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定型業務を正社員に任せ続けるべき?業務効率化・自動化の進め方と見直しポイント

定型業務は、手順が決まっており繰り返し発生する業務です。人事・総務部門では、従業員情報の更新、申請承認、入退社手続き、評価回収、勤怠・給与関連の確認など、多くの定型業務が発生します。これらは会社運営に欠かせない一方で、正社員が手作業で対応し続けると、工数の増加やミス、属人化につながる可能性があります。特に人手不足が続くなか、限られた人材で生産性を高めるには、定型業務を見直し、正社員がより付加価値の高い業務に集中できる環境づくりが重要です。厚生労働省も、人口減少が見込まれるなかで労働生産性の向上が欠かせないと示しています。この記事では、定型業務の意味や正社員が担う場合の課題、効率化・自動化の進め方、人事DXにつなげるポイントを解説します。

定型業務とは?正社員が担う業務の基本

定型業務は手順や流れが決まっている業務

定型業務とは、作業手順や業務の流れがあらかじめ決まっており、繰り返し発生する業務のことです。日々の入力作業、書類作成、申請処理、確認業務などが代表的な例です。

人事・総務部門では、従業員情報の更新、入退社手続き、各種申請の確認、評価シートの回収、組織図の更新などが定型業務に該当します。業務の進め方が決まっているため、マニュアル化しやすく、担当者が変わっても一定の品質を保ちやすい点が特徴です。

一方で、正社員が定型業務に多くの時間を使い続けると、企画業務や改善活動、人材配置の検討など、より付加価値の高い業務に時間を割きにくくなる場合があります。そのため、定型業務は単に「こなす業務」として扱うのではなく、効率化や自動化の余地がある業務として見直すことが重要です。

非定型業務との違い

非定型業務とは、決まった手順だけでは対応できず、その都度判断や工夫が求められる業務のことです。例えば、採用戦略の立案、人材配置の検討、組織課題の分析、制度設計、社員面談への対応などが挙げられます。

定型業務は、作業内容や手順が決まっているため、マニュアル化やシステム化に向いています。一方、非定型業務は、状況に応じた判断や関係者との調整が必要になるため、完全に自動化することは難しい場合があります。

人事部門においては、定型業務を効率化することで、正社員が非定型業務に集中しやすくなります。例えば、従業員情報の更新や申請承認をシステム化できれば、人事担当者は人材育成や配置検討、離職防止施策など、より戦略的な業務に時間を使いやすくなります。

ルーチンワーク・定常業務との違い

定型業務と似た言葉に、ルーチンワークや定常業務があります。ルーチンワークは、日常的に繰り返し行う仕事を指す言葉です。定型業務とほぼ同じ意味で使われることも多く、毎日・毎週・毎月など一定の頻度で発生する業務を表します。

定常業務は、企業活動の中で継続的に発生する業務を指します。例えば、勤怠確認、給与計算、入退社対応、備品管理、月次レポート作成などは定常業務に含まれます。定常業務の中には、手順が決まっている定型業務もあれば、都度判断が必要な業務もあります。

つまり、定型業務は「手順が決まっている業務」、ルーチンワークは「繰り返し行う業務」、定常業務は「継続的に発生する業務」と整理できます。これらの違いを理解しておくと、どの業務をマニュアル化・自動化し、どの業務を正社員が担うべきかを判断しやすくなります。

正社員が担当しやすい定型業務の具体例

人事・総務部門の定型業務

人事・総務部門では、毎日・毎月・毎年のように繰り返し発生する定型業務が数多くあります。業務手順が決まっているためマニュアル化しやすい一方、件数が増えると担当者の負担が大きくなりやすい業務でもあります。

