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人事制度設計・見直しコンサルとは?失敗しない進め方と選び方を人事実務視点で解説

人事制度は一度設計すれば長く使えるものと思われがちですが、事業フェーズや組織規模、働き方の変化に伴い、制度と現場の実態が徐々にズレていくケースは少なくありません。評価結果に対する納得感が薄れている、評価者ごとの判断にばらつきがある、昇給や昇格の基準を説明しづらいといった悩みは、多くの場合「人事制度そのもの」ではなく「設計思想と運用の不一致」から生じています。

こうした課題に直面したとき、選択肢として検討されるのが人事制度設計・見直しコンサルの活用です。ただし、コンサルに依頼すれば自動的に制度が良くなるわけではありません。人事制度は、評価・報酬を決めるための仕組みではなく、経営戦略や人材育成方針を現場に伝え、行動を変えるための仕組みだからです。目的が曖昧なまま制度を作り替えてしまうと、かえって現場の混乱や不信感を招くこともあります。

重要なのは、自社がなぜ人事制度を見直すのか、どの部分に課題があり、どこまで外部の力を借りるべきなのかを整理したうえで、適切な支援を選ぶことです。本記事では、人事制度設計・見直しコンサルが果たす役割や依頼できる範囲、活用するメリット・デメリット、失敗しない選び方までを、人事実務の視点から体系的に解説します。制度を「作り直す」ことではなく、「機能させる」ことを重視したい担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

人事制度設計・見直しコンサルとは何をする存在か

人事制度設計・見直しコンサルは、等級制度・評価制度・報酬制度といった人事制度を、会社の事業戦略や人材戦略と整合させながら「機能する仕組み」に再設計するための専門支援です。制度は作っただけでは定着せず、運用が形骸化すると納得感の低下や人材育成の停滞につながります。そこで、社内だけでは見落としがちな課題を第三者視点で整理し、設計〜導入〜運用までの道筋を整えるのがコンサルの役割です。

人事制度コンサル=「制度を作る人」ではない

よくある誤解が、「人事制度コンサル=制度の雛形を作って納品する人」というイメージです。しかし本質はそこではありません。人事制度は企業文化・事業フェーズ・現場の実態と密接に結びついており、テンプレートを当てはめるだけでは高確率で運用が崩れます。

人事制度コンサルは、制度そのものよりも先に「なぜ制度を変えるのか(目的)」を言語化し、現状の課題(評価のばらつき、処遇の不透明さ、育成につながらない等)を構造化したうえで、制度設計の方向性を定めます。その上で、評価基準・評価プロセス・説明資料・研修などを通じて、制度が現場で回る状態まで落とし込む支援を行います。

等級・評価・報酬を“経営と人材戦略につなぐ”役割

人事制度は「人を査定する仕組み」ではなく、会社が求める行動・成果を引き出し、人材育成と組織成長を促すための仕組みです。等級・評価・報酬がバラバラに存在すると、制度が現場の納得感を失い、優秀人材の定着や育成に悪影響が出ます。

コンサルが担う重要な役割は、以下のような“つながり”を設計することです。

  • 経営戦略(どんな事業を伸ばすか)
  • 人材戦略(どんな人材を増やし育てたいか)
  • 制度設計(等級・評価・報酬にどう反映するか)
  • 運用設計(誰が、いつ、どう評価し、どう説明するか)

例えば「成長事業を伸ばすために挑戦を促したい」のに、評価項目が減点主義で失敗に厳しいと、制度が経営方針と逆方向に働きます。こうしたズレを修正し、制度を“経営の意思決定が伝わる仕組み”として再設計するのが、人事制度設計・見直しコンサルの価値です。

新規構築と「見直し(再設計)」の違い

人事制度コンサルは「新しく制度を作る支援」だけではなく、すでに制度がある企業の「見直し(再設計)」支援のニーズも非常に多い領域です。両者は同じように見えて、実務上の難しさが異なります。

新規構築は、制度が存在しない(または未整備)状態から、方針を整理してゼロから制度を組み立てる支援です。設計の自由度が高い一方、制度導入の目的や優先順位が曖昧だと、形だけ整った制度になりやすい点に注意が必要です。

見直し(再設計)は、既存制度の運用課題を前提に、ズレの原因を特定して改善します。例えば、以下のような論点が中心になります。

  • 評価基準と現場の業務実態が合っていない
  • 評価者によるばらつきが大きく、社員の納得感が低い
  • 等級定義が曖昧で、昇格・育成の道筋が見えない
  • 評価と報酬が連動しすぎ/連動しなさすぎで機能していない
  • 制度はあるのに説明不足で、運用が形骸化している

