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新入社員研修とは?目的・内容・期間・手法・成功のポイントを網羅解説【新卒/中途対応】

新入社員研修は、配属前に必要知識とマインドセットを整える“土台づくり”です。ところが実務では「何を」「どれだけ」「どの形式で」教えるかが曖昧になり、定着しない研修/現場で使えない研修になりがち。さらに、新卒と中途では到達目標や最適期間も異なります。本稿では、参考記事の要点と実務知見を統合し、新卒/中途別の目的設定、共通・職種別の研修内容、期間・タイムライン、手法比較(Off-JT/OJT/ロープレ等)、設計フロー、評価KPI、失敗回避策を体系的に解説。人事・育成担当者が今日から設計に着手できる実装テンプレまで提示します。最後に内製/外部委託の判断軸と助成金、労務上の留意点も整理しています。

新入社員研修は「目的×対象×評価」で設計し、90日で“現場可用”にする

新入社員研修は、最初に「何のために(目的)」「誰に(新卒/中途)」「どう測る(評価)」を固定し、入社後90日で現場で使える状態へ到達させる設計が最短です。

検索意図の直答(何を学ぶ? いつやる? どう評価?)

  • 何を学ぶ:企業理解・ビジネスマナー・報連相・ITリテラシー・職種別スキル。
  • いつやる:入社直後〜90日のオンボーディング期間(0–30日/31–60日/61–90日)。
  • どう評価:理解度テスト(前後比較)・配属先での行動観察・エンゲージメント/初期離職率などのKPI。

新卒=基礎マナー/社会人基礎を網羅、中途=事業理解と業務固有の立ち上げを最短化

新卒は社会人基礎の網羅(マナー・コミュニケーション・思考法・PC基礎)を重視。
中途は既存スキルを前提に、企業理念・事業構造・業務標準・業界知識の短期キャッチアップで即戦力化を狙います。

90日オンボーディング(インプット→ケース→実務→レビュー)で現場転移を担保

  1. 0–30日|インプット:理念・コンプラ・マナー・IT基礎+軽い実務シャドー。
  2. 31–60日|ケース&ロープレ:想定事例とロープレで判断・応対を練習、OJT同伴で小課題を完遂。
  3. 61–90日|実務→レビュー:単独タスクを実施し、成果物レビューと修了判定基準で到達チェック。

目的の設計:新卒と中途で“到達点”が違う(意識・スキル・役割理解)

新卒の目的=ビジネスマナー/報連相/ロジカル思考/チームワーク/PC・IT基礎

新卒社員の研修目的は、社会人としての基礎を徹底的に身につけることです。
具体的には、ビジネスマナー(挨拶・言葉遣い・名刺交換など)や、報連相(報告・連絡・相談)の習慣化、ロジカルシンキング(筋道立てて考える力)、チームワーク(協働力・傾聴・説明力)、PC・IT基礎(Word・Excel・オンライン会議ツールなど)を網羅的に学びます。
この段階で「社会人としての自覚」と「会社に貢献できる自分像」を明確にし、現場での成長を支える基礎を築きます。

中途の目的=企業理念・事業構造・プロダクト&業務標準・業界知識の短期キャッチアップ

中途採用者の場合、すでにビジネスマナーや基本スキルは備わっているため、研修の焦点は「自社理解と早期戦力化」に置かれます。

  • 企業理念・MVV(Mission/Vision/Value)の浸透
  • 事業構造・プロダクト理解(自社の強み・競合比較)
  • 業務標準・ワークフロー・社内システム操作
  • 業界知識・トレンド・顧客特性の把握

これらを短期間でキャッチアップすることで、現場配属後すぐに成果を出せる“実務稼働レベル”を目指します。

目的→評価指標(例:1on1実施率、初回アウトプット品質、サーベイスコア)への落とし込み

研修目的を具体的なKPIに落とし込むことで、効果を可視化できます。
代表的な評価指標には以下のようなものがあります:

  • 1on1実施率:上司やメンターとの定期対話が行われているか。
  • 初回アウトプット品質:研修後初の業務成果(報告書・提案書など)の完成度。
  • サーベイスコア:研修満足度・エンゲージメント・心理的安全性など。