代表的な定型業務は次のとおりです。

  • 従業員情報の更新
    住所や氏名、扶養情報、連絡先などの変更内容をシステムへ反映します。
  • 入社・退社手続き
    雇用契約書の作成、アカウント発行・削除、備品手配、社会保険関連の手続きなどを行います。
  • 各種申請・承認
    休暇申請や住所変更申請、各種届出の受付・承認を行います。
  • 評価シートの回収
    評価期間ごとに評価シートを配布・回収し、進捗管理や集計を実施します。
  • 組織図の更新
    異動や組織変更に合わせて組織図や所属情報を更新します。
  • 給与明細の発行
    給与計算後の明細発行や配布、電子配信などを行います。
  • 書類作成・ファイリング
    各種証明書の作成や契約書、申請書類などの保管・管理を行います。

これらの業務は企業運営に欠かせませんが、手作業やExcel管理が中心になると入力ミスや更新漏れ、属人化が発生しやすくなります。そのため、近年は人事管理システムやワークフローシステムを活用し、業務負担の軽減を図る企業が増えています。

経理・労務・営業事務の定型業務

定型業務は人事・総務部門だけでなく、経理・労務・営業事務など多くの部署でも発生します。

例えば経理部門では、請求書発行、伝票入力、経費精算、入出金確認、売掛金・買掛金管理などが代表的です。毎月決まった時期に同じ流れで処理するため、定型業務として管理しやすい特徴があります。

労務部門では、勤怠データの確認、社会保険手続き、年末調整、各種証明書発行などが挙げられます。法令に沿って正確に処理する必要があるため、ミスを防ぐ仕組みづくりが重要です。

営業事務では、見積書や請求書の作成、受発注処理、売上データの入力、顧客情報の更新、資料発送などが日常的に発生します。

このように、部署ごとに内容は異なるものの、決められた手順で繰り返し実施する業務は多く存在します。業務量が増えるほど担当者の負担も大きくなるため、定期的な業務の見直しや自動化の検討が重要です。

正社員でなくても対応できる業務と判断が必要な業務

すべての定型業務を正社員が担当する必要があるとは限りません。業務内容によっては、派遣社員やアルバイト、業務委託でも対応できるものがあります。

例えば、書類のスキャンやファイリング、データ入力、郵送作業、定型フォーマットへの転記などは、マニュアルを整備することで担当者を限定せずに運用しやすい業務です。

一方で、労務管理や人事評価、給与確認、異動情報の更新などは、個人情報や機密情報を扱う場面が多く、最終確認や承認は正社員が担当するケースが一般的です。

また、制度運用や就業規則の判断、労務トラブルへの対応などは、経験や専門知識が求められるため、単純な定型業務とは区別して考える必要があります。

重要なのは、「誰が担当するか」ではなく、「人が行う必要がある業務か」を見極めることです。繰り返し発生する作業は可能な限り標準化・自動化し、正社員は判断や改善が求められる業務へ時間を使える体制づくりが重要になります。

定型業務を正社員に任せ続けるメリット

業務品質を安定させやすい

定型業務を正社員が担当するメリットの一つは、業務品質を安定させやすいことです。正社員は業務手順だけでなく、社内ルールや法令、業務全体の流れも理解しているため、一定の品質で業務を遂行しやすくなります。

また、経験を積むことで確認すべきポイントやミスが起こりやすい箇所を把握しやすくなり、トラブルの未然防止にもつながります。

特に人事や労務業務では、情報の正確性が重要になるため、品質を維持しやすい点は大きなメリットといえるでしょう。

責任ある判断や確認を任せやすい

定型業務の中には、単純作業だけでなく、最終確認や承認、例外対応が必要な場面もあります。

例えば、給与情報の確認や人事情報の更新、入退社手続きでは、法令や社内規程を踏まえた判断が求められるケースがあります。

正社員は会社全体のルールや組織運営を理解しているため、イレギュラーなケースにも対応しやすく、安心して業務を任せられる点がメリットです。

業務改善につなげやすい

正社員が定型業務を担当することで、日々の業務の中から改善点を見つけやすいというメリットもあります。

「同じ入力を何度も行っている」「承認フローが複雑」「紙で管理する必要があるのか」といった課題は、実際に業務を担当しているからこそ気付けるものです。

こうした改善点を業務フローの見直しやシステム導入につなげることで、組織全体の生産性向上が期待できます。

一方で、改善活動を進めるには時間も必要です。定型業務に追われ続けると改善に着手できないため、繰り返し作業は可能な限り効率化し、正社員が業務改善や人材育成など、より付加価値の高い仕事へ取り組める環境を整えることが重要です。