見直しの難しさは、過去の運用によって生じた不信感や固定観念、処遇への影響など「社内の感情・政治性」も含めて調整が必要になる点です。そのため、制度の設計論だけでなく、導入の説明設計・評価者教育・運用ルール整備まで含めて支援できるかが、見直しコンサル選びの重要ポイントになります。

人事制度を見直すべき典型的なサイン

人事制度の見直しは、「大きな問題が起きてから」行うものではありません。多くの企業では、制度が静かに機能不全を起こし、現場の違和感や小さな不満として表面化しています。以下のようなサインが複数当てはまる場合、人事制度そのもの、もしくは運用の見直しを検討すべきタイミングに来ている可能性があります。

評価結果に納得感がない・不満が出ている

評価面談のたびに社員から不満が出る、評価結果に対して「なぜこの評価なのか分からない」と言われる場合、制度設計や評価基準が現場に十分伝わっていない、もしくは評価基準自体が業務実態と合っていない可能性があります。

一部の社員だけが不満を持っている段階であれば個別対応で済むこともありますが、同様の声が複数部署から出ている場合は、制度全体の見直しが必要なサインと捉えるべきでしょう。

昇給・賞与の理由を説明できない

昇給や賞与の決定理由を、評価者や人事担当者が論理的に説明できない状態は、人事制度が形骸化している典型例です。「前年踏襲」「なんとなく平均との差をつけた」といった運用が続くと、社員の納得感が下がり、評価制度そのものへの信頼が失われていきます。

本来、人事制度は処遇決定の理由を言語化し、説明責任を果たすための仕組みです。説明が難しいと感じる場合は、評価項目・評価基準・報酬設計のいずれかにズレが生じている可能性があります。

管理職ごとに評価がブレる

同じ成果や行動をしているにもかかわらず、評価者が違うだけで評価結果に大きな差が出る場合、評価基準が抽象的すぎる、もしくは評価者教育が不十分である可能性が高いです。

評価のブレは、社員の不満を生むだけでなく、管理職同士の調整負荷を高め、人事部門の業務を圧迫します。制度設計だけでなく、評価プロセスや評価者トレーニングを含めた見直しが必要なサインと言えるでしょう。

人材育成・配置に制度が使われていない

評価結果が昇給や賞与の算定にしか使われておらず、人材育成や配置、登用に活かされていない場合、人事制度は本来の役割を果たしていません。

等級定義や評価項目が育成視点で設計されていないと、「次に何を頑張れば良いのか」が社員に伝わらず、成長実感を持ちにくくなります。制度が人材育成の会話に使われていない場合は、設計思想から見直す必要があります。

事業フェーズが変わったのに制度が昔のまま

創業期・成長期・成熟期など、事業フェーズが変化すれば、求められる人材像や評価軸も変わります。しかし、制度だけが過去のまま残っていると、現状の事業戦略と制度が噛み合わなくなります。

例えば、スピードや挑戦が求められるフェーズにもかかわらず、減点主義の評価制度が残っている場合、制度が経営の足を引っ張ることもあります。事業戦略と人事制度のズレを感じた時点が、見直しを検討する適切なタイミングです。

人事制度設計・見直しコンサルに依頼できる業務範囲

人事制度設計・見直しコンサルは、単に制度を作り替える支援ではありません。既存制度の運用実態を踏まえ、「どこが機能していないのか」「なぜズレが生じているのか」を整理したうえで、必要な部分に的を絞って再設計・運用改善を行うのが特徴です。ここでは、見直しフェーズでコンサルに依頼できる代表的な業務範囲を紹介します。

等級・評価・報酬制度の再設計

見直し支援の中心となるのが、等級・評価・報酬制度の再設計です。既存制度を前提に、等級定義が現場の役割やスキルと合っているか、評価項目が実際の業務内容や成果を正しく反映できているか、報酬との連動が過度または不十分になっていないかを検証します。

ゼロから作り直すのではなく、「残すべき要素」と「修正すべき要素」を切り分けながら再設計することで、現場の混乱を抑えつつ、制度の実効性を高める支援が行われます。

評価基準・評価プロセスの整理

評価に関する不満の多くは、評価基準の曖昧さや評価プロセスの不透明さに起因します。コンサルは、評価項目や評価尺度が具体的か、評価者によって解釈が分かれにくいかといった点を確認し、必要に応じて基準の言語化や整理を行います。

