会への報告や本人通知が必要です。
この記事では、個人情報の取り扱いに不安がある企業担当者に向けて、基本用語から実務上の注意点、漏えい時の対応、違反時のリスクまでわかりやすく整理します。

個人情報の取り扱いとは

個人情報を取得・利用・保管・提供する一連の管理を指す

個人情報の取り扱いとは、氏名や住所、電話番号、メールアドレスといった基本的な情報に加え、顧客情報や従業員情報など、個人を識別できるあらゆる情報を取得し、利用し、保管・管理し、必要に応じて第三者へ提供する一連の行為を指します。単にデータを保有するだけでなく、「どのような目的で取得し、どの範囲で利用し、どのように管理するか」といった一連のプロセス全体が対象となる点が重要です。これらの管理が適切に行われていない場合、情報漏えいや不正利用といったリスクが高まり、企業の信頼性にも大きな影響を及ぼします。

個人情報保護法の目的

個人情報保護法は、個人情報の有用性に配慮しながら、個人の権利や利益を保護することを目的とした法律です。企業活動において個人情報は、サービス向上やマーケティング、業務効率化などに欠かせない重要な資源ですが、その取り扱いを誤るとプライバシー侵害やトラブルにつながる可能性があります。そのため、事業者は個人情報を自由に利用できるわけではなく、利用目的の明確化や目的外利用の禁止、安全管理措置の実施など、法律で定められたルールを遵守する必要があります。

企業・団体・個人事業主も対象になる

個人情報データベース等を事業に利用している場合、多くの企業・団体・個人事業主が個人情報取扱事業者に該当します。過去には一定規模以下の事業者が対象外となるケースもありましたが、法改正により現在では規模にかかわらず、ほとんどの事業者が対象とされています。例えば、顧客リストをExcelで管理している場合や、問い合わせフォームで取得した個人情報を保存している場合も対象に含まれます。そのため、「自社は小規模だから関係ない」と考えるのではなく、すべての事業者が適切な個人情報の取り扱い体制を整えることが求められています。

どこまでが個人情報にあたるのか

氏名・住所・生年月日・顔写真など

氏名、住所、生年月日、顔写真など、特定の個人を識別できる情報は個人情報に該当します。これらは単体でも個人を特定できるため、最も基本的かつ代表的な個人情報といえます。企業においては、顧客管理や従業員管理、採用活動などさまざまな場面でこれらの情報を扱う機会が多く、適切な取り扱いが求められます。特に、紙の名簿やデータベースなどにまとめて管理されるケースでは、情報の流出や紛失のリスクも高まるため、管理体制の整備が重要になります。

メールアドレスや電話番号も個人情報になる場合がある

メールアドレスや電話番号は、それ単体では特定の個人を識別できない場合もありますが、氏名や会社名、住所など他の情報と組み合わせることで個人を特定できる場合には個人情報に該当します。例えば、企業ドメインのメールアドレスや個人名が含まれるアドレスは、それ自体で個人を識別できるケースもあります。また、顧客管理システムなどでは複数の情報が紐づいて管理されるため、単体の情報だけで判断せず、データ全体の関連性を踏まえて個人情報かどうかを判断することが重要です。

個人識別符号とは

マイナンバー、運転免許証番号、パスポート番号といった公的な番号や、指紋、虹彩、顔認証データなどの生体情報は「個人識別符号」と呼ばれ、これらが含まれる情報は個人情報として扱われます。これらの情報は非常に高い識別性を持っており、他の情報と照合しなくても個人を特定できる点が特徴です。そのため、漏えいや不正利用が発生した場合の影響も大きく、通常の個人情報以上に厳格な管理体制やアクセス制限が求められます。

要配慮個人情報は特に慎重な取り扱いが必要

病歴、健康診断結果、障害の有無、犯罪歴、信条などは「要配慮個人情報」に該当し、通常の個人情報よりも厳重な取り扱いが必要とされます。これらの情報は、外部に漏えいした場合に差別や偏見、不利益につながる可能性があるため、法律上も特に保護の必要性が高い情報とされています。そのため、取得する際には原則として本人の事前同意が必要となり、利用目的の明確化やアクセス制限、管理体制の強化など、より慎重な対応が求められます。