定型業務を正社員に任せ続けるデメリット

付加価値の高い業務に時間を使えない

定型業務は企業運営に欠かせない仕事ですが、正社員がその対応に多くの時間を費やしていると、本来取り組むべき付加価値の高い業務へ十分な時間を確保できなくなります。

例えば、人事部門では採用戦略の立案や人材育成、評価制度の改善、人材配置の検討など、企業の成長に直結する業務があります。しかし、従業員情報の更新や各種申請対応、書類作成などの定型業務に追われると、こうした戦略的な取り組みを後回しにせざるを得ません。

また、日々の業務に追われる状況が続くと、業務改善や新たな施策を検討する時間も不足し、生産性向上の機会を逃す可能性があります。

そのため、繰り返し発生する業務は可能な限り効率化し、正社員が判断や企画、改善といった人にしかできない業務へ集中できる環境を整えることが重要です。

属人化やブラックボックス化が起きやすい

定型業務を特定の正社員だけが担当し続けると、業務が属人化するリスクがあります。

担当者しか作業手順を理解していなかったり、独自のやり方で業務を進めていたりすると、休職や異動、退職が発生した際に業務が滞る可能性があります。

また、「誰が・いつ・どのように処理したのか」が分からない状態になると、ブラックボックス化が進み、ミスやトラブルが発生した際の原因究明も難しくなります。

業務を標準化し、マニュアルやワークフローを整備するとともに、業務履歴を記録できる仕組みを導入することで、属人化の防止につながります。

手入力によるミスや確認漏れが発生する

Excelや紙を中心とした運用では、同じ情報を複数の帳票へ転記する作業が発生しやすくなります。

例えば、住所変更があった場合に、人事台帳、給与システム、緊急連絡先リストなどを個別に更新していると、入力漏れや更新漏れが発生する可能性があります。

また、申請書類の確認や承認も手作業で行っている場合、処理漏れや承認忘れ、差し戻しの見落としなどが発生しやすくなります。

こうしたミスは、業務品質の低下だけでなく、従業員からの信頼低下や法令対応上のリスクにつながることもあります。

定型業務をシステム化し、情報を一元管理することで、入力作業や確認作業の重複を減らし、ヒューマンエラーの防止が期待できます。

モチベーション低下や離職リスクにつながる

同じ作業を繰り返す定型業務が中心になると、仕事に変化や成長を感じにくくなり、モチベーションが低下する場合があります。

特に、改善提案や企画業務に携わる機会が少ない環境では、「自分で考える余地がない」「単純作業ばかりでやりがいを感じられない」と感じる社員も少なくありません。

また、人手不足によって定型業務の負担が増えると、残業時間の増加や精神的な負担につながり、離職リスクが高まる可能性もあります。

定型業務の効率化は、業務負担を軽減するだけでなく、社員がより価値の高い仕事へ挑戦できる環境づくりにもつながります。

定型業務を効率化するための基本ステップ

業務を見える化する

定型業務を効率化する第一歩は、現在どのような業務が存在し、どのような手順で進められているのかを見える化することです。

担当者へのヒアリングや業務フローの作成を通じて、作業内容や担当者、処理時間、利用しているシステムなどを整理します。

業務全体を可視化することで、重複作業や不要な工程、属人化している業務を把握しやすくなります。

見える化は業務改善の出発点であり、現状を正確に把握することが効率化成功の鍵となります。

ムリ・ムダ・ムラを洗い出す

業務内容を整理した後は、改善すべき課題を洗い出します。

例えば、次のような点を確認すると改善ポイントが見つかりやすくなります。

  • 同じ情報を複数回入力していないか
  • 不要な承認フローが存在しないか
  • 紙とExcelを併用していないか
  • 担当者しか分からない業務がないか
  • 作業時間が長い工程はどこか
  • システムで自動化できる作業はないか