また、評価のタイミング、一次評価・二次評価の役割分担、フィードバックの方法など、評価プロセス全体を整理することで、評価のばらつきや属人化を抑える仕組みを構築します。

評価者研修・運用支援

制度を見直しても、評価者が正しく理解し、使いこなせなければ意味がありません。そのため、多くの人事制度設計・見直しコンサルでは、管理職向けの評価者研修や運用支援まで含めて対応します。

評価の考え方や判断基準の共有、面談時のフィードバック方法、評価のブレを防ぐポイントなどを研修やワークショップ形式で伝えることで、制度の現場定着を後押しします。

制度説明資料・社員向け説明会支援

制度変更時に見落とされがちなのが、社員への説明設計です。制度の背景や目的が十分に伝わらないまま運用が始まると、不安や不信感が生まれやすくなります。

コンサルは、人事担当者とともに制度説明資料を作成し、社員向け説明会やQ&A対応の支援を行います。制度の狙いを分かりやすく伝えることで、制度変更への納得感を高める役割を果たします。

制度定着後のモニタリング・改善提案

人事制度は導入して終わりではなく、運用を通じて初めて課題が見えてきます。そのため、制度定着後の運用状況をモニタリングし、評価分布や現場の声をもとに改善点を提案する支援も重要な業務範囲です。

初年度運用で生じたズレを放置せず、必要に応じて微修正を行うことで、人事制度を継続的に機能させる体制づくりにつなげます。

人事制度設計・見直しを外部コンサルに依頼するメリット・デメリット

人事制度設計・見直しを外部コンサルに依頼するかどうかは、多くの人事担当者が悩むポイントです。専門家の力を借りることで得られるメリットは大きい一方、使い方を誤ると期待した効果が得られないケースもあります。ここでは、実務の現場でよく語られるメリット・デメリットを整理し、後悔しない判断につなげる視点を解説します。

第三者視点で制度の歪みを可視化できる

外部コンサルを活用する最大のメリットは、社内では気づきにくい制度の歪みを、第三者視点で客観的に整理できる点です。人事制度は長年の運用を通じて、暗黙のルールや例外対応が積み重なり、当事者ほど問題に気づきにくくなります。

コンサルは、評価結果の分布、等級構成、評価基準と業務内容のズレなどを俯瞰的に確認し、「なぜ不満が出るのか」「どこで制度が機能していないのか」を構造的に言語化します。これにより、感覚論ではなく、整理された論点をもとに見直しを進めることが可能になります。

法的・他社事例を踏まえた設計が可能

人事制度の設計や見直しには、労働契約や賃金制度との整合性、評価に関する公平性など、法的な観点も欠かせません。外部コンサルは、人事・労務に関する最新の知見や、他社の制度見直し事例を踏まえた設計を提案できる点が強みです。

自社だけで検討していると視野が狭くなりがちですが、他社事例を踏まえた選択肢を知ることで、「自社にとって現実的な落としどころ」を見極めやすくなります。

短期間で設計〜導入まで進められる

人事制度の見直しは、想像以上に時間と工数がかかります。通常業務と並行して進めると、検討が長期化し、途中で止まってしまうケースも少なくありません。

外部コンサルを活用することで、スケジュール設計や検討プロセスを整理し、一定の期限を設けて制度設計から導入準備までを進めることができます。社内の検討を前に進める「推進役」としての役割を担ってもらえる点も、大きなメリットと言えるでしょう。

費用がかかる

一方で、外部コンサルに依頼する以上、一定の費用が発生します。特に、等級・評価・報酬制度を包括的に見直す場合や、運用支援・研修まで依頼する場合は、数百万円単位の投資になることもあります。

そのため、「何を解決したいのか」「どこまでを外部に任せるのか」を整理せずに依頼すると、費用対効果が見合わないと感じてしまう可能性があります。目的と業務範囲を明確にしたうえでの検討が不可欠です。

任せきりにすると社内にノウハウが残らない

もう一つの注意点は、コンサルに任せきりにしてしまうと、制度の考え方や運用ノウハウが社内に蓄積されにくい点です。設計意図を十分に理解しないまま制度だけが残ると、将来的な見直しや運用改善が難しくなります。

外部コンサルは「代行者」ではなく「伴走者」として活用し、検討プロセスや判断理由を社内で共有・理解することが重要です。依存するのではなく、社内で制度を回せる状態を目指すことが、外部コンサルを有効に活用するための前提となります。