これらのデータを定期的にトラッキングし、次期研修設計に反映することで「回る仕組み」をつくります。

研修内容の全体像:共通基礎+職種別で“使えるスキル”にブレイクダウン

共通基礎|企業理解・MVV/コンプライアンス/ビジネスマナー/コミュニケーション(報連相)

すべての新入社員に共通する基礎研修では、企業理解社会人としての基礎行動を身につけます。
具体的には、以下の要素を中心に構成します。

  • 企業理解:会社の理念・MVV(Mission/Vision/Value)や事業構造、組織文化の理解。
  • コンプライアンス:法令順守・情報管理・職場倫理など、社会的信頼を損なわない行動指針。
  • ビジネスマナー:挨拶・言葉遣い・電話応対・名刺交換などの基礎マナー。
  • コミュニケーション(報連相):上司・同僚との報告・連絡・相談を通じたチーム内連携力。

思考と仕事術|ロジカル・課題設定・タイムマネジメント・ドキュメンテーション

現場で即戦力となるために欠かせないのが「考える力と働く技術」です。
ロジカルシンキングで課題を分解し、優先順位を立てて行動するスキルを養います。

  • ロジカルシンキング:物事を要素ごとに整理し、筋道立てて説明する力。
  • 課題設定力:問題の原因を特定し、解決策を導くプロセス思考。
  • タイムマネジメント:スケジュール管理とタスク分解による効率的な働き方。
  • ドキュメンテーション:正確で伝わりやすい文書・報告書・議事録の作成方法。

PC・ITリテラシー|Office基礎/社内ツール/情報セキュリティ

現代のビジネスでは、ITスキルが全ての職種に共通する基礎能力です。
新入社員研修では、実務で必要なPC操作と社内システムの理解を深めます。

  • Office基礎:Word・Excel・PowerPointの基本操作、表計算や資料作成の標準化。
  • 社内ツール:チャット・オンライン会議・ワークフローシステムなどの使い方。
  • 情報セキュリティ:パスワード管理・データ取り扱い・SNSリスクの理解と対策。

職種別|営業(提案・ヒアリング・ロープレ)/エンジニア(要件→設計→実装/セキュリティ)/企画(マーケ基礎・企画書)/バックオフィス(業務標準・効率化)

職種別研修では、各部門に必要な専門スキルとマインドを重点的に習得します。
実務を想定したロールプレイやOJTを組み合わせることで、理解から実践へと移行させます。

  • 営業:顧客ヒアリング・提案書作成・ロールプレイによる実践力強化。
  • エンジニア:要件定義→設計→実装プロセスの理解、セキュリティ基礎教育。
  • 企画:マーケティングの基本・市場分析・企画書作成演習。
  • バックオフィス:業務標準・期日管理・効率化ツールの活用・社内対応マナー。

期間とタイムライン:入社〜90日のロードマップと年間フォロー

0–30日|インプット集中(理念・マナー・IT基礎)+軽実務/シャドーイング

入社初期の30日間は、社会人としての基礎形成と企業理解に重点を置きます。
企業理念やMVV(Mission/Vision/Value)、ビジネスマナー、IT基礎スキルを座学中心で学びつつ、現場見学やシャドーイングを通じて業務の全体像を掴みます。

  • 理念・MVV理解、事業構造の把握
  • ビジネスマナー研修(挨拶・名刺交換・報連相)
  • PC・ITリテラシー(Office基礎・社内ツール操作)
  • OJT前の軽実務体験・先輩社員シャドーイング

31–60日|ケース&ロープレ→OJT同伴→小課題の完遂

この期間は「学んだ知識を使える形に変える」フェーズです。
ケーススタディやロールプレイングを通じて実務対応をシミュレーションし、OJT同伴による小規模タスクを完遂していきます。

  • 実践型ケーススタディ/顧客応対ロープレ
  • OJT同伴で日常業務を体験・補助
  • 小課題(資料作成・改善提案など)の遂行
  • 理解度チェックとフィードバック面談

61–90日|単独タスク→品質レビュー→修了判定(基準サンプル提示)

研修終盤の30日間では、単独でタスクを遂行し、実務品質を検証します。
レポート・企画書・顧客対応などを実際に担当し、上司・メンターによるレビューを経て最終修了判定を行います。

  • 単独タスク実施(担当案件・顧客対応・資料提出など)
  • 成果物レビュー・改善提案プレゼン
  • 修了判定基準例:理解度テスト80%以上・上司評価・自己振り返りシート