ムリ・ムダ・ムラを明確にすることで、改善の優先順位を決めやすくなります。

ECRSで改善方法を検討する

改善策を検討する際は、「ECRS(イクルス)」という業務改善のフレームワークが役立ちます。

改善効果が大きい順に検討することで、効率的に業務改善を進められます。

視点内容
Eliminate(なくす)不要な作業や承認を廃止できないか検討する
Combine(まとめる)似た業務や重複作業を一つに統合する
Rearrange(順番や担当を変える)業務の順番や担当者を見直し、効率化を図る
Simplify(簡素化する)フォーマット化やシステム化、自動化によって作業を簡単にする

例えば、人事部門で複数のExcelへ同じ情報を入力している場合は、人事管理システムへ一元化することで入力作業を大幅に削減できる可能性があります。

試験運用して効果を検証する

改善策を決定したら、すぐに全社展開するのではなく、まずは一部の部署や対象業務で試験運用を行うことが重要です。

試験運用では、作業時間の短縮やミスの減少、担当者の負担軽減など、改善前後の効果を比較・検証します。

また、現場担当者から操作性や運用上の課題について意見を収集し、必要に応じて運用ルールや業務フローを見直します。

効果検証を十分に行ったうえで本格運用へ移行することで、現場への定着が進みやすくなり、継続的な業務改善にもつながります。

定型業務は自動化できる?活用しやすいITツール

RPAで繰り返し作業を自動化する

RPA(Robotic Process Automation)は、人がパソコンで行っている定型業務をソフトウェアロボットが代行する仕組みです。決められたルールに沿って繰り返し行う業務を自動化できるため、多くの企業で業務効率化の手段として活用されています。

例えば、Excelへのデータ転記、請求書や伝票の入力、売上データの集計、メールの送信、システム間のデータ連携などは、RPAとの相性が良い業務です。

これまで担当者が毎日行っていた単純作業を自動化することで、作業時間の短縮だけでなく、入力ミスや処理漏れの防止も期待できます。

ただし、判断が必要な業務やイレギュラー対応が多い業務はRPAだけでは対応が難しいため、どの業務を自動化するかを事前に整理することが重要です。

ワークフローシステムで申請・承認を電子化する

紙の申請書やメールによる承認フローは、書類の紛失や承認漏れ、進捗状況が分からないといった課題が発生しやすくなります。

ワークフローシステムを導入すると、各種申請から承認、差し戻し、完了までをシステム上で管理できるため、業務のスピードと透明性が向上します。

例えば、次のような業務を電子化できます。

  • 休暇申請
  • 住所変更申請
  • 経費精算
  • 出張申請
  • 稟議申請
  • 各種証明書の申請

また、承認履歴が自動で保存されるため、監査対応や内部統制の強化にもつながります。テレワーク環境でも場所を問わず承認できるため、業務の停滞を防ぎやすい点もメリットです。

人事管理システムで人事情報を一元管理する

人事・総務部門では、従業員情報や評価履歴、異動履歴、資格情報など、多くの人事データを管理しています。しかし、Excelや紙で管理していると情報が分散し、更新漏れや二重入力が発生しやすくなります。

人事管理システムを導入することで、従業員情報を一元管理できるようになり、入退社手続きや人事異動、組織変更などに伴う情報更新を効率化できます。

さらに、評価履歴やスキル情報、組織図などを蓄積・可視化することで、単なる業務効率化だけでなく、人材配置や育成、後継者育成などのタレントマネジメントにも活用できます。

例えば、サイレコのようなクラウド型人事管理システムでは、従業員情報の一元管理に加え、申請承認の電子化や組織図の管理、人材データの蓄積まで一つのシステムで対応できます。定型業務を効率化するだけでなく、人事データを経営判断へ活用しやすくなる点も特徴です。