人事制度設計・見直しコンサルの種類と向いている企業

人事制度設計・見直しコンサルは、提供主体や支援スキームによって特徴が大きく異なります。「有名だから安心」「料金が安いからお得」といった選び方をしてしまうと、自社の課題や体制に合わず、期待した成果が出にくくなることがあります。ここでは、代表的な3タイプを「制度見直し」の視点で整理し、どんな企業に向いているかを解説します。

フリーランス/プロ人材型が向いているケース

フリーランスや複業プロ人材をプロジェクト単位・期間限定で活用するタイプは、「課題が明確で、依頼範囲を絞れる企業」に向いています。たとえば、評価制度の運用だけが詰まっている、評価シートや基準の言語化だけを急ぎたい、評価者研修だけを実施したい、といったケースです。

必要な専門性をピンポイントで確保でき、比較的コストを抑えやすい点はメリットです。一方で、制度全体を抜本的に組み替えるような大規模プロジェクトや、複数部署を巻き込んだ合意形成・分析を伴う支援では、リソース不足になりやすい点に注意が必要です。見直しの範囲が広い場合は、役割分担(社内PM/外部支援)を明確にすると成功しやすくなります。

パッケージ型が合う企業・合わない企業

パッケージ型は、あらかじめ用意されたテンプレートや標準プロセスをもとに、短期間で制度を整えるタイプです。「制度が未整備に近い」「人事制度を一度も体系立てて整えたことがない」「まずは土台を作りたい」といった企業には相性が良い場合があります。

見直しフェーズでも、制度がシンプルで、かつ課題が運用面(評価フローが回らない、評価者が迷う等)に寄っている場合は、標準化された仕組みが効くことがあります。導入プロセスが明確で、スピード感を出しやすい点もメリットです。

一方で、企業文化や職種特性が強い会社、評価の納得感がすでに崩れていて社内調整が難しい会社、等級や報酬の設計思想そのものから見直す必要がある会社では、テンプレートが合わず「形は整ったが運用できない」状態になりやすい点に注意が必要です。見直しの場合は特に、既存制度の“前提”をどう扱うかが成果を左右します。

コンサルティングファームが必要なケース

コンサルティングファーム(法人型のコンサル会社)は、リソースと実績を活かして、制度設計を包括的に支援するタイプです。以下のようなケースでは、ファーム型が必要になりやすい傾向があります。

  • 等級・評価・報酬を一体で抜本的に見直したい
  • 部門やグループ会社をまたいだ制度統一が必要
  • ジョブ型・職種別制度など、設計難易度が高いテーマに踏み込みたい
  • データ分析や影響試算(人件費、昇降格、評価分布など)を踏まえて設計したい
  • 導入後の運用支援や研修を含め、一定期間の伴走が必要

幅広い業界知見や分析力を活かし、ゼロベースで設計思想から整えられる点は強みです。一方で、費用は高くなりやすく、また「設計が強いが運用支援はオプション」というケースもあるため、契約範囲の確認が重要です。

「見直し」フェーズでの選び分けの考え方

制度見直しで失敗しないためには、「会社の規模」だけでなく「課題の種類」と「社内体制」を軸に選び分けることが重要です。具体的には、次の観点で整理すると判断しやすくなります。

  • 課題が局所か全体か:運用の詰まり(局所)ならプロ人材型、制度全体の再設計(全体)ならファーム型が合いやすい
  • スピード優先か納得感優先か:短期で土台を整えるならパッケージ型、合意形成と納得感を重視するなら伴走型(ファーム/プロ人材)
  • 社内に推進役(PM)がいるか:推進役が強いほど、外部は“部分最適”の支援でも成果が出やすい
  • 調整難易度が高いか:評価への不信感が強い・処遇影響が大きい場合は、説明設計や運用支援までできるかが重要

見直しは「制度を作ること」よりも、「既存の前提をどう扱い、現場で回る形に落とし込むか」が難所になります。だからこそ、自社の課題に対して、どのタイプの支援が最も効果的かを見極めたうえで、依存しない活用(社内に判断軸と運用力を残す)を前提に選ぶことが、成功確率を高めるポイントです。

人事制度設計・見直しコンサルの費用相場と考え方

人事制度設計・見直しコンサルを検討する際、最も気になるのが「いくらかかるのか」「その費用に見合う価値があるのか」という点でしょう。制度の見直しは投資判断であり、単純な価格比較では適切な判断ができません。ここでは、一般的な費用相場とともに、費用の考え方や判断軸を整理します。