個人情報・個人データ・保有個人データの違い

個人情報とは

個人情報とは、生存する個人に関する情報であり、氏名や住所、顔写真などを通じて特定の個人を識別できる情報を指します。また、単体では個人を特定できない情報であっても、他の情報と容易に照合することで個人を識別できる場合には、個人情報として扱われます。この定義は個人情報保護法の根幹となるものであり、実務においてもまず理解しておくべき基本概念です。

個人データとは

個人データとは、個人情報データベース等を構成する個人情報のことを指します。例えば、顧客リストや従業員名簿、営業管理システム(CRM)など、検索や整理が可能な形で体系的に構成された情報が該当します。実務では、この個人データの取り扱いに関して、安全管理措置や漏えい防止対策など、具体的な義務が課されるため、個人情報との違いを正しく理解することが重要です。

保有個人データとは

保有個人データとは、個人データのうち、事業者が開示、訂正、利用停止、削除などの請求に応じる権限を持つものを指します。例えば、顧客からの問い合わせに応じて情報を開示したり修正したりできるデータが該当します。この区分に該当するかどうかによって、本人からの請求に対する対応義務が発生するため、実務上は特に重要な概念となります。

用語の違いを理解することが実務対応の第一歩

個人情報、個人データ、保有個人データといった用語は似ていますが、それぞれ意味や適用範囲が異なります。例えば、取得時には利用目的の明示が求められ、保管時には安全管理措置が必要となり、第三者提供時には同意や記録が必要になります。また、本人からの開示請求や利用停止請求に対応する際には、保有個人データに該当するかどうかが重要な判断基準となります。これらの違いを正しく理解することで、実務における判断ミスや法令違反のリスクを防ぐことができます。

個人情報を取得・利用するときの基本ルール

利用目的をできる限り具体的に特定する

個人情報を取得する際には、「サービス提供のため」「採用選考のため」「問い合わせ対応のため」など、利用目的をできる限り具体的に特定する必要があります。利用目的が曖昧なままでは、どこまで利用してよいのか判断が難しくなり、意図せず目的外利用につながるリスクがあります。実務では、プライバシーポリシーや申込フォームなどに明確に記載し、誰が見ても理解できる状態にしておくことが重要です。

利用目的を本人に通知・公表する

個人情報を取得する場合、あらかじめ利用目的を公表しておくか、取得後速やかに本人へ通知または公表する必要があります。特に、問い合わせフォームや会員登録、採用応募などでは、取得時点で利用目的を明示することが求められます。利用目的を適切に伝えることで、利用者の安心感を高めるとともに、企業としての透明性や信頼性の向上にもつながります。

目的外利用は原則として本人同意が必要

取得時に示した利用目的の範囲を超えて個人情報を利用する場合は、原則として本人の同意が必要です。例えば、問い合わせ対応のために取得した情報を、無断で営業活動に利用することは認められていません。ただし、法令に基づく場合など一定の例外はありますが、基本的には「取得時に示した目的の範囲内で利用する」という原則を徹底することが重要です。

不正取得・不適正利用をしない

虚偽の申告をさせたり、不正な手段を用いて個人情報を取得することは禁止されています。また、違法・不当な行為を助長するような方法で個人情報を利用することも認められていません。例えば、本人の意図に反する形での情報収集や、社会的に不適切とされる用途での利用はリスクが高く、法令違反となる可能性があります。適正な方法で取得し、適切な範囲で利用することが基本となります。

個人データを保管・管理するときの注意点

安全管理措置を講じる

個人データを保管・管理する際には、漏えいや紛失、不正アクセスなどを防ぐための安全管理措置を講じる必要があります。例えば、紙の書類は施錠できるキャビネットで管理し、電子データについてはパスワード設定やアクセス制限、セキュリティソフトの導入などを行うことが基本です。また、クラウドサービスを利用する場合も、アクセス権限の設定やログ管理などを徹底することが重要です。