ツール導入前に業務整理が必要な理由

ITツールは導入するだけで業務が効率化されるわけではありません。現在の業務フローに無駄や重複が残ったままシステム化すると、非効率な運用をそのままシステムへ置き換えてしまう可能性があります。

そのため、導入前には業務内容を見える化し、「本当に必要な業務なのか」「自動化できる工程はないか」「担当者を見直せないか」といった観点で整理することが重要です。

また、現場担当者の意見を取り入れながら業務フローを見直すことで、システム導入後の定着率も高まりやすくなります。

IPAの「DX動向2025」でも、DXの成果として「業務効率化・工数削減」を挙げる企業が多く、定型業務の見直しはDX推進の第一歩として位置付けられています。業務整理とITツールの活用を組み合わせることで、継続的な業務改善につながります。

人事・総務部門の定型業務を見直すポイント

Excelや紙で分散している人事情報を整理する

人事部門では、従業員台帳や評価シート、資格情報、異動履歴などを複数のExcelファイルや紙で管理しているケースも少なくありません。

情報が分散していると、更新漏れや入力ミスが発生しやすくなるだけでなく、必要な情報を探すまでに時間がかかります。また、最新版が分からず、部署ごとに異なる情報を参照してしまうリスクもあります。

まずは管理している人事情報を棚卸しし、重複しているデータや不要な管理表を整理しましょう。そのうえで、一元管理できる仕組みを整えることが、業務効率化の第一歩となります。

入退社・異動・評価などの業務フローを標準化する

入退社手続きや人事異動、評価運用などは、多くの企業で繰り返し発生する定型業務です。しかし、担当者ごとに進め方が異なると、処理漏れや確認ミスが起こりやすくなります。

業務フローを標準化し、誰が担当しても同じ品質で対応できるようにすることで、属人化の防止や業務品質の向上につながります。

また、マニュアルやワークフローを整備しておくことで、担当者の異動や引き継ぎもスムーズになります。

現場の入力負担を増やさない仕組みを考える

業務効率化を進める際は、管理部門だけでなく現場社員の負担にも配慮することが重要です。

例えば、同じ情報を何度も入力する必要がある仕組みでは、入力ミスや未入力が増え、結果として管理部門の確認作業も増えてしまいます。

入力項目を必要最小限にする、既存データを自動反映する、スマートフォンから申請できるようにするなど、現場が利用しやすい運用を設計することで、システムの定着率も高まりやすくなります。

定型業務の削減後に人事が注力すべき業務を決める

定型業務を効率化する目的は、単に作業時間を減らすことではありません。創出した時間をどの業務へ振り向けるかまで考えることが重要です。

例えば、人材育成やキャリア支援、評価制度の改善、エンゲージメント向上施策、適材適所の配置検討などは、人事部門が本来注力すべき業務です。

また、蓄積した人事データを分析し、組織課題の把握や人材育成計画に活用することで、人事部門は事務処理中心の役割から、経営を支える戦略部門へと役割を広げることができます。

定型業務の効率化はゴールではなく、人事部門の価値を高めるためのスタートラインと考えることが大切です。

定型業務の効率化を人事DXにつなげる方法

単なる工数削減で終わらせない

定型業務の効率化は、作業時間を減らすだけで終わらせないことが重要です。

もちろん、入力作業や申請確認、書類作成などの工数を削減することは大きな成果です。しかし、人事DXの観点では、削減した時間をどの業務に活用するかまで考える必要があります。

例えば、定型業務を効率化して生まれた時間を、人材育成、評価制度の改善、組織課題の分析、離職防止施策などに充てることで、人事部門の役割は事務処理中心から戦略的な業務へ広がります。