企業規模別の費用目安(小・中・大)

人事制度設計・見直しコンサルの費用は、企業規模や依頼範囲、支援期間によって大きく変わります。あくまで目安ですが、一般的には以下のようなレンジになることが多いです。

  • 小規模企業(従業員100名未満):50万円〜200万円程度
    制度の一部見直しや、評価制度・運用改善に絞った支援が中心となります。
  • 中規模企業(従業員100〜1,000名未満):200万円〜500万円程度
    等級・評価・報酬を一体で見直すケースや、導入・運用支援まで含める場合が多くなります。
  • 大規模企業(従業員1,000名以上):500万円〜
    グループ横断設計や影響試算、複数回の合意形成プロセスを伴うため、費用も高額になりやすい傾向があります。

実際の金額は、制度の複雑さや支援期間、関与するコンサルタントの人数・経験値によって上下します。

どこまで依頼すると費用が上がるのか

費用が高くなるかどうかは、「制度をどこまで外部に任せるか」によって決まります。特に費用が上がりやすいのは、次のようなケースです。

  • 等級・評価・報酬をすべて一体で再設計する
  • 評価者研修や社員向け説明会など、運用支援まで含める
  • 人件費影響や昇降格のシミュレーションを実施する
  • 複数部門・グループ会社を巻き込んだ合意形成が必要

一方で、論点整理や制度の方向性検討など、上流工程に絞って依頼すれば、費用を抑えつつ専門家の知見を活用することも可能です。

費用対効果を判断する3つの視点

費用が妥当かどうかを判断する際は、金額そのものではなく、次の3つの視点で考えることが重要です。

  1. 解決したい課題が明確か
    評価の納得感向上、人材育成の強化、離職防止など、何を改善したいのかが曖昧だと、効果測定ができません。
  2. 社内工数をどれだけ削減できるか
    人事担当者・管理職が費やす検討時間や調整工数をどれだけ減らせるかも、重要な投資対効果です。
  3. 制度が中長期で機能し続けるか
    一度作って終わりではなく、数年単位で使い続けられる設計かどうかを評価します。

「安い=良い」「高い=安心」ではない理由

費用が安いから成果が出る、高いから安心できる、という単純な関係はありません。安価でも自社の課題に的確にフィットすれば高い効果が出ることもあれば、高額でも設計思想や運用支援が合わずに形骸化するケースもあります。

重要なのは、金額そのものではなく「自社の課題に対して、どこまでの支援が必要か」を見極めることです。制度見直しはコストではなく投資であるという視点を持ち、費用の内訳と成果イメージをすり合わせたうえで判断することが、後悔しない選択につながります。

失敗しない人事制度設計・見直しコンサルの選び方

人事制度設計・見直しコンサルは、どこに依頼するかによって成果が大きく変わります。比較記事やランキングだけを見て選んでしまうと、「思っていた支援と違った」「制度はできたが運用が回らない」といった失敗につながりがちです。ここでは、実務の視点から、判断軸を明確にした選び方を整理します。

設計だけか、運用まで伴走するか

まず確認すべきなのは、コンサルの支援範囲が「制度設計まで」なのか、「導入・運用まで伴走する」のかという点です。人事制度は、設計よりも運用フェーズで課題が噴出するケースが多く、特に見直しの場合は現場への説明や評価者の理解が成否を左右します。

設計のみの支援は費用を抑えやすい一方、社内に運用を回せる体制やノウハウがない場合、制度が形骸化するリスクがあります。自社の体制を踏まえ、どこまで外部に支援してもらう必要があるかを整理したうえで選ぶことが重要です。

自社の業界・規模・フェーズ理解があるか

人事制度に「万能の正解」はありません。業界特性、企業規模、事業フェーズによって、適した制度の形は大きく異なります。そのため、過去の実績や事例が、自社と近い業界・規模・成長段階にあるかを確認することが欠かせません。

単に導入実績が多いだけでなく、「なぜその制度設計を選んだのか」「どんな課題にどう対応したのか」といった背景まで説明できるかどうかが、理解度を見極めるポイントになります。

「正解を押し付けない」スタンスか

制度見直しで失敗しやすいのが、外部の成功事例や理論をそのまま当てはめてしまうケースです。コンサルが一方的に「これが正しい制度です」と押し付けてくる場合、自社の文化や現場実態と合わず、反発や混乱を招くことがあります。