データを正確・最新に保つ

個人データは、利用目的の達成に必要な範囲で正確かつ最新の内容に保つことが求められます。古い情報や誤った情報をそのまま利用すると、業務上のミスやトラブルにつながる可能性があります。例えば、住所変更が反映されていない場合の誤送付などが典型的な例です。定期的なデータ更新や見直しの仕組みを整えることが重要です。

不要になった個人データは削除を検討する

利用する必要がなくなった個人データについては、遅滞なく削除するよう努めることが求められます。不要なデータを長期間保有し続けることは、漏えいリスクを高める要因になります。保存期間のルールをあらかじめ定め、一定期間経過後に自動削除する仕組みを導入するなど、適切なデータ管理が重要です。

従業員・委託先の監督も必要

個人データの取り扱いは、社内の担当者だけでなく、業務委託先や外部パートナーが関与するケースも多くあります。そのため、従業員に対しては適切な教育や監督を行い、誤操作や不正行為を防ぐ必要があります。また、委託先に対しても、契約書の締結や管理体制の確認を通じて、安全管理が適切に行われているかを継続的に監督することが重要です。

個人情報を第三者提供するときのルール

原則として本人の同意が必要

個人データを第三者に提供する場合は、原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要があります。これは、本人が知らないうちに自分の情報が外部に渡ることを防ぐための重要なルールです。例えば、顧客情報を他社のマーケティングに利用する場合や、別の企業へ提供する場合などは、事前に明確な同意を取得しておく必要があります。同意の取得方法についても、書面やWeb上のチェックボックスなど、後から確認できる形で残しておくことが望ましいです。

同意なしで提供できる例外

一定の条件を満たす場合には、本人の同意がなくても個人データを第三者に提供できる例外があります。例えば、法令に基づく場合(警察や裁判所からの照会など)、人の生命・身体・財産の保護のために緊急性が高く同意取得が困難な場合、公衆衛生の向上や児童の健全育成に必要な場合などが該当します。また、業務委託、事業承継、共同利用なども例外として認められる場合があります。ただし、これらはあくまで例外であり、条件を正しく理解したうえで慎重に判断することが重要です。

第三者提供時は記録・確認が必要

個人データを第三者に提供した場合や、逆に第三者から提供を受けた場合には、「いつ・誰の・どのような情報を・誰に(誰から)」提供したのかを確認し、記録として残す必要があります。この記録は一定期間保存する義務があり、後から確認できる状態にしておくことが求められます。こうした記録管理は、不正利用の防止やトラブル発生時の対応にも役立つため、実務上も非常に重要なポイントとなります。

外国にある第三者への提供は追加確認が必要

海外事業者や海外クラウドサービスなど、外国にある第三者へ個人データを提供する場合には、国内の場合よりも厳格な対応が求められます。具体的には、提供先の国の個人情報保護制度や、提供先事業者が講じている保護措置について、本人に情報提供を行ったうえで同意を取得する必要があります。また、提供先の管理体制が適切であるかを定期的に確認することも重要です。グローバル化が進む中で、越境データの取り扱いは企業にとって重要なリスク管理領域となっています。

個人情報の漏えい等が起きたときの対応

漏えい・滅失・毀損とは

個人情報の事故には、「漏えい」「滅失」「毀損」という3つの概念があります。漏えいは個人データが外部に流出すること、滅失はデータ自体が消失してしまうこと、毀損はデータの内容が改ざんされたり利用できない状態になることを指します。これらはいずれも個人の権利利益に影響を与える可能性があるため、重大なインシデントとして適切に対応する必要があります。

報告・本人通知が必要になるケース

一定の条件に該当する個人情報の漏えい等が発生した場合には、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務付けられています。具体的には、要配慮個人情報が含まれる場合、財産的被害のおそれがある場合、不正アクセスなど不正目的による漏えいの可能性がある場合、または1,000人を超える個人データが影響を受けた場合などが該当します。これらのケースでは、速やかな対応が求められます。

初動対応で確認すべきこと

漏えい等が発覚した場合、まずは被害の全体像を把握することが重要です。具体的には、どの範囲の情報が漏えいしたのか、対象人数はどれくらいか、どのような種類の情報が含まれているか、発生原因は何か、二次被害の可能性はあるか、本人にどのような影響が考えられるかなどを迅速に整理します。この初動対応の精度が、その後の対応の適切さを左右します。