定型業務の効率化は、人事DXの入口です。業務を減らすことだけでなく、人事データを活用し、組織づくりに貢献する体制を整えることが重要です。

蓄積した人事データを配置・育成・評価に活用する

人事DXを進めるうえでは、従業員情報を単に保管するだけでなく、配置・育成・評価に活用できる状態にすることが重要です。

例えば、評価履歴、スキル、資格、異動履歴、研修受講履歴、キャリア希望などを一元管理できれば、人材配置や育成計画を検討する際の判断材料になります。

人事データが分散している状態では、必要な情報を探すだけで時間がかかり、配置や育成の判断が担当者の経験や感覚に偏りやすくなります。

蓄積したデータを活用できる形で整備することで、個人の強みや成長課題を把握しやすくなり、より納得感のある評価や人材配置につなげやすくなります。

組織図や異動履歴を可視化する

人事データを活用するうえで、組織図や異動履歴の可視化も重要です。

組織図を最新の状態で管理できれば、部門ごとの人員構成や役職者の配置、欠員状況を把握しやすくなります。また、過去の異動履歴を確認できれば、社員がどの部署でどのような経験を積んできたのかを把握できます。

こうした情報は、異動シミュレーションや後継者育成、組織改編の検討にも役立ちます。

Excelや紙で組織図を管理している場合、更新作業に時間がかかり、最新版が分からなくなることもあります。組織情報をシステム上で管理することで、最新情報を確認しやすくなり、より正確な人材配置の検討につながります。

戦略的人事に時間を使える体制をつくる

定型業務を効率化する最終的な目的は、人事部門が戦略的人事に時間を使える体制をつくることです。

戦略的人事とは、採用、育成、評価、配置、組織開発などを経営戦略と連動させ、企業成長に必要な人材や組織をつくる取り組みです。

そのためには、日々の事務作業に追われる状態から脱却し、人事担当者がデータ分析や施策立案、現場との対話に時間を使える環境が必要です。

定型業務の効率化と人事データの一元管理を組み合わせることで、人事部門は「処理する部門」から「経営を支える部門」へと役割を広げやすくなります。

定型業務の削減だけでなく、人事情報の一元管理やタレントマネジメントまで進めたい場合は、クラウド型人事管理システムの活用も選択肢です。

サイレコでは、従業員情報の一元管理や申請承認の電子化、組織図・評価履歴の活用を支援しています。人事業務の効率化と人材データ活用を同時に進めたい方は、まずは資料で機能や活用イメージをご確認ください。

定型業務を見直すときの注意点

すべてを自動化しようとしない

定型業務の効率化を進める際は、すべての業務を自動化しようとしないことが大切です。

自動化に向いているのは、ルールが明確で、繰り返し発生し、判断の余地が少ない業務です。一方で、従業員との個別対応や労務相談、評価面談、制度設計などは、人による判断や対話が求められます。

無理に自動化しようとすると、かえって現場の混乱や確認作業の増加につながることがあります。

まずは、業務を「自動化できる作業」「標準化すべき作業」「人が判断すべき業務」に分けて整理しましょう。

現場担当者の意見を反映する

業務フローを見直す際は、実際に業務を担当している現場の意見を反映することが重要です。

管理者やプロジェクト担当者だけで改善策を決めると、現場の実態に合わない運用になり、システムや新しいルールが定着しにくくなる可能性があります。

例えば、入力項目が多すぎる、承認フローが複雑すぎる、操作画面が分かりにくいといった課題は、現場担当者でなければ気付きにくい部分です。

現場の声を取り入れながら改善を進めることで、実務に合った運用設計ができ、導入後の定着率も高まりやすくなります。

導入効果を数値で測定する

定型業務の見直しでは、導入効果を数値で測定することも重要です。

例えば、次のような指標を設定すると、改善前後の変化を把握しやすくなります。

  • 作業時間の削減
  • 残業時間の減少
  • 入力ミスの件数
  • 承認にかかる日数
  • 紙書類の削減枚数
  • 問い合わせ件数の減少
  • 担当者の業務負担感

数値で効果を確認できれば、社内稟議や追加投資の説明もしやすくなります。

また、改善効果が十分に出ていない場合も、どこに課題があるのかを分析し、次の改善につなげることができます。

定期的に業務フローを見直す

定型業務は、一度見直せば終わりではありません。組織変更、法改正、システム変更、働き方の変化などにより、最適な業務フローは変わっていきます。

そのため、半年に一度、または年に一度など、定期的に業務フローを見直す機会を設けることが大切です。

特に人事・総務部門では、入退社や異動、評価、労務管理など、社内全体に影響する業務が多いため、古い運用が残っていると全社的な非効率につながります。

定期的な見直しを行うことで、業務のムダを早期に発見し、継続的な改善につなげることができます。

定型業務と正社員に関するよくある質問

定型業務ばかりの正社員は将来性が低いですか?

定型業務そのものがすぐになくなるわけではありませんが、手順が明確で繰り返し発生する業務は、今後さらにシステム化・自動化が進む可能性があります。

そのため、定型業務だけをこなす働き方ではなく、業務改善やデータ活用、現場との調整、企画業務などに関わるスキルを身につけることが重要です。

定型業務を理解している正社員だからこそ、業務フローの改善やシステム導入の推進役として活躍できる可能性があります。

定型業務はすべて派遣やアルバイトに任せるべきですか?

定型業務の中には、派遣社員やアルバイトでも対応できる業務があります。例えば、データ入力、書類整理、郵送作業、定型フォーマットへの転記などは、マニュアル化しやすい業務です。

一方で、人事評価、給与情報、労務管理、個人情報を扱う業務などは、正社員による確認や判断が必要な場合があります。

すべてを雇用形態だけで分けるのではなく、業務の重要度、機密性、判断の必要性に応じて担当範囲を整理することが大切です。

定型業務を自動化すると人員削減につながりますか?

定型業務の自動化は、人員削減だけを目的に行うものではありません。むしろ、限られた人員でより重要な業務に時間を使えるようにするための取り組みです。

人事・総務部門では、定型業務を効率化することで、人材育成、制度改善、エンゲージメント向上、組織課題の分析などに時間を使いやすくなります。

自動化によって空いた時間をどの業務に活用するかを明確にしておくことで、単なるコスト削減ではなく、組織全体の生産性向上につなげることができます。

人事部門で自動化しやすい定型業務は何ですか?

人事部門では、従業員情報の更新、住所変更申請、入退社手続き、各種申請・承認、評価シートの回収、組織図更新、給与明細発行などが自動化しやすい業務です。

これらは繰り返し発生し、一定のルールに沿って処理できるため、ワークフローシステムや人事管理システムとの相性が良い業務といえます。

ただし、自動化する前には、現在の業務フローを整理し、不要な作業や重複入力がないかを確認することが重要です。

定型業務の効率化は何から始めるべきですか?

まずは、現在の業務を見える化することから始めましょう。

どの業務にどれくらい時間がかかっているのか、誰が担当しているのか、どの作業でミスや確認漏れが発生しているのかを整理します。

そのうえで、不要な業務をなくす、重複作業をまとめる、担当や順番を見直す、システム化・自動化するという流れで改善を進めると効果的です。

特に人事・総務部門では、Excelや紙で分散している人事情報の整理から始めることで、業務効率化と人事DXの両方につなげやすくなります。

まとめ

定型業務は、企業運営に欠かせない業務である一方、正社員が手作業で対応し続けると、工数の増加や入力ミス、属人化、業務改善の停滞といった課題につながる可能性があります。そのため、まずは業務を見える化し、不要な作業や重複業務を整理したうえで、標準化や自動化を進めることが重要です。

また、定型業務の効率化は単なるコスト削減ではなく、人事DXを推進するための第一歩でもあります。人事情報を一元管理し、評価履歴やスキル、組織図などのデータを活用できる環境を整えることで、人材配置や育成、組織改善など、より戦略的な人事業務に時間を使えるようになります。

定型業務の見直しを機に、人事部門の役割を「事務処理」から「経営を支える戦略部門」へと発展させることも可能です。人事情報の一元管理や業務効率化、人材データの活用まで見据えた運用を検討している場合は、クラウド型人事管理システムの資料請求やデモを活用し、自社に適した仕組みを比較・検討してみてはいかがでしょうか。

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