良いコンサルは、複数の選択肢や判断軸を提示し、メリット・デメリットを整理したうえで、最終的な意思決定を企業側に委ねます。議論を通じて、社内で制度への納得感が醸成されるかどうかが重要なチェックポイントです。

契約前に必ず確認すべき質問例

コンサル選定時には、提案資料や料金だけでなく、以下のような質問を投げかけてみることをおすすめします。

  • 今回の見直しで、どこが一番難所になりそうか
  • 制度変更に対する現場の反発が出た場合、どう対応するか
  • 設計意図や判断理由は、社内にどのように残してくれるか
  • 運用開始後、どのタイミングまで支援してもらえるか
  • 将来的に自社だけで制度を回せる状態をどう作るか

これらの質問に対して、具体的かつ現実的な回答が返ってくるかどうかで、伴走力や実務理解の深さを見極めることができます。比較記事では見えにくい部分だからこそ、こうした判断軸を持って選ぶことが、失敗しないコンサル選定につながります。

人事制度は「作って終わり」ではない|見直し後に重要な運用設計

人事制度の見直しで最も多い失敗は、「制度を作り直したことで安心してしまう」ことです。実務の現場では、制度そのものよりも、その後の運用設計や浸透プロセスによって成果が大きく左右されます。ここでは、制度見直し後に特に重要となる運用面のポイントを、実務視点で整理します。

制度説明・浸透施策の重要性

制度見直し後にまず取り組むべきなのが、社員への説明と浸透施策です。制度の内容がどれだけ理にかなっていても、背景や目的が伝わらなければ「また制度が変わった」という受け止め方をされてしまいます。

重要なのは、制度の細かいルールを説明することではなく、「なぜ見直したのか」「何を大切にしたいのか」「社員に何を期待しているのか」を一貫したメッセージとして伝えることです。説明資料や説明会、Q&Aの整備を通じて、社員が自分事として理解できる状態を作ることが、運用成功の第一歩になります。

初年度運用で必ず起きるズレ

制度を見直した初年度は、どれだけ入念に設計しても、想定外のズレや違和感が必ず発生します。評価項目の解釈が分かれる、評価者ごとに判断が揺れる、現場の業務実態と評価基準が噛み合わないなど、運用を通じて初めて見える課題は少なくありません。

重要なのは、こうしたズレを「失敗」と捉えず、改善前提で受け止めることです。初年度は検証期間と位置づけ、評価分布や現場の声をもとに微修正を行うことで、制度は徐々に現場にフィットしていきます。

定期的な見直し前提の制度設計

人事制度は、一度完成させたら固定するものではありません。事業戦略や組織構造、人材構成が変われば、制度も見直す必要があります。そのため、最初から「定期的に見直すこと」を前提に設計しておくことが重要です。

例えば、評価項目や等級定義を過度に細かく作り込みすぎない、評価基準の見直しルールをあらかじめ決めておく、といった工夫により、将来の修正コストを抑えることができます。柔軟性を持たせた制度設計が、中長期的な運用安定につながります。

外部コンサルとどう付き合い続けるか

制度見直し後も、外部コンサルとの関係を完全に断つ必要はありません。ただし、常に頼り続ける状態になると、社内に判断軸や運用ノウハウが残らなくなります。

理想的なのは、設計や初期運用では伴走してもらいながら、徐々に社内主導へ移行する形です。定期的なレビューやスポット相談など、必要なタイミングで外部の視点を活用しつつ、最終的には自社だけで制度を回せる状態を目指すことが、実務的に見て最も健全な付き合い方と言えるでしょう。

まとめ

人事制度設計・見直しは、単に評価や報酬の仕組みを整える作業ではありません。事業戦略や人材戦略と制度をつなぎ直し、社員の行動や成長を後押しするための重要な経営施策です。評価への不満や運用の形骸化といった課題は、制度そのものではなく、設計思想や運用プロセスとのズレから生じているケースが多く見られます。

外部コンサルを活用することで、第三者視点で課題を整理し、短期間で制度の再設計を進めることが可能になりますが、任せきりにせず、社内に判断軸と運用力を残すことが欠かせません。費用や知名度だけで選ぶのではなく、自社の課題・規模・フェーズに合った支援内容かどうかを見極めることが、失敗しないポイントです。

制度は「作って終わり」ではなく、運用と改善を通じて育てていくものです。まずは現状の課題を整理し、必要に応じて専門家の知見を取り入れながら、自社にとって本当に機能する人事制度を構築していきましょう。

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