再発防止策まで講じることが重要

漏えい事故への対応は、報告や通知を行って終わりではありません。原因を分析し、再発防止策を講じることが不可欠です。例えば、アクセス権限の見直し、システムのセキュリティ強化、従業員への教育・研修の実施、委託先の管理体制の見直しなどが挙げられます。これらを継続的に改善していくことで、同様の事故を未然に防ぐことができます。

個人情報の取り扱いに違反した場合のリスク

行政指導・勧告・命令の対象になる

個人情報の取り扱いに違反した場合、個人情報保護委員会から報告徴収や立入検査を受ける可能性があります。その結果、問題が認められた場合には、指導や助言、勧告、さらには是正措置を求める命令が出されることもあります。これらの行政対応は企業活動に直接的な影響を与えるだけでなく、外部に公表されることで企業イメージにも大きなダメージを与える可能性があります。

刑事罰・罰金の可能性がある

重大な違反行為については、刑事罰の対象となる可能性もあります。例えば、個人情報保護委員会の命令に違反した場合には、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。また、不正な目的で個人データを提供・盗用した場合には、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される場合があります。法人の場合は、これに加えて高額な罰金が科されるケースもあり、経営リスクとして無視できません。

企業の信用低下・損害賠償リスクもある

個人情報の取り扱いに関するトラブルは、法的責任にとどまらず、企業の信用低下にも直結します。一度でも情報漏えいや不正利用が発生すると、顧客離れや取引先からの信用失墜、採用活動への悪影響など、長期的なダメージにつながる可能性があります。また、被害者から損害賠償請求を受けるケースもあり、金銭的な負担も大きくなるおそれがあります。

企業が実践すべき個人情報取り扱いチェックリスト

利用目的を明文化しているか

個人情報を取り扱う際には、利用目的を明確に定め、プライバシーポリシーや社内規程などに明文化しておくことが重要です。利用目的が曖昧なままでは、目的外利用につながるリスクがあるため、誰が見ても理解できる形で整理しておく必要があります。

アクセス権限を最小限にしているか

個人データへのアクセス権限は、業務上必要な担当者のみに限定することが基本です。全社員が自由に閲覧できる状態では、不正利用や情報漏えいのリスクが高まります。アクセスログの管理や権限設定の見直しを定期的に行うことも重要です。

従業員教育を定期的に行っているか

個人情報の取り扱いは、現場で働く従業員の意識や理解に大きく左右されます。メールの誤送信、書類の紛失、USBメモリの持ち出し、クラウド共有設定のミスなど、日常業務の中で起こりやすい事故を防ぐためにも、定期的な研修や教育を実施することが重要です。

委託先の管理体制を確認しているか

業務の一部を外部に委託する場合には、委託先の管理体制も重要なチェックポイントとなります。契約書の締結や秘密保持義務の明確化、安全管理措置の内容確認、再委託の有無などを事前に確認し、適切に管理されているかを継続的にチェックする必要があります。

漏えい時の対応フローを整備しているか

万が一の情報漏えいに備え、発覚時の対応フローを事前に整備しておくことが重要です。具体的には、社内の報告ルートや責任者の明確化、本人への通知方法、個人情報保護委員会への報告手順などをあらかじめ決めておくことで、緊急時にも迅速かつ適切に対応することができます。

まとめ

個人情報の取り扱いは、単に情報を管理するだけでなく、取得・利用・保管・第三者提供・漏えい時の対応まで一貫したルールのもとで行うことが重要です。特に企業においては、顧客情報や従業員情報を日常的に扱うため、法令遵守はもちろん、社内体制の整備や従業員教育、委託先の管理まで含めた総合的な対策が求められます。違反した場合には行政対応や罰則だけでなく、企業の信用低下や損害賠償といった大きなリスクにつながる可能性があります。まずは自社の個人情報の取り扱い状況を見直し、必要に応じて専門家やセキュリティサービスへの相談を行いながら、安全で信頼性の高い管理体制を構築していきましょう。

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