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タレントマネジメントの成功事例から学ぶ|育成・配置・定着を成果につなげる進め方

少子高齢化や人材流動化が進む中、「採用を強化するだけでは成長が続かない」という課題を抱える企業が増えています。そこで注目されているのが、従業員のスキル・経験・志向などのデータを一元化し、戦略的に育成・配置・定着へつなげるタレントマネジメントです。市場規模の拡大予測もあり、取り組みは“人事の流行”ではなく経営課題として位置づけられつつあります。一方で、目的が曖昧なまま始めたり、データが整わず分析が進まなかったり、現場の理解が得られず形骸化する失敗も少なくありません。本記事では、国内外の成功事例から「何が効いたのか」を分解し、失敗例の回避策と、導入を成果につなげる進め方を実務目線で整理します。

タレントマネジメントとは?「成功」の定義を先に決める

タレントマネジメントは、従業員一人ひとりのスキル・経験・志向などの情報を「人材データ」として整理し、育成・配置・定着を通じて、組織の成果(経営目標)につなげる取り組みです。
重要なのは、システムを導入すること自体ではなく、事業戦略や人材戦略と接続し、意思決定の質を上げること。
そのためには、最初に「成功とは何か」を定義し、評価指標(KPI)を決めることが導入の分かれ道になります。

定義:人材データを起点に、育成・配置・定着を経営目標へ接続する取り組み

タレントマネジメントの本質は、従業員データを一元化し、「誰を・どこで・どう育て、どう活躍してもらうか」を組織として判断できる状態を作ることです。
具体的には、以下のようなデータ(例)を活用して、人事施策を“感覚”ではなく“根拠”で回していきます。

  • 基本情報(所属、職種、等級、異動履歴など)
  • 経験・スキル(職務経験、保有資格、研修履歴、得意領域など)
  • 評価・実績(目標、成果、面談記録、コンピテンシー等)
  • 志向・状態(キャリア希望、強み、エンゲージメント、サーベイ結果など)

これらを基盤に、育成(育つ仕組み)配置(適材適所)定着(働き続けたい環境)を連動させることで、経営目標の達成に近づけるのがタレントマネジメントです。

成功の評価軸(例)①後継者準備率/②適材適所の配置精度/③育成の再現性/④離職率・定着/⑤生産性・エンゲージメント

「成功事例」を自社で再現するうえで欠かせないのが、成功を測る評価軸(KPI)の設計です。
タレントマネジメントは“良さそう”で終わりやすいため、導入前にどの成果を、いつまでに、どの指標で確認するかを決めておきましょう。

  • ①後継者準備率:重要ポジションに対して後継候補がどれだけ育っているか(サクセッションの進捗)
  • ②適材適所の配置精度:異動後のパフォーマンスや早期戦力化、ミスマッチの減少など
  • ③育成の再現性:育成施策の定着度(研修→行動変容→成果)や、育成プロセスの標準化
  • ④離職率・定着:退職率の改善、早期離職の抑制、定着率の向上
  • ⑤生産性・エンゲージメント:従業員満足度、エンゲージメント、部門成果の向上など

ポイントは、最初から全部を追いかけないことです。
たとえば「離職率改善」から始めるなら、サーベイと面談記録を整備して打ち手(配置・育成・評価)につなげる、といった具合に課題を一つに絞ってKPIを設計すると、導入が進みやすくなります。

よくある誤解:「システム導入=タレマネ」になった瞬間に失速する

タレントマネジメントがうまくいかない典型例が、「とりあえずシステムを入れれば進むはず」という発想です。
システムはあくまで手段であり、目的が曖昧なまま導入すると、次のような状態に陥りがちです。

  • 何のためにデータを集めるのか説明できず、社員の協力が得られない
  • 入力・更新がされず、データが古くて使えない(形骸化)
  • 分析結果を配置や育成に反映できず、「見える化しただけ」で終わる
  • 現場が“評価・管理のため”と受け取り、抵抗感が強まる

失速を防ぐには、①目的(経営目標との接続)→②必要データ→③運用→④KPIの順で設計し、
「データを使って何を意思決定するのか」を先に定義することが重要です。
システムは、その意思決定を継続的に回すための“基盤”として選定・活用すると、成功確度が上がります。

タレントマネジメントが注目される背景:人手不足と人的資本経営の流れ

タレントマネジメントが多くの企業で注目されている背景には、慢性的な人手不足と、人的資本経営への関心の高まりがあります。
従来の「採用して補う」人事戦略だけでは限界が見え始め、今いる人材の力をどう引き出し、どう活かすかが、企業成長の分かれ道になっています。

人手不足で“社内の力を最大化する”必要性が増した

少子高齢化の進行により、日本の労働人口は中長期的に減少すると見込まれています。
その結果、業種・規模を問わず「必要な人材を必要なタイミングで採用できない」という状況が常態化しつつあります。

このような環境下では、採用強化だけに頼るのではなく、既存社員のスキルや経験、志向を可視化し、適材適所で活躍してもらうことが不可欠です。
タレントマネジメントは、社内に眠る能力や可能性を引き出し、人材の総量を増やすのではなく、質を高めるための人事戦略として位置づけられています。

  • 即戦力採用が難しく、育成前提の配置が増えている
  • ミスマッチによる早期離職が経営リスクになっている
  • 特定人材への業務集中(属人化)が組織の弱点になっている

こうした課題に対し、タレントマネジメントは「誰が・何ができて・どこで活かせるか」を組織として判断するための有効な手段となっています。

市場拡大の見通し(例:調査レポートの数値)

タレントマネジメントが一過性のトレンドではないことは、市場規模の成長予測からも読み取れます。
たとえば、野村総合研究所の調査によると、国内のタレントマネジメント関連市場は年々拡大しており、2020年時点で約200億円規模だった市場が、2026年には約450億円規模に成長すると見込まれています。

この成長の背景には、以下のような要因があります。

  • 人事データを活用した戦略的な配置・育成ニーズの高まり
  • 人的資本経営・開示への対応が求められるようになった
  • クラウド型人事システムの普及による導入ハードルの低下

市場拡大は、裏を返せば「取り組まないこと自体が競争力低下につながりかねない」状況に近づいているとも言えるでしょう。

人的資本開示・サクセッションの重要度が上がっている(開示例に触れる)

近年、上場企業を中心に人的資本に関する情報開示の重要性が急速に高まっています。
人材育成方針、後継者計画(サクセッション)、エンゲージメント指標などを、投資家やステークホルダーに対して説明することが求められるようになりました。

実際に、多くの企業が統合報告書やサステナビリティレポートで、以下のような情報を開示しています。

  • 人材育成の考え方・投資額・研修体系
  • 重要ポジションに対する後継者育成の状況
  • 従業員エンゲージメントや定着率に関する指標

こうした開示を裏付ける実態として、誰を次世代リーダーとして育てるのかどのように人材を配置・成長させているのかを説明できる仕組みが不可欠です。
タレントマネジメントは、人的資本経営を「理念」ではなく「実行とデータ」で支える基盤として、その重要性を増しています。

成功事例(国内)|施策→成果→再現ポイントで読む

タレントマネジメントの成功事例を紹介する際に重要なのは、「どの企業が何をやったか」だけで終わらせないことです。
本章では、国内企業の事例をもとに、施策 → 成果 → 再現ポイントの流れで整理し、
自社でも応用できる“型”として読み解いていきます。

【三井化学】キータレント/サクセッションで後継者準備率を高める

三井化学では、長期経営計画と連動した人材戦略の一環として、キータレントマネジメントサクセッション(後継者育成)に早期から取り組んできました。

施策:

  • 事業戦略上重要な「戦略重要ポジション」を明確に定義
  • 各ポジションに対する後継候補者(キータレント)をプール化
  • 候補者ごとに育成計画を策定し、組織横断で議論・レビューする文化を醸成

成果:

  • 後継者準備率(重要ポジションに対する後継候補数)が継続的に改善
  • 数値として開示できる指標を持つことで、人材戦略の説得力が向上

再現ポイント:

  • ①ポジション定義 → ②候補者要件の明確化 → ③育成レビューの定例化
  • 「人を見る」のではなく「ポジション起点」で人材を考える視点

サクセッションは一部の大企業だけの取り組みではなく、
「重要ポジションを言語化できるかどうか」が再現性の分かれ目になります。

【カゴメ】包摂×一部選抜で“キャリア自律”とグローバル対応を両立

カゴメでは、全社員を対象とする包摂的アプローチを基本にしつつ、
グローバル経営に必要な人材については一部選抜型の育成を組み合わせたタレントマネジメントを展開しています。

施策:

  • 全社員を対象に、キャリア志向や適性を把握する仕組みを整備
  • 一方で、キーポジションはサクセッション対象として重点的に育成
  • キャリア自律を促す制度(柔軟な働き方、副業等)と人材育成を連動

再現ポイント:

  • 「全員平等」ではなく、全体設計(包摂)と重点投資(選抜)を意図的に分ける
  • 選抜理由や育成方針を言語化し、納得感を高める

包摂型と選抜型は対立概念ではなく、
組み合わせ方次第で、キャリア自律と経営ニーズを両立できることが示唆される事例です。

【例:従業員サーベイ×配置】強み情報を活かした最適配置(U-NEXT等の文脈)

近年増えているのが、従業員サーベイと人材データを組み合わせた配置最適化の事例です。
U-NEXTなどの事例では、スキルや経歴だけでなく、個人の「強み」や「志向」を配置判断に活かしています。

施策:

  • 従業員データベースで経歴・スキル・趣味・志向を一元管理
  • 配置シミュレーション機能を活用し、複数案を比較検討
  • サーベイ結果を用いて、配置後の満足度や納得感を確認

再現ポイント:

  • 「スキル・経験」だけでなく「志向・強み」をデータ項目に含める
  • 配置=一度決めて終わりではなく、フィードバック前提で考える

配置の質を高めるには、数字にしにくい情報をどう扱うかが鍵になります。

【例:離職率改善】コミュニケーション改善×データ化で定着へ(小売・多拠点の文脈)

小売業や多拠点展開企業では、離職率の高さが大きな経営課題になりがちです。
こうした企業では、タレントマネジメントを「定着率改善」から始めるケースも少なくありません。

施策:

  • 労務DXにより、入社手続きや契約管理を効率化
  • 従業員データを蓄積し、拠点間でも情報共有できる状態を構築
  • サーベイや面談を通じて満足度・不安要因を可視化
  • 現場コミュニケーション改善施策を実施

再現ポイント:

  • 最初から高度な分析を目指さず、「自然にデータが集まる業務」から着手
  • 定着率改善をKPIに据え、短期成果を出しやすくする

タレントマネジメントは、育成や配置だけでなく「辞めない組織づくり」にも直結します。
入口をどこに置くかで、導入の難易度とスピードは大きく変わります。

成功事例(海外・外資)|人事部門の役割設計が効く

海外企業や外資系企業のタレントマネジメント成功事例を読み解くと、
施策そのもの以上に「人事部門の役割設計」が成果を左右していることがわかります。
ここでは、代表的な2社の事例とあわせて、国内企業との違いを整理します。

【GEヘルスケア】I&Dを戦略に置き、HRBPが“現場の相談役”として機能

GEヘルスケアでは、企業の成長戦略の中核にインクルージョン&ダイバーシティ(I&D)を据え、
すべての従業員が自分らしく成果を出せる環境づくりを重視しています。

この方針を実行に移すため、同社は人事部門の体制をHRBP(HRビジネスパートナー)モデルへと再設計しました。

主なポイント:

  • 人事部門を「オペレーション」から「戦略支援」へシフト
  • HRBPがリーダー層・マネージャー層の“相談役”として伴走
  • I&Dの当事者である管理職が、現場で実行できるよう支援

その結果、人事部門は日常的な事務処理から解放され、
組織戦略・人材育成・リーダー開発といった中長期テーマに集中できるようになりました。

この事例が示すのは、タレントマネジメントを成功させるには、
「人事が何を担い、何を現場に委ねるのか」を明確にすることが不可欠だという点です。

【日本マイクロソフト】データドリブン配置×役割分担でHRBPが戦略に集中

日本マイクロソフトは、グローバルで人材データを統合管理し、
データドリブンな人材配置・育成を実践している企業として知られています。

同社でも、人事部門の役割を明確に分担することで、タレントマネジメントの実効性を高めています。

役割分担の例:

  • HRBP:組織課題・人材戦略・次世代リーダー育成を担当
  • マネージャー支援部門:日常的な人材マネジメントをサポート
  • オペレーション部門:人事手続き・制度運用を担う

この体制により、HRBPは評価・配置・育成といったテーマを、
データに基づいて経営・事業戦略と結びつけて検討できるようになりました。

配置見直しやリーダー発掘を「毎年の経営戦略サイクル」に組み込んでいる点も、
タレントマネジメントが一過性で終わらない理由のひとつです。

国内企業との違い:人事がオペ中心→戦略中心へ移る条件(権限・体制・KPI)

国内企業と海外・外資系企業の違いは、制度の有無よりも、
人事部門に与えられている役割と権限に表れることが多くあります。

戦略中心の人事へ移行するためには、以下の条件が重要です。

  • 権限:配置・育成・後継者計画に人事が関与できる
  • 体制:HRBPとオペレーションを分離し、役割を明確化
  • KPI:人事評価を「処理量」ではなく「人材成果」で測る

特に、HRBPのKPIを「事務の正確さ」ではなく、
後継者育成の進捗、配置の質、エンゲージメント改善などに置けるかどうかが、
タレントマネジメント定着の分岐点になります。

海外事例は、制度や文化の違いはあっても、
「人事の役割設計を変えることで、タレントマネジメントが機能する」という示唆を与えてくれます。

失敗事例に共通する落とし穴(原因→対策で整理)

タレントマネジメントは、正しく設計すれば大きな成果を生みますが、
進め方を誤ると「やった感」だけが残り、形骸化しやすい取り組みでもあります。
ここでは、実際によく見られる失敗パターンを原因→対策の形で整理し、
同じ落とし穴に陥らないための実務的なポイントを解説します。

人手不足で推進が止まる(段階導入・外部/他部門巻き込み)

最も多い失敗が、人事部門のリソース不足によって推進が止まってしまうケースです。
日常業務に追われる中で、タレントマネジメントを「追加業務」として抱え込み、
計画倒れに終わる企業は少なくありません。

原因:

  • 一度に全社・全機能を導入しようとして負荷が高すぎる
  • 人事部門だけで抱え込み、現場や他部門を巻き込めていない

対策:

  • 対象部門・テーマを絞った段階導入から始める
  • IT部門・経営企画・現場管理職を早期に巻き込む
  • 必要に応じて外部ベンダーや専門家の支援を活用する

「最初から完璧」を目指さず、回せる範囲で成果を出す設計が重要です。

システムを使いこなせず形骸化(ユースケースを先に決める、教育設計)

高機能なタレントマネジメントシステムを導入したものの、
実際には一部機能しか使われていないという失敗もよく見られます。

原因:

  • 「何のために使うのか」が定義されていない
  • 担当者・現場向けの教育やフォローが不足している

対策:

  • 導入前に具体的なユースケース(配置・育成・評価など)を決める
  • 全機能を使おうとせず、使う機能を限定する
  • 担当者・管理職向けに操作説明と活用目的をセットで共有する

システムは「入れること」ではなく、意思決定に使われて初めて価値を持つ点を忘れてはいけません。

必要なデータがない/質が低い(収集項目の優先順位、更新の仕組み)

タレントマネジメントの基盤は人材データですが、
「データが揃っていない」「古くて使えない」という状態に陥るケースも多くあります。

原因:

  • 最初から多くのデータを集めようとして入力が進まない
  • 更新ルールがなく、情報が陳腐化する

対策:

  • 目的に直結する最低限の項目から収集を始める
  • 評価・面談・異動など、業務フローと連動した更新にする
  • 「誰が・いつ・なぜ更新するのか」を明確にする

重要なのは量より質です。
意思決定に使えるデータかどうかを基準に設計しましょう。

現場の理解が得られない(目的の翻訳:社員メリット/評価不安の払拭)

現場の協力が得られず、入力や活用が進まないのも典型的な失敗です。
特に、従業員が「管理や評価が厳しくなるのでは」と感じると、抵抗感が強まります。

原因:

  • 導入目的が経営・人事目線のまま共有されている
  • 評価・監視への不安が払拭されていない

対策:

  • 社員にとってのメリット(成長機会、納得感、公平性)を明確に伝える
  • 評価制度との関係性を説明し、不安を言語化して解消する
  • 管理職を通じて、現場でのメッセージを揃える

タレントマネジメントは、「評価のため」ではなく「活躍のため」であることを伝える必要があります。

分析結果を配置・評価に反映できない(ブラックボックス評価の是正、権限設計)

データ分析までは進んだものの、
実際の配置・育成・評価に反映されないという失敗も少なくありません。

原因:

  • 評価や異動の判断基準が属人化・ブラックボックス化している
  • 人事に配置・育成へ関与する権限がない

対策:

  • 評価基準・判断プロセスを可能な範囲で可視化する
  • 配置・育成に人事が関与できる権限設計を行う
  • 分析結果を使う会議体・レビューの場を制度化する

データを集めるだけでは意味がありません。
「どう使うか」までを含めて設計してこそ、タレントマネジメントは機能します。

成功させる導入ステップ(最短で成果を出すロードマップ)

タレントマネジメントを成功させるためには、正しい順番で設計・実行することが欠かせません。
本章では、失敗事例を踏まえたうえで、最短で成果につなげるための導入ステップをロードマップ形式で整理します。

Step1:導入目的と人材要件を言語化(経営戦略と接続)

最初に取り組むべきは、「なぜタレントマネジメントを行うのか」を明確にすることです。
この目的が曖昧なままでは、データ設計や施策がブレてしまいます。

ポイントは、単なる人事課題ではなく、経営戦略・事業戦略と接続して考えることです。

  • 中長期で実現したい事業戦略・成長テーマは何か
  • そのために必要な人材・スキル・役割は何か
  • 現在の人材とのギャップはどこにあるか

これらを整理したうえで、「求める人材像(人材要件)」を言語化します。
役割・スキル・経験・志向などを具体化することで、以降のデータ設計や育成施策につながります。

Step2:人材データ設計(何を・誰が・いつ更新するか)

次に重要なのが、人材データの設計です。
タレントマネジメントでは、「集めること」よりも「使えること」を重視する必要があります。

設計時には、以下の3点を必ず決めておきましょう。

  • 何を集めるのか(項目の優先順位)
  • 誰が更新するのか(人事/管理職/本人)
  • いつ更新するのか(評価・面談・異動などのタイミング)

収集項目の例:

  • 基本属性(所属、職種、等級、異動履歴など)
  • 経歴・スキル(職務経験、資格、研修履歴、得意領域)
  • 評価・目標(目標設定、評価結果、面談記録)
  • キャリア志向(希望業務、将来像、強み・関心)
  • サーベイ(エンゲージメント、満足度、状態把握)

最初からすべてを揃えようとせず、目的に直結する項目から段階的に整備することが成功のポイントです。

Step3:育成プラン(候補者抽出→施策→レビュー)

人材データが整い始めたら、育成プランに落とし込みます。
ここでは「誰を・どう育てるのか」を具体的に設計します。

  • データをもとに育成候補者を抽出する
  • 求める人材要件と現状のギャップを整理する
  • 研修・OJT・配置・役割付与などの施策を組み合わせる

重要なのは、育成を一過性の研修で終わらせず、
行動変容や成果につながっているかを確認するレビューまで含めて設計することです。

Step4:PDCA(KPI設計→レビュー会議→施策の改善)

タレントマネジメントは、導入して終わりではなく、回し続けることで成果が出ます。
そのためには、KPIを設定し、定期的にPDCAを回す仕組みが欠かせません。

KPIの例:

  • 後継者準備率(サクセッションの進捗)
  • 異動後パフォーマンス(配置の妥当性)
  • 研修後定着・行動変容(育成の効果)
  • 離職率・定着率
  • エンゲージメント指標

これらの指標をもとに、レビュー会議を定例化し、
施策の見直し・改善につなげることで、タレントマネジメントは組織に定着していきます。

「小さく始めて、回しながら育てる」──
この考え方が、最短で成果を出すための最大のポイントです。

タレントマネジメントシステムでできること|選定の比較ポイント

タレントマネジメントを継続的に機能させるうえで、多くの企業が活用しているのが タレントマネジメントシステムです。
ただし、システムは「入れれば成功する魔法のツール」ではありません。
何ができるのかを理解したうえで、自社に合ったものを選ぶことが重要です。

できることの代表例:人材DB/後継者管理/目標・評価/要員計画/報酬/採用

タレントマネジメントシステムで実現できる代表的な機能は、以下のとおりです。

  • 人材データベース:基本属性、経歴、スキル、評価、志向などを一元管理・可視化
  • 後継者管理(サクセッション):重要ポジションの後継候補抽出、育成状況の把握
  • 目標・評価管理:目標設定、評価プロセス、面談記録の管理と進捗可視化
  • 要員計画・配置:人員構成の把握、配置シミュレーション、異動検討
  • 報酬管理:評価結果をもとにした処遇・報酬配分の検討
  • 採用管理:採用実績や人材要件と既存社員データの連動

すべての機能を一度に使う必要はありません。
自社の課題(育成・配置・定着など)に直結する機能から使うことが、システム活用を定着させるコツです。

選び方5視点:目的適合、使いやすさ、費用対効果、セキュリティ、導入実績

タレントマネジメントシステムを選定する際は、機能の多さよりも 「自社に合っているか」を重視する必要があります。

  • ①目的適合:導入目的(育成・配置・定着など)を実現できる機能があるか
  • ②使いやすさ:人事だけでなく、管理職・社員も直感的に使えるか
  • ③費用対効果:初期費用・月額費用に対して、得られる効果が見合うか
  • ④セキュリティ:個人情報を扱う前提として、十分な安全対策が取られているか
  • ⑤導入実績:自社と近い業種・規模での導入事例があるか

特に重要なのは①と②です。
目的に合わない高機能ツールや、使いづらいシステムは、 形骸化するリスクが高くなります。

“更新される設計”が最重要:社員が自分で更新したくなる導線・運用

タレントマネジメントシステム活用の成否を分ける最大のポイントは、 人材データが継続的に更新されるかどうかです。

どれだけ高機能でも、データが古ければ意思決定には使えません。
そのためには、以下のような「更新される設計」が不可欠です。

  • 評価・面談・異動など、既存業務の流れの中で自然に更新される
  • 社員本人が「更新するメリット」を感じられる(配置・育成に反映される)
  • 入力負荷が低く、スマートフォンなどからも更新しやすい

人事が「入力してください」と依頼し続ける運用では、いずれ限界がきます。
社員が自分のキャリアや成長のために使いたくなる導線を設計できるかどうかが、 タレントマネジメントシステム活用の分岐点になります。

よくある質問(FAQ)|タレントマネジメント成功事例を自社で再現するための疑問解消

ここでは、タレントマネジメントの成功事例を参考にしながら、
「自社でやろうとすると必ず出てくる疑問」をFAQ形式で整理します。
検索ユーザーが次に知りたいポイントを網羅し、実務に落とし込むためのヒントをまとめました。

まず何から始めるべき?(データが集まる業務→小さく始める)

最初にやるべきことは、すべてを一度に整えようとしないことです。
成功している企業の多くは、データが自然に集まる業務から小さく始めています。

  • 人事評価・目標管理
  • 入社・異動・配置に関わる基本情報
  • 定期面談や簡易サーベイ

これらは、すでに業務として存在しているため、
新たな負担を増やさずにデータ化しやすい領域です。
まずは一部部門・一つの目的(例:離職率改善、後継者育成)に絞り、
「回せる形」を作ることが成功への近道です。

成果が出るまでどれくらいかかる?(短期KPI/中長期KPIの分け方)

タレントマネジメントは、即効性のある施策と、
時間をかけて効いてくる施策が混在しています。

そのため、KPIは短期と中長期に分けて設計するのがポイントです。

  • 短期KPI:データ入力率、面談実施率、サーベイ回収率など
  • 中長期KPI:離職率、後継者準備率、異動後パフォーマンス、エンゲージメント

短期KPIで「仕組みが回っているか」を確認しつつ、
中長期KPIで「人材成果につながっているか」を測定すると、
途中で頓挫しにくくなります。

“選抜”は反発が出ない?(包摂×重点投資の説明設計)

「一部の人だけを育てるのは不公平では?」という不安は、
タレントマネジメントでよく聞かれる声です。

成功事例では、包摂(全員対象)と重点投資(選抜)を意図的に使い分けています。

  • 全社員向け:成長機会、キャリア情報の可視化、配置の透明性
  • 選抜対象:経営・事業に直結するキーポジションの後継者育成

重要なのは、「なぜ選抜するのか」「どんな基準なのか」を言語化し、
キャリア形成の道筋が閉ざされていないことを示すことです。
説明設計次第で、反発は大きく抑えられます。

データ収集に社員が協力してくれない(目的・活用・メリットの伝え方)

社員がデータ入力に消極的な場合、
多くは「なぜ必要なのか」「自分に何のメリットがあるのか」が伝わっていません。

以下の3点をセットで説明することが重要です。

  • 目的:どんな課題を解決するためのデータなのか
  • 活用:配置・育成・評価にどう使われるのか
  • メリット:本人の成長機会や納得感につながる点

「入力しないと困る」ではなく、
「入力すると自分に返ってくる」設計にできるかが鍵になります。

現場(部門長)が異動に反対する(経営方針・育成方針の合意形成)

優秀な人材ほど、現場から「手放したくない」という声が上がりやすいものです。
この状態で無理に異動を進めると、現場との関係が悪化します。

成功事例では、以下の点が意識されています。

  • 異動は経営・事業戦略の一部であることを共有
  • 個人の育成方針・キャリア形成と結びつけて説明
  • 異動後のフォローや、送り出した部門への配慮を行う

タレントマネジメントは、人事だけで完結する取り組みではありません。
経営・人事・現場が同じ方向を向いているかが、
成功事例を自社で再現できるかどうかの分かれ目になります。

まとめ

タレントマネジメントの成功事例に共通しているのは、「制度やシステムありき」ではなく、経営戦略と人材戦略をどう結びつけるかを起点に設計されている点です。後継者育成や適材適所、離職率改善といった成果は、目的の明確化、人材要件の言語化、使えるデータ設計、そしてPDCAを回し続ける運用によって生まれています。

一方で、失敗事例の多くは、人事部門のリソース不足や現場の理解不足、データが活用されないまま形骸化することに起因します。これを防ぐには、小さく始めて成果を出し、段階的に広げることが重要です。特に「更新されるデータ」と「意思決定に使われる仕組み」を作れるかどうかが、定着の分かれ目になります。

まずは自社の課題を一つに絞り、育成・配置・定着のどこから着手するかを決めましょう。必要に応じてタレントマネジメントシステムや外部支援を活用しながら、再現性のある仕組みを構築することで、成功事例を自社の成果へとつなげることができます。

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