以降のフォロー|四半期レビュー/メンター・ブラシス運用/1on1と学習計画

研修終了後も、年間を通してフォロー体制を維持します。
メンターやブラザー・シスター制度、1on1面談などを活用し、離職防止と学習定着を図ります。

  • 四半期ごとのラーニングレビューで課題整理と改善
  • メンター・ブラシスによる定期フォローと心理的安全性の確保
  • 上司との1on1面談でキャリア目標・学習計画を更新
  • 自己学習・eラーニング・社内研修への継続参加

手法の選び方:Off-JT/OJT/ロープレ/グループワーク/eラーニング/メンター

Off-JT(集合・オンライン)=知識均てん/録画で反復可能

Off-JT(Off-the-Job Training)は、実務を離れて行う集合研修やオンライン講義のことです。
座学中心で、全員が同じ知識レベルを獲得できる「知識均てん」の効果があります。
録画コンテンツを活用すれば、復習や欠席者フォローにも有効です。

  • 企業理念・ビジネスマナー・IT基礎など座学向きテーマに最適
  • オンライン形式ならリモート社員や地方拠点も参加可能
  • 録画アーカイブで学習の反復・理解度の平準化ができる

OJT=現場転移の要。初期は指導設計書(観察→指示→自律)で再現性を担保

OJT(On-the-Job Training)は、実際の業務を通してスキルを身につける現場型研修です。
配属先で先輩社員が指導役となり、観察・指示・自律の3ステップで段階的に育成します。

  • 観察:先輩社員の仕事を見て業務の流れを理解
  • 指示:指導者が具体的な手順を教えながら実践
  • 自律:フォローを受けつつ、自分で業務を完遂

指導側の負担を軽減するため、OJT設計書やチェックリストの活用が有効です。
教える側も「人材育成力」が向上し、組織にナレッジが蓄積されます。

ロープレ&ケース=営業・顧客応対・判断を安全に練習

ロールプレイング(ロープレ)やケーススタディは、実践に近い状況を安全に体験できる手法です。
営業や顧客応対、トラブル対応などの場面を再現し、考える力と応用力を養います。

  • 営業・接客・電話応対・クレーム対応の模擬演習
  • 過去事例をもとに課題発見・対応策を考えるケーススタディ
  • 講師や上司から即時フィードバックを受け、改善点を明確化

eラーニング=基礎の自習/理解度テストで到達確認

eラーニングは、動画・教材・テストをオンライン上で行う自習型の研修手法です。
受講者のペースに合わせて学習できるため、反復学習や理解度測定に適しています。

  • 場所・時間を問わず学習できる柔軟性
  • 基礎知識やコンプライアンスなど定型テーマに最適
  • 理解度テストによる学習成果の可視化

研修後のフォローや再学習にも活用でき、OJTや集合研修と組み合わせると効果的です。

メンター/ブラシス=心理的安全性と定着の装置

メンター制度やブラザー・シスター制度は、心理的安全性と学習定着を支える仕組みです。
年齢や職種の近い先輩社員が新入社員をサポートし、メンタルケアやキャリア相談の場を提供します。

  • メンター制度:他部署の先輩社員が定期的に相談対応
  • ブラザー・シスター制度:同部署の先輩が実務面を1対1で支援
  • 1on1面談やフォローアップ面談で安心感を醸成

これらの仕組みは、新入社員の早期離職防止とエンゲージメント向上に大きく寄与します。

設計フロー:現状把握→目的・目標→期間→手法→カリキュラム→案内→実施→振り返り

レベル把握(事前アンケ・スキル診断)→ペルソナ化とギャップ分析

研修設計の第一歩は、受講者の現状を正確に把握することです。
事前アンケートやスキル診断を実施し、参加者の強み・弱みを数値化して分析します。
その結果をもとに、理想像(ペルソナ)を設定し、現状とのギャップ分析を行うことで、研修内容の優先順位が明確になります。

  • 事前アンケート例:自己評価・苦手分野・期待するスキル
  • スキル診断ツールを活用し、基礎能力を定量化
  • ペルソナ設定で「あるべき社員像」を可視化
  • ギャップ=研修テーマと実施時間配分の根拠に

目的から逆算した評価可能な学習目標(OKR/KR例付き)

研修の目的を「測定可能な目標(OKR/KR)」に落とし込むことで、成果を定義します。
目的を曖昧にせず、行動や結果に変換することで「成果につながる研修」に変わります。

  • Objective:90日後に現場で自走できる社員を育成する
  • Key Results:
    • KR1:OJTチェックリスト達成率90%以上
    • KR2:1on1実施率80%以上
    • KR3:初期離職率10%未満

このように目的から逆算してKPIを設定することで、研修設計全体に一貫性が生まれます。

過密を避ける座学×ワーク×休息の配列/受講前案内テンプレ

効果的な研修は、情報量よりも吸収率を重視します。
過密スケジュールを避け、座学・ワーク・休息をバランス良く配列することで学習効率を最大化します。

  • 午前:座学で理論理解 → 午後:ワーク・グループディスカッション
  • 1日あたり3テーマ以内が理想
  • 集中力が切れやすい午後2時以降は軽演習やロールプレイを配置
  • 受講前に「持ち物・服装・目的」を明記した案内テンプレを配布

案内テンプレ例:
「本研修では〇〇スキルの習得を目的としています。前日までにeラーニングを完了し、当日は演習資料を持参してください。」

実施当日の理解度チェックと翌日のリフレクション設計

研修当日の理解度チェックと、翌日の振り返り(リフレクション)を組み込むことで、定着率を大幅に高めることができます。
研修の「やりっぱなし」を防ぎ、学びを業務行動に変えるステップを設計します。

  • 理解度テスト・アンケートで知識定着を確認
  • 翌日に「学びの共有会」やSlack投稿などでアウトプットを促す
  • 上司・メンターとの1on1で研修内容の実践計画を確認
  • 改善点を次回研修設計にフィードバック

評価とKPI:理解→行動→成果で測る(テスト/観察/サーベイ/離職指標)

理解度テスト(前後差)/小テスト自動化

研修の成果を可視化する第一歩は、理解度テストによる知識定着の確認です。
研修前後のスコア差(プレ・ポストテスト)を比較することで、学習効果を定量的に測定できます。
GoogleフォームやLMS(学習管理システム)を活用すれば、自動採点・集計も可能です。

  • テスト設問は「選択+記述」で理解・応用を両面測定
  • 学習ログを分析し、弱点領域を可視化
  • 自動化により評価作業を効率化(LMS/Googleフォームなど)
  • 平均点推移で研修単位ごとの改善判断も可能

配属先観察(チェックリスト)/1on1メモ→ナレッジ蓄積

研修後の実務フェーズでは、行動変容を観察指標で評価します。
配属先の上司やメンターが、チェックリストを用いて「行動が再現されているか」を確認。
同時に、1on1面談のメモやフィードバックをナレッジとして蓄積し、次期育成に活かします。

  • 観察項目例:報連相の頻度/顧客対応の姿勢/資料品質/チーム協働
  • チェックリストで主観評価を防止
  • 1on1メモをデータベース化して“再現可能な育成知”を形成
  • 振り返り面談で課題と成長を共有

KPI例|初期離職率、1/3/6/12か月在籍、報連相の頻度、顧客応対品質、NPS/エンゲージメント

研修の最終的な評価は、「成果」として定義されるKPIで測定します。
定量・定性の両面から評価を行うことで、組織全体の育成効果を可視化します。

  • 初期離職率:3か月・6か月以内の退職者割合を追跡
  • 在籍率:1/3/6/12か月ごとの定着データ
  • 報連相の頻度:上司・同僚へのコミュニケーション回数
  • 顧客応対品質:クレーム・NPS(顧客満足度)との相関確認
  • エンゲージメント:サーベイによる意欲・関係性スコア

定期的なデータ収集とサーベイ結果の分析により、「研修が業績にどう貢献しているか」を可視化し、次の改善サイクルに繋げます。

よくある失敗と回避設計:頻度の誤り/レベル不一致/モチベ低下

頻度|目的に対して短すぎ&長すぎの弊害→章別に適正目安

研修でよくある失敗の一つが、実施頻度や期間設計の誤りです。
短すぎると定着せず、長すぎると現場復帰が遅れ、モチベーションが低下します。
目的に応じて最適な期間を設定することが、学習転移を最大化する鍵です。

  • 導入研修:2〜3日で基礎理解を形成(短期集中)
  • オンボーディング:90日以内に自立行動レベルへ到達
  • 専門研修:3〜6か月単位で継続的に深掘り

頻度と期間を定義し、「章立て設計」で区切ることで、研修全体の流れが整理され、受講者も目的意識を保ちやすくなります。

レベル不一致|一律一斉の弊害→モジュール化×選択式で解決

研修を一律で実施すると、レベル差による不満や学習効率の低下が発生します。
対策として、内容をモジュール化し、受講者が自分に合ったテーマを選択できるようにするのが効果的です。

  • 基礎/応用/実践の3段階構成でモジュール化
  • 事前テストやスキル診断で適切な受講レベルを判定
  • オンライン教材を組み合わせたハイブリッド運用

モジュール型設計により、個人のスキルに最適化された研修体験を提供でき、研修効果のばらつきを防げます。

モチベ|学習転移を高める小さな成功体験設計とメンター制度

研修中のモチベーション低下は、離職や学習定着率の低下につながります。
対策として、小さな成功体験を積み上げる仕組みを設けると、自己効力感が高まり行動変容が促進されます。

  • ワーク課題を分解し、「できた!」を積み重ねる構成にする
  • メンター制度で心理的安全性を確保し、継続支援を実施
  • 1on1で進捗と成長実感を可視化
  • 研修修了後もフォローアップで「学びの転移」を定着

メンターや上司の伴走支援により、自発的に成長を続ける社員を育成することが可能になります。

実装テンプレ:新卒30日・90日/中途30日プログラム例(内製・外注の組み方)

新卒30日例|週ごとの到達目標・コンテンツ・評価(表)

新卒向け研修の最初の30日間は、社会人基礎の習得と組織理解を重点に置きます。
下表のように週ごとの到達目標・実施内容・評価指標を明確化しておくと、進捗確認が容易になります。

到達目標主なコンテンツ評価方法
1週目企業理念と業務理解オリエンテーション/MVV共有/事業説明理解度テスト・発表
2週目社会人マナーとコミュニケーションビジネスマナー・電話/メール対応・報連相演習ロールプレイ評価・チェックリスト
3週目業務理解と基本操作習得社内システム/PCスキル/業務手順書理解実技テスト・OJTフィードバック
4週目自走準備(軽実務・OJT開始)シャドーイング/グループ課題/1on1面談OJTチェック・上司面談

新卒90日例|ロープレ台本/ケース資料/修了試験サンプル

90日プログラムでは、30日で学んだ基礎を応用し、実践スキルと自走力を育成します。
ロープレやケーススタディを中心に、「判断」「対応」「報告」の流れを反復演習します。

  • ロープレ台本例:顧客対応・プレゼン・クレーム対応など
  • ケース資料例:実際の社内トラブル・成功事例・顧客課題
  • 修了試験例:
    • 筆記:企業理念・行動規範・コンプライアンス
    • 実技:ロープレ実演・資料作成タスク
    • 面接:上司・メンターによる最終フィードバック

修了基準を明確にし、「合格=現場配属OK」という指標を設けることで、配属後の混乱を防止します。

中途30日例|事業理解→業務標準→現場単独化ロードマップ

中途社員向け研修は、スピード順応と現場再現性がポイントです。
新卒より短期間で戦力化を図るため、30日以内に「理解→実践→単独遂行」をゴールとします。

  1. 1週目:企業理念・組織図・業務プロセス理解
  2. 2週目:業務標準(SOP)・システム操作・社内ルール習得
  3. 3週目:OJTで実務同伴・改善提案・小タスク完遂
  4. 4週目:単独タスク・上長レビュー・30日振り返り

特に中途社員には「前職との違い」を言語化する時間を設けると、文化理解と定着がスムーズになります。

内製×外注のハイブリッド|講師育成と外部リソースの使い分け

効果的な研修運営には、内製と外注のバランスが不可欠です。
すべてを外注するとコストが高くなり、すべてを内製にすると専門性が不足する傾向があります。

  • 内製:企業文化・MVV・社内業務標準・OJT部分を担当
  • 外注:ビジネスマナー・ロジカル思考・ITリテラシーなど汎用スキル領域
  • 講師育成:社内講師トレーニングで、指導品質を標準化
  • 共同運用:研修会社のノウハウを吸収し、社内に定着させる

ハイブリッド型運営により、コスト効率と専門性の両立が可能になります。

コスト・助成金・労務:内製/外注の費用感と人材開発支援助成金、法務の注意

コスト構造|講師工数・教材・会場・SaaS・外注単価の目安と比較軸

新入社員研修を設計する際は、「内製」と「外注」それぞれのコスト構造を把握することが重要です。
単に費用だけで判断するのではなく、時間的コスト・品質・再現性を含めて比較しましょう。

コスト項目内製の場合外注の場合
講師工数自社社員が担当(工数換算:1時間あたり3,000〜5,000円)外部講師費用:1日あたり10〜30万円程度
教材・資料社内制作(印刷・デザイン等に3〜5万円)提供プランに含まれる/別途制作費発生あり
会場・設備自社会議室・オンライン環境貸会議室(1日5,000〜30,000円)またはオンラインプラン
システム/SaaSTeams/Slack/Googleフォーム等を活用(無料〜月数千円)eラーニングLMS導入(1名あたり月1,000〜3,000円)
総コスト目安10〜30万円(少人数/自社完結型)30〜100万円(講師・教材・期間により変動)

比較軸は「コスト対効果(費用÷成果)」と「再利用性(次年度活用可否)」です。
内製はノウハウ蓄積・費用最適化に強く、外注は専門性と効率性に優れています。

人材開発支援助成金(特定訓練コース等)の概念整理(要件確認の手順化)

研修費用の一部を補助する制度として、厚生労働省の人材開発支援助成金が活用可能です。
特に「特定訓練コース」は、新入社員研修に適用できる代表的な助成金です。

  • 概要:OJT+OFF-JTを組み合わせた訓練に対し、賃金助成・経費助成を支給
  • 助成率:中小企業:経費最大75%、賃金1人1時間960円など(時期により変動)
  • 対象条件:訓練計画届の事前提出/訓練時間20時間以上/OJT・OFF-JT併用
  • 主な対象:若年層(35歳未満)、キャリア形成促進を目的とした社員教育

要件確認の流れは以下の通りです。

  1. ハローワークまたは労働局で「助成金対象訓練」かを確認
  2. 計画書を提出(原則、実施1か月前まで)
  3. 研修実施→記録・出席簿・写真など証拠資料を保管
  4. 訓練終了後に支給申請を提出

詳細は厚生労働省サイトの「人材開発支援助成金制度」を参照してください。

労務・法務|研修中の賃金・残業・労働時間の扱い/SNS・炎上・ハラスメント回避

新入社員研修を実施する際は、労働時間・賃金支払い・法令遵守の観点からも注意が必要です。

  • 賃金・残業:研修が義務であれば労働時間に該当し、賃金・残業代の支払いが必要
  • 勤務時間管理:オンライン/合宿形式でもタイムログを明示・記録する
  • SNS・情報発信:受講者が投稿する内容のガイドラインを明確化
  • ハラスメント防止:研修中の指導・発言にも配慮し、過度な圧力や人格否定を避ける

また、炎上リスクを防ぐため、社外発信・写真撮影・動画共有のルールも明文化しておきましょう。
これらを研修規程や就業規則に明記しておくと、トラブル防止に有効です。

まとめ:新入社員研修を“設計思考”で最適化し、90日で戦力化へ

新入社員研修は「実施すること」自体が目的ではなく、“現場で成果を出せる状態”をいかに早期に実現するかが本質です。
そのためには、まず目的と対象を明確化し、90日間のロードマップで「知識→行動→成果」へと転移させる設計が重要です。
新卒はビジネスマナーやコミュニケーションの基礎を体系的に学び、中途は事業理解・業務標準化・早期定着を目指すなど、対象別に“到達点”を定義することが成功の鍵となります。

また、評価・KPIの可視化(理解度テスト・観察・サーベイ)により、効果を測定・改善し続ける仕組みを組み込むことで、研修は単発施策から成長エンジンへと進化します。
内製と外注をバランスさせたハイブリッド運営、人材開発支援助成金の活用、法務・労務面の配慮まで含めてトータルに設計することで、企業と個人の双方が成長できる研修へと変わります。

本記事を参考に、自社の文化や事業フェーズに最適な研修プログラムを再構築し、「学びが現場で生きる」持続的な人材育成サイクルを実現しましょう